初めての読書レビューは、マイケル・モーパーゴの『月にハミング』
この本は、去年の二月ごろ、ちょうど一年前に読んだ本です。
まずは、著者のマイケル・モーパーゴについて説明します。
この人は、イギリスを代表する児童文学作家の一人です。いくつもの賞をもらっていて、各国からの評価もすごく高いです。日本ではそこまでコモンでは無いけれど、『戦火の馬(War Horse)』などは、知っている人も多そう。多分、現代最高の英国文学作家の一人だと思います。
この作品自体は、
など、数々の児童文学賞を受賞している作品です。
まあつまり、凄い作家の凄い作品なんだと思います。
作品は、マイケル・モーパーゴお得意の、戦争中の子供たちをめぐり、悲劇と愛をめぐる感じのお話です。人魚伝説のあるシリー島が舞台で、アルフィーと父ジムが釣りに出る所から始まります。
無人島で発見された少女は、「ルーシー」の言葉以外しゃべらない。記憶がないらしく、また、ひどく衰弱している。持っていたのはテディベアと、当時敵だった、ドイツ語が書かれた毛布のみ… 村で暮らすうちに少しずつ回復していくけど、小学校長を筆頭に村人たちは、ルーシーがドイツ人じゃないかと疑うようになる。ルーシーは、そしてルーシーを保護しているジム一家の立場は…?
この本は私が初めて自然に泣いた一冊です。私はいつもはそこまで泣かないのですが、この本だけは、途中から涙腺が少し壊れたようでした。すごく悲しくて、でも、ページを読む手が止まらなかったです。少しネタバレになるけど、船の沈没のところを読んでいるときの、ルーシー(メリー)に席を譲り、自ら海に沈んでいったお婆さんや、沈む直前に母に連絡を頼む男の声など、生々しい場面で泣き始めた記憶があります。二つの物語が同時に進行して、少しずつ謎が無くなっていく…というのはちょっとベタだけど、物語の内容が内容なので、ページをめくる手が止まりません。
第一次大戦中に、シリー諸島沖で豪華客船ルシタニア号が撃沈されたという史実をベースにした物語なので、どことなく現実味を帯びていて、戦争の辛さや怖さを少しわかることができたと思います。
小学校高学年~ が一番読みやすいと思いますが、興味があったらどうぞ読んでみてください。