うぐいすの音

17歳の女子が運営しているブログ。本のレビューなどしていきます。

セカイの空がみえるまち を読んで

 今回は、「セカイの空がみえるまち」を紹介します。この本は、結構面白い青春小説でした。

 あらすじはこうです。

 中学から帰る途中、初めて、新大久保の駅で興味本位で降りた二年生の空良(そら)という女の子が居ました。偶然あった、宮瀬あかねとともに歩いていると、そこでは、大人が何人も集まって、ヘイトスピーチを行っていました。

 実は、空良の父親は、理由も言わずに家から出て行ったのです。その原因が、「出て行って!」と叫んだ自分にあると空良は悩んでいました。また、それを学校の裏サイトに書かれ、言葉の暴力に憎しみを覚えていました。

 空良は、その街の色々な国から来た人が居るアパートで暮らすクラスメートの翔(かける)と、親しくなります。

翔は、自分の母親が誰なのか、どこの国の人間なのか、父親が好色なせいで分かりません。また、それは、翔のことをからかう材料にもなり、それで、翔は嫌な思いをしています。

空良はあかねが、セレブの彼氏に振り回されるのにかかわったり、翔は、野球部の面々と喧嘩したり…
 私は、この二人は、学校で起きることに目を向けたがっているのではと思いました。なぜなら、彼らは、「自分と家族」について目を向けたくなかったからです。

 「コリアンタウン」と言われる、いろいろな環境にいる人たちを抱えた町に住みながら、二人は、ゆっくりと、でも確実に向き合わなければいけないことに向き合っていくのです。

 

 この物語で面白かったのは、心理描写がそこまでなかったところです。途中まで、わかりにくいな、と思っていたのですが、途中から自分だったら、と重ねられるようになりました。普通だったら、私は心理描写が多い方が好きなのですが、このお話では、ことが重要なだけにしっかり考えることができました。そこが成長かな~と思います。

 「セカイの空がみえるまち」とあるので、グローバルなのかな~と思いましたが、外国の話はありませんでした。コリアンタウンには色々な国籍の人が住んでいるので、セカイとつけたのかな、と思いました。

 なので、セカイの空、は少し大げさかもしれませんが、タイトルもいいな、というのが感想です。 

 また、しっかりと空良が翔を好きになったとは書いていないのですが、純愛ストーリーです。

 二人の距離がどんどん近づいていく王道なところは、読んでいて「ベタだけど感動する」と思いました。

 このようにこのお話は本当に良かったです。ぜひ読んでみてください。