うぐいすの音

17歳の女子が運営しているブログ。本のレビューなどしていきます。

丸山昭の「トキワ荘実録」を読んで

 

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お久しぶりです。遅くなってすみませんでした。今回はブクレポを久しぶりにしようと思います。
今回読んだ本は、丸山昭さんの書いたトキワ荘実録 手塚治虫と漫画家たちの青春 という本です。編集者が、相手をした漫画家さんたちのエピソードを書いている文庫本で、漫画文化の花開いた昭和30年代を鮮やかに書いた本となっています。
この本を手に取ったきっかけは、端的にいうと読みたい本がなくなったからです。家には多くの本がありますが、私は新書と名作系が苦手で、ラノベしか読みません。

 

chirpspring.hatenablog.com

 

時々新書を読もうとしますが、自分の興味に会わなければすぐやめます。そんな感じですから、もともと中身のないラノベが多くない家なので、自分で買った本を読む感じになります。でも、流石にずっとそれだと飽きるので、なにか、小説みたいな読みやすい本がないかと家を漁って出てきた本がこの本です。
トキワ荘は、皆さんご存知のように、手塚治虫藤子不二雄など、多くの漫画家たちが住んだアパートです。このアパートで、どう人が過ごしたのか、どう漫画が描かれたのかなど、多くの秘話がいっぱいあります。

驚いたエピソードはたくさんありましたが、やはりカンヅメの詳細などを読むとひやっとします。 

 手塚先生(どう呼べばいいのかわからないので、本で乗っていたのと同じ呼び方にします)は、色々な出版社に引っ張りだこですから、「何日から何日までは○○社、何日から何日までは○○社」という風に、書く原稿を分けられていました。でも、時々は原稿が遅れることもあるわけです。そういう時、他社に手塚先生を取られたくない編集者は、手塚先生をカンヅメにします。自社でホテルやアパートのような別館を持っているところはそこにすることが多いし、近くに旅館がある場合はそこにすることもあります。しかし、そこに他社の追手の状況と先生の希望が加わると、一気に遠いところに行ったりもします。兵庫の先生の実家に行ったり、京都の旅館に行ったり、時には福岡の方まで大脱走したりしました。この福岡でも先生は気の毒な目に合う…

 とまあ、こんなエピソードがいっぱい詰まっていて、ハチャメチャな有名漫画家たちの若い姿はとても面白かったです。石ノ森章太郎赤塚不二夫水野英子など、私が小さいころから知っている漫画家さんたちの失敗談を読むのはなかなかに面白いものでした。

 本自体は、編集者の方が自分のありのままの体験を書いたものですが、それぞれの漫画家さんたちが自分の体験を少し書いてくださり、それが読めるようになっています。所々で出てくるその手記で、当人たちはどのように時代を生きていたのか、よくわかると思います。

 この本は、フィクションの小説ではありませんが、一応小説と名のついた体験談です。普段読まないタイプの本が読めてうれしかったです。興味を持ったら、ぜひ読んでみてください。

 最後までお読みくださりありがとうございました。