うぐいすの音

17歳の女子が運営しているブログ。本のレビューなどしていきます。

有川浩 県庁おもてなし課を読んで

私が有川浩を好きなのは、このブログを読んでいる人なら知っていると思います。今回は、その中でもトップ5には入るであろう作品を紹介します。

 それは、「県庁おもてなし課」です。この本は、錦戸亮主演で映画化もされています。

 この本のあらましを紹介します。舞台は、高知県です。新しく作られたおもてなし課の若手職員が、観光客を呼ぶために四苦八苦します。この人は、観光特使となってもらった吉門喬介に駄目だしされながら、必死にお役所意識から抜け出そうとします。そこの場面がすごく好きです。また、毒舌で、何もかも計算ずくの吉門喬介は、すごく面白くて、だけどそれでいて可愛いところがあります。

 地味にツンデレなところや、「友達」になると「仕事仲間」から突然お泊りのあてになるところなど、ギャップが面白いです。また、おもてなし課の意識の変わりようが、物語を追うごとにどんどん変わっていくので、そこも、この物語の面白さのひとつだと思います。高知県の名所などもちらほら出てくるので、変わり種の観光パンフレットとも言えるのかな~と思いました。

 お役所の人たちは、全員凄く賢いと思っていたけど、県民の意識と少し違うのかな、と不思議でもありました。なぜなら、物語の中で何度も「県民の意識を取り入れる」と書いたあったからです。お金の問題などいろいろ課題があるので、そこで県民とは意見が食い違っているのかなと思うところも何か所かありました。

 私が印象的だと思ったのは、掛水さんたちが、吉門さんたちに教わって、新しいことに挑戦していく姿でした。いくらお役所といっても、実際に住んで生活しているのは県民たちだから、何かやるには、よく知っている人、つまり県民から教わることもあるのかなと思ったのです。自分たちの住んでいる場所の全体図を見てから、発見したこともあったので、全体を客観的にみるということの大切さも学べました。

 もちろんこのお話にも、有川さん特有の甘酸っぱさが出ています。しかもこれは1冊なのに、二組カップルができていて、幸福度も二倍です。脇役の方のカップルには、少し胸がジーンと来ました。最後の場面も、恋愛要素を含んでいるのですが、さわやかで読後感がよかったです。

 このお話は、有川さんの実体験から作ったものだそうです。観光特使の企画があまりにも変だったので、このお話を書くことで出身県を応援しようと決めたんだとか。

 本当に面白いお話でした。ぜひ読んでみてください。