うぐいすの音

17歳の女子が運営しているブログ。本のレビューなどしていきます。

一瞬の風になれ を読んで

今回紹介するのは、佐藤多佳子の「一瞬の風になれ」です。この本は、私が昔読んだ本です。三部作なのですが、面白くて一気に読んでしまいました。

 まず、著者を説明します。

 佐藤多佳子は、日本の小説家で、一般書から児童書まで、幅広いジャンルで活動しています。 

私は、この本の流れるような展開が好きです。あらすじを説明します。

  主人公は、神谷新二という男の子で、兄を追ってサッカーの強豪高校に入ろうとしますが落ち、春野台高校にはいりました。新二には、連という友達が居て、いつも遊んでいます。

 連は、すごく足が早く、短距離の全国大会7位を誇る実力者でしたが、中2のときに陸上部を退部していました。

 高校の体育の授業で連と新二は一緒に走る事になりました。その時、新二は速く走れと言いました。どれぐらい早いのかを見たかったからです。

 「お前速いの?」「速いよ、わりと。」の言葉から生まれる高校生のかけっこ。その後で、陸上経験者よりもタイムを出した新二。圧勝した連は、「おまえ陸部はいれよ」の一言。「おう」と、熱いものが胸を駆け巡っていったにしては、間抜けな一言で新二は連とともに陸部に入り、部活に励む日々が始まったのです… 

 このお話は、本当にどんどんお話が展開していきます。余分なところが一切なく、心理描写もすごく多いというわけではありません。それなのに、主人公になり切ったり、登場人物になり切ったりして考えられるので、本当にすごいなと思います。

 また、陸上という競技がどれほど奥深いものかもわかります。肘の位置、腰の位置、タイミングまで… 多くの事が指導されているのがわかり、陸上に興味を持っていきます。陸上のことなど、私は全く知らなかったのですが、何となく説明を読んでいるうちにわかるようになってきました。

 陸上部の面々は、全員がキャラが濃いというわけではないのですが、先生や、連、それに根岸などが、面白く物語を引き立ててくれます。先生は、春野台高校のOBなのですが、少しわけありで…?

 もちろん、私の好きな恋愛要素も含まれています。両想いなのに、くよくよ悩んでいる主人公に共感でき、励ましたくなる時もあれば、発破をかけたくなる時もあります。また、最後の方で(3巻)大胆な行動をとられたのにもかかわらず、まだ悩んでいる主人公を見ると、こっちの方が、早く気づけ!、と焦ってきます。それほど、感情移入できたお話でした。

 物語自体の展開は、ベタなものなのですが、本当に心をつかまれる作品です。どうぞ読んでみてください。最後までお読みくださりありがとうございました。