今回は、「キズナ キス」を読んだ感想を書こうと思います。
梨屋アリエさんとは、課題図書にもなった本を書いているYA作家です。
「キズナ キス」は、25冊目の単行本です。
あらすじを説明します。
蘇芳 日々希という人が主人公です。蘇芳響日々希は、夕賀中学校の二年生です。吹奏楽部に入っています。チームのリーダー的存在の森桂奈に合わせていこうと必死に毎日を生きています。しかし、桂奈は超ワガママで、なまじ家が金持ちなものだから、自慢をいつもしてきます。
そんな日々を過ごしている日々希のもとに、「マインドスコープ」が送られてきます。夕賀中学校はICT絆プロジェクトの特別推進校なので、国から学校の全員に配布されたのです。マインドスコープとは、その機械が向いている人の考えが分かるという代物です。略してマイスコと言われています。
マイスコを通じて、自分の考えが分からないように生きていく日々希の考えを一人称で描いているので、少し親近感を覚えるところもあります。
そして、この物語を際立てているのは、天狼朱華の存在です。マイスコから考えを「保護」するための機械を持っていて、今まで不登校だった生徒。みんな興味津々になりますが、朱華はまったくしゃべらず、人を寄せ付けません。
また、朱華はパソコン室に入り、一人で何やらやっています。そんな朱華を見つけたのが、階段の踊り場でトランペットの練習をしている日々希でした。朱華に心を許してもらった日々希は、朱華がやっていた「大きな雲」で、その限りない想像力を生かして遊んでいきます。
でも、その生活はある人によって、日々希が疑問を覚えるものとなっていきます。ちょうど朱華も突飛なことを言い出し、「大きな雲」以外は気にかけたくなくなってきたとき、朱華の保護者と名乗るものが現れ、事の真相を言います。あとは読んでみてください。
このお話は、本当に中学生の心理描写がうまくて、自分に重ねて考えることができました。また、登場人物のキャラ設定もうまくて、面白かったです。最初の方は、そこまで呑み込めず、何を書いているのかわかりませんでしたが、途中から本当に面白くなってきました。
吹奏楽部のこと、マイスコのこと、学校の事情、桂奈のスマホ… そしてもちろんほのかな恋愛要素が、同時進行しているのに、͡混んがらずに呑み込めて、凄いなと思いました。
是非お勧めします。読んでみてください。最後までお読みくださりありがとうございました。