うぐいすの音

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ヒア・カムズ・ザ・サン を読んで

 今回は、有川浩のヒア・カムズ・ザ・サンを紹介しようと思います。

ヒア・カムズ・ザ・サンは、ある役者さんから生まれたらしいです。

「『ヒア・カムズ・ザ・サン』は、まだこの七行のあらすじしか、この世に存在してないんですよね。叶うものなら、この七行のあらすじから、成井豊有川浩が生み出すそれぞれの物語を読んでみたいです。」というある役者のつぶやきがきっかけとなりこの小説版「ヒア・カムズ・ザ・サン」は生まれた。演劇版と小説版は同じあらすじからそれぞれ別個の発展を遂げ、全く違う物語となって結実した。

 一方、「ヒア・カムズ・ザ・サン Parallel」 は上演された舞台に着想を得て執筆された物である。いわゆる「舞台のノベライズ」とは異なり、人名や物語の大枠は共有しているが、話そのものは別物となっている。

 タイトルにパラレルとある通り、登場人物たちがパラレルワールドで体験した物語、と思っていただければ近いかも知れない。もちろん、舞台だけではなく、小説版「ヒア・カムズ・ザ・サン」に対してのパラレルという意味も併せ持つ。

 言うまでもない事だが、どちらの作品も単独で楽しむのに全く差し支えない事を申し添えておく。 

       編集部  (「ヒア・カムズ・ザ・サン」4ページより)

 と本には書いてありました。

確かに、二つの物語は登場人物の名前こそ似ているのですが、大幅に違っていて、パラレルワールドというのが一番合っている気がしました。

 

 古川真也という人は、編集者なのですが、サイコメトリーで、それがあるからこそ作家の大きな感情の波を感じ取り、有能になることができました。でも、それはずるだ、気持ち悪いことだと感じ、ネガティブに考えていました。なので、いつも自分の正しいということをやり、やる気に満ちている同僚のカオルに憧れていました。
 ある時、雑誌で少し古いけど人気だった海外のドラマの特集を書くことになりました。そのドラマの脚本家は、「HAL」というのですが、なんとその人は日本人だと判明。しかも、カオルの離縁した父、白石晴男なのだと独白します。これは使える!!ということで、家族のために帰国したときに白石さんに取材をする事になり、真也とカオルはカオルの母の輝子と一緒に白石を迎えます。
 その後取材を始めますが、編集長の安藤が真也に驚愕の事実を伝えます。

白石さんの正体は..? そして、白石家族+1の深い絆とは…

 本当に感動するストーリーでした。
その後に来た「パラレル編」は、打って代わり…
 真也とカオルはつきあった三年を迎えていました。カオルとは職場こそ違ってしまいましたが、何も変わりはなく、そろそろ上司が仲人を頼む時期になってきました。

 真也はサイコメトリーだとは伝えずにいたので、恐る恐るカオルに自分がサイコメトリーだと言う事を伝えました。すると、死んだと言っていたカオルの父親がどこかにいるだろうことを引き換えにばらされました。

いわゆる現実を見れない人で、映画の脚本を作っているうちに、国内で認められないからとアメリカにまで行ってしまった人だそうで、カオルはすごく反発しています。その父親の帰国を迎えることになり、真也は都合が急に合わなくなったカオルを置いて一人で行きます。
 カオルの父・晴男はすぐに大げさな嘘をつき、真也を空港で困らせます。「カオルが働いている姿を観たい」と変なことを言い出しさわぐので、仕方なく会社に連れていきました。カオルの家族は晴男を家にあげることを認めません。仕方なく、真也の家に引き取ります。

 でも、実は晴男は重い目の病気を抱えていて…?

 

 このお話は、少しダークなのですが、改悛するお話なので、読んでいて同感するところもあれば反発するところもあり、寄り添うことができました。

 どちらも本当に面白かったです。どうぞ読んでみてください。どちらも読後感はさわやかなのですが、二つ続けて読むとなんか感動します。

 よく、ああしとけばどうなったんだろう?と思うことがあります。皆さんはありませんか?その疑問を思っても結局どうなるのかを気づかされた本です。

 最後までお読みくださりありがとうございました。