うぐいすの音

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英語絵本を読んでみました。-『かいじゅうたちのいるところ』

こんにちは!

 今回は、「英語絵本」について書いていこうと思います!この前、昔好きだった絵本を英語版で読みました。その感想を書いていきます。 

 まず、私が読んだ絵本は、『かいじゅうたちのいるところ』です。モーリス・センダリックさんの書いた絵本で、日本でも有名なんじゃないかな~と思います。

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 英語名は「Where the wild things are」と言う名前でした。本の文を一言一句漏らさず書くのは無理なので、印象に残ったところをいくつか書いていこうと思います。

 まず、この本は結構絵が特徴的で文章は少ないのですが、基本的にそこまで文の内容は変わっていないんだなと思いました。英語の絵本を訳すと、食べ物や言い回しがその国に合わせるために変わっていることが多いです。でも、この本は結構内容に忠実に訳しているんだな、と思いました。

 それでも、少しずつ文章は違っていて、まず最初のところの母親と子供の会話から受ける印象が日本語版と英語版だと違うかなと思いました。

 物語は、マックスが大暴れしてそれに怒ったお母さんがマックスを閉じ込めていくというところから始まります。そこで、お母さんがマックスに行った言葉は「このかいじゅう!」。マックスが返した言葉は「お前を食べちゃうぞ!」。なかなか物騒な言葉な気がします。また、説明として「おこった」と書かれているので、マックスは結構叱られているんだなというのが日本語版だとわかりやすいです。しかし、英語版だとお母さんの言った言葉は「WILD THING!」で、マックスの返した言葉は「ILL EAT YOU UP!」でした。どちらかというと、英語版の方が日本語版よりも想像の余地があると思います。

 日本語版だと「おかあさんはおこった。」と書かれているので、部屋に閉じ込めるほど母親の癇に触ることをしたという風に受け止めます。が、英語版だと「his mother called him」とあり、おこっている描写はありません。なので、冗談っぽく言っただとか、軽く叱るだとか言ったニュアンスを読み取ろうと思えば良い取れると思います。そこが変わったからと言ってその後のストーリーにさほど影響のあるわけではないですが、人によって受け取りかたが違うように書かれているのがとても面白いなと思いました。

 そして、マックスの部屋に突然木が生えてきて、森に囲まれて、海から「かいじゅうたちのいるところ」に航海します。その時の様子が、「一週間過ぎ、二週間過ぎ」と、日本語版でも英語版でもとてもリズムが良くて、綺麗だなと思いました。ちなみに、物語の後半でマックスが帰る時も同じような描写があるのですが、そこの英語、日本語の描写の違いも面白いなと思いました。行きの描写は、日本語版も英語版も「1週間1ヶ月1年」もしくは、「weeks→year」となっているのですが、帰りの描写だと日本語版では「1週間1ヶ月1年」と同じ描写なのに比べて、英語版では「year→weeks→day」という風に描写が行きと反対になっています。どちらかというと英語の表現の方が好きですが、日本語版で同じことをやるとリズムが合わなくなるのかな?と思いました。どうしても、英語と日本語だとリズムや韻の踏みかたが変わってくるのでそこらへんの違いはあるのかな、と思います。

 他にも、受けた印象の違いとしては「かいじゅう」と「Wild Thing」のニュアンスの違いです。マックスはかいじゅうたちを魔法で恐れさせて、「かいじゅうたちの王様」しなっています。どこが違うというと説明しにくいのですが、日本語版の「かいじゅう」だと受け取るイメージが、獰猛な動物のようになんとなく固まっています。でも、マックスは少年の見た目をしていて、しかも魔法でかいじゅうたちを従わせているので、そこまで「かいじゅうたちのおうさま」になるイメージがわきません。そこを、日本語版では「こんなかいじゅうみたことない」とマックスのことを言わせて、もともとかいじゅうたちが人間を知らなうて、そのような印象を受けた、という風に理由をつけているような気がしました。しかし、英語版の「Wild Thing」は直訳すると「乱暴なもの」。「Monster」などの、イメージがついていそうな言葉じゃありません。なので、wild thingの王様にしたと言っても、そこまで違和感がありませんでした。

 この物語の最後は、マックスが自分の部屋に戻ったら暖かい食事があった、という夢オチなのですが、ここでも日本語版と英語版で違う気がしました。日本語版では、「いつのまにやら、おかあさんにほうりこまれたじぶんのしんしつ」となっていて、夢オチということはわかりにくく、本当に壮大な旅をしてきたのかも、と一瞬思うような印象を受けました。対して英語版では、「and into the night of his very own room」となっていて、「夜の彼の寝室」になるという文が書かれています。ここでは、夢オチということがわかりやすいなと思います。

 このように、私が受けた日本語版、英語版の違いの印象のいくつかを書いてみました。他にも色々あるのですが、特に印象の違いを受けたのは上記のものです。どちらの方が好き、想像が広がる、というのは人それぞれだと思いますが、私は原文(英語版)の方が読み進めやすかったです。日本語版の方は説明的な文が少しみられて、イメージが固まる気がしました。でも、航海の時の描写などは日本語版の方が好きだったので、本当に人それぞれだと思います。

 多言語のものを日本語に直す時は、文化の違いなどもあり訳すのが難しいのですが、この物語は英語、日本語、どちらも違和感がほぼないなと思いました。内容的にも、絵がとても印象的なものですし深読みしていくと色々な発見があると思います。かいじゅうたちとマックスの会話もなかなか面白いです。

 英語の勉強としても、読んでいていいと思います。もちろん子供用絵本なので簡単ですが、「rumps」「vines」「tumbled」「tamed」など、中学英語の単語力では少しわからないような単語も出てきます。先ほど書いた航海の途中の様子も、英語版は前置詞の種類が全て違っているので読んでみると面白いと思います!話の筋は英語も日本語もどちらもわかりやすく、文章を比べるのも面白いので、ぜひ英語・日本語の2パターンで読んでみてください!

 最後までお読みくださりありがとうございました。今回は、『かいじゅうたちのいるところ』を英語版で読んだ時に気づいた、日本語版との違いを考えてみました。有名だし、私も小さいときに親と読んだ本なので勉強としても読書としてもオススメします!

 

〜追記〜

この記事を書いた時(この春に改めて読んだ時)に、私は夢オチと捉えてこの物語を読んでいましたが、今親に、別に夢オチと捉えなくてもいいのでは、と言われました。確かに昔夢オチと思って読んでいた記憶はないので、そこは10年置いて読んで思った印象の違いということになるのでしょうか。夢オチではなく、単純に異世界に行って戻ってきた、と受け取る人の方が多いと思います。絵本でいうとあんびるやすこさんの「なんでも魔女紹介」(小さい時に結構ハマってました)のように、元の世界ではあまり時間が経っていないというような解釈かな?と思います。逆に、時間はそのまま経っているけど母親がずっとご飯を用意し続けていたという見方もあるし、ラストの見方は人それぞれです。

 私は親に指摘を受けてから、書き直そうと思いましたが、もう一つの考えとして書いたのでこのままにしようと思いました。別に夢オチの解釈も間違いではないと思いますが、一応追記として書いておきました!!

 

 

かいじゅうたちのいるところ

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