うぐいすの音

15歳の女子が運営しているブログ。本のレビューなどしていきます。

朝井リョウ『何者』読んでみました。

 こんにちは!2個前の記事でも書いたように、このごろ本をよく読んでいます!図書館にほぼ毎日行っているのですが、館員さんに覚えられてそうで少しこっぱずかしいです…(笑)

 

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 さて、今日もブクレポをやっていきます!今回紹介するのは朝井リョウさんの『何者』です。直木賞を2013年に受賞された作品で、就活にはげむ大学生5人を、5人のうちの1人で、演劇に携わっていた拓人の目線でみたものです。

 

目次

 

本の紹介、あらすじ

 この本は、一応青春小説に入るんだと思います。でも、読んでいて「青春!」と行った爽やかさは感じませんでした。就活という人生の一つの転機と、SNSを題材にした物語です。

 

何者(新潮文庫)

何者(新潮文庫)

 

 

美山大学演劇サークルで脚本を書いていた拓人と、そのルームメイトであるお調子者のバンドマン、光太郎

光太郎の元カノでインターンも経験していた瑞月に、瑞月の留学仲間で拓人たちの部屋の上の会に住む理香

理香と同棲して、就活を否定しながらも焦りを感じている隆良

 この5人が中心となって物語は進みます。5人は、理香の部屋を「就活対策本部」とし、エントリーシートの進め方や就活に使う手段などを相談しながら就活を進めていきます。

一見仲がいい風景ですが、SNSで発信する言葉や面接で会った時の行動などから見えてくる本音があります。

そう行った本音から徐々に他人に対する印象も変わり、内定をもらった人が現れたところで色々な思惑というか、考えていたことが明らかとなります。

 

 途中までは、読んでいて「ああ、こういう人いるわ」とか「こういうことあるよね」みたいな、人間関係の難しさや、色々な関係の中で起きる気まずいことなどを思い出す文章でした。拓人の目線からですが、色々と共感できることも多かったです。「意識高い系」の人たちが出てきて、少しやりにくそうな拓人に共感もしました。(自分もそうなってないかな…と思ったりはしましたが。)

 

読んでいて感じた、単純な苦しさ

 ですが、正直最後まで読んでからは辛かったです。内定をもらった「裏切り者」が出てからは、特に読み進めたくありませんでした。自分のもつ承認欲求や、自己顕示欲を全部えぐられたみたいで、しっかり文章を負わずに飛ばし飛ばしになってしまうところもありました。

自分のイタいところが全部本の中で露わになっているようで、読み返したいとはそこまで思いません。あと何年かたって私がもっと成長してから読めば何か違うのかもしれませんが、今はもう読みたくないです。

 

 私はこの前このブログで「自分に酔っている自分がいる」ことについて書きましたが、『何者』をよんでからこの記事をすぐに消したくなりました。自分の中二病の部分というか、理想の自分になるために書いているというか、とりあえず『何者』にあの記事を完璧に否定されたような気がしたからです。とりあえずは、あれを書いたことも黒歴史として残せばいいか、と思って消しませんでしたが、読んでいて苦しかったです。

 

 しかも、本の内容的に、ここ以降やって感想を書くこともやりにくいというか、ここに書く文章も非難の対象になり得るものだと思います。だから、正直私はあまり好きな本ではありません。

私は、自分自身を承認欲求が強い方だと思っています。自己顕示欲も強いと思います。じゃなきゃ文化祭でスピーチはしませんし、生徒会にも積極的に入ろうとはしないと思います。そんな私にとっては、自分の言動を本に否定されたような気がしました。

(追記:正確にいうと、自分が本を読んで登場人物にマイナスのイメージを持つことで、自分自身を本を通して否定しているような気持ちになりました。)

 

ただ、同時に、とても参考になるというか、色々な考えや人の裏、と言ったものを読み取れる作品だと思うので、読むことをお勧めします。読まず嫌いになるのは少し惜しいぐらいに、人間心理がすごくよく書かれている本です。

 

 

ちょっと脱線しますが…『読書の権利10条』について

 この本の感想に直接つ上がるわけではありませんが、私の親が数年前に言っていたものの中にダニエル・ぺナックの『読書の権利10条』と言ったものがあります。

  1. 読まない権利
  2. 飛ばし読みする権利
  3. 読み終えない権利
  4. 読み直す権利
  5. なんでも読む権利
  6. 本の世界に染まる権利(ボヴァリズムの権利)
  7. どこで読んでもいい権利
  8. 拾い読みする権利
  9. 声に出して読む権利
  10. 読んだことを黙っておく権利

です。

教えてもらった当初は、当たり前じゃん、と思っていたことでしたが、この頃この10条を思い出す時があります。いつもはあまり読まないタイプの本だったり、挑戦して読んでみた本だったりすると、どうしても入り込めない本はあります。私も飽き性のうえ限られたジャンルの本しか読まないため、親に勧められても読み進められない、と言った本は何冊もありました。そう言った時に、無理にプレッシャーを感じて読み進めると自分が辛くなる時もあります。

特に、こう言った人間の心理に踏み込んだ形の本だとトラウマになる時もあると思います。だからこそ、この「読者の権利10条」は当たり前のことと感じるかもしれないけど、とても重要なものだと思いました。

 

 学校で実践したり、読書が必要な場合だったりすればまた変わってくるかもしれませんが、自分で読みたくて読んでいるならいつ読むのをやめてもいいと思います。義務感で読み進めた本は何冊もありますが、印象にはあまり残っていません。印象に残らないなら、その分好きな本を読んだ方がいいと思います。

 

読み進めて結局感じたこと

 しかし、とりあえず私は「せっかく時間があるんだし色々な本を読む」と決めたので、読み終えました。結局読んでいて一番辛かったのはラストシーンだったので、それまでは全然読み進められましたし。

 理香や隆良の少しずつマウントを取ったり、自分を他の人とは違うと思っていたり、そう言った行動をする理香や隆良を拓人の目から見ても、「ダサいな」と感じることがなくはなかったです。でも結局、拓人の隠れた部分も最後で暴かれ、「傍観者である自分に酔っている」ところが顕著に表れていました。

 最終的に、一番魅力的に見えたのは光太郎です。飄々としているように見せながらも実は色々と考えて行動しているキャラは、嫌な部分が多くありませんでしたし、現実でもこういう人は愛されるんだろうな、と思います。

 

 本を読むことで、全員の思惑が描かれていき嫌な部分も多く出てきます。そう言った嫌な部分に触れて、上記のように私は辛く感じたわけですが、正直直す必要に迫られるものだとはあまり思いません。的確に、しかも辛辣に描かれているので辛くなりますが、結局社会で生きていたら、裏は誰だってある程度持つわけだし全員と仲良くしてトラブルを起こさないなんて不可能に近いと思います。

 

Twitterとサワ先輩-これはSNSを使っている人が知っておいたほうがいい言葉

人の裏の顔が顕著に現れるツールとしてSNSが文章の中によく出てきます。あまりTwitterに馴染みはなかったのですが、140字でも重なるとここまで人の醜さが通じるんだな…と思うと面白かったです。

 140字で人の醜さが〜、と書きましたが、本の中で印象深かった言葉があります。

選ばれなかった言葉の方がきっと、よっぽどその人のことを表してるんだと思う。

たった140字が重なっただけで、ギンジとあいつを一緒に束ねて片付けようとするなよ。

ほんの少しの言葉の向こうにいる人間そのものを、想像してあげろよ、もっと

これは、拓人の先輩であるサワ先輩が言った言葉です。このサワ先輩は、自分の弱いところとかも見つけているのかな、と不思議に思いました。

自分の弱いところやかっこ悪いところを認めた上でこの言葉を言っているならかっこいいし、

このセリフを言ってるサワ先輩も先輩自身が理想とする形なら(実際はこれを実践できているのではないとしたら)それもまたどうしようもなく人間だな、と思います。

 

 自分からマウントを取って安心しようとする人も醜ければ、自分から他の人とは違うんだと言って突っ張るのも醜ければ、リア充をアピールする人も醜ければ、客観的にそれを見てみんなダサいと思いながらそれを影でつぶやくのも醜い。

 出てくる人たちに醜いところがあって、それ一つ一つに苛立ったり気持ち悪くなったり自分が辛くなったり。この前私が記事に書いた「自分に酔う」に通じるところもあるのかもしれないけど、「自分の中の理想になる」というのは、無意識だとしても多くの人がやっていることなんだと思います。「理想に近づく」というと良い意味にも聞こえますが、そうではなく「〇〇してる自分ってかっこいい」とか無意識で思う「イタく見える人間」になるという意味で使っています。

 今私がこうやって記事を書いているのも、自分の中の理想に近づけようと思って書いているのかもしれないし、文章や言葉も自分が憧れた言葉やかっこいいと思う言葉を無駄に使っているのかもしれません。私にも登場人物に通じるところは多くあるはずです。そう思うことは思ってもまだ気づきたくはないし、このまま自分の理想像を保つことが楽なのかもな、と思いました。

 

まとめ-もっとうまく感想を書きたかったです…

 ということで、朝井リョウ『何者』の感想を書いてきました。『何様』という本もあるそうなので、図書館に行ったら読んでみたいです。朝井リョウさんの作品は『桐島、部活やめたってよ』が有名ですが、私はあの本は合わないなと思い、途中でやめたか、義務感で最後まで読んだか、よく覚えていませんがしっかりとは読んでいないはずです。今回の本は、読んでいてすごい痛かったし、この記事でも最初の方に特にその気持ちを書いてきました。

でも、本を読み直しながら感想を書いていると、「まあ正しいことだし、良いことを言っているんだよな」という気持ちにもなりました。読んでいて、色々な感想が持てる作品だと思います。全部通して読むのはもっと先になると思いますが、一部分だけ、とかなら読んでいけたら新たな発見がまたあるかもと思いました。

 

 うーん、この本の魅力が伝わったのでしょうか… あまりしっかり書けなかった気もしますが、とにかくこの本を読んで思った感想を書いてきました。色々と考えさせられる作品だったし、単純に、朝井リョウさんの心理描写や比喩を多く使った文章がすごいな、と感じます。

 あまり書いてませんでしたが、比喩表現がめちゃくちゃ印象に残ります!ただ状況を説明するだけの文でも、登場人物が心情を暴露するところでも、直喩・暗喩問わず比喩が多いしすっと入ってくるな、と読んでてずっと思っていました。でも冗長ということは全くないし、話の雰囲気も合わさってうるさくないです。こういう文章ならそりゃ人の心に訴えかけてくるよな…と思います。

 

 最後までお読みくださりありがとうございました。記事を書いていて、自分の文章力のなさに歯がゆい思いを… 文末のレパートリーを増やしたいです!もっと読みやすいブクレポがかけるようになりたいです。

 

 

追記

 

chirpspring.hatenablog.com