うぐいすの音

17歳の女子が運営しているブログ。本のレビューなどしていきます。

米谷ふみ子さん、『年寄りはだまっとれ⁉︎』読みました!

 こんにちは。

東京で開かれた「ウィザード・コレクション」というハリー・ポッターのグッズなどを売るイベントがあるのですが、この前そこのグッズが我が家にも届きました!知人に買ってもらい、届けてもらいました。本当にありがたいです…

コロナが治ったら、いつか自分で稼いだお金でウィザコレに行って…と考えていたのですが、今回のウィザコレがファイナルだと知り、慌てて買ってしまいました!グッズを見ては嬉しい気持ちになっています(笑)

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目次

 

本の詳細、内容など

 今回は、ブクレポとして米谷ふみ子さんの『年寄りはだまっとれ!?』という本を読んだので感想を書いていきます。

米谷ふみ子さん。恥ずかしながらこの本を読んで初めて名前を知ったのですが、作家としても画家としても活動されている方で、『渦越しの祭』という作品で芥川賞を受賞された方です。

 1960年からアメリカにいる方で、現在90歳だと思います。この本が書かれたのは2009年なので、当時は79歳ですね。

 

 本は4章からなり、170ページぐらいです。

 

 

 この本、題名からも分かる通り、かなり過激な文章となっています。

歯に衣着せぬというか、鋭い指摘がとても多いです。1930年生まれの方で、終戦時は14歳。その時の経験なども踏まえ、アメリカ在住の日本人として話を進めています。

 コミカルなものではなく、どちらかというと意見が強く主張されているタイプの本です。

 

 このブクレポでは、本の内容よりも、自分が感じたことをどんどん書いていきます。

 

 

エッセイを読むことのメリット、デメリットを考える

まず一番に思ったこと。「エッセイって怖いな」。

エッセイの内容の良し悪し関係なく、エッセイを読むことをあまり軽く考えちゃダメだな、と思いました。

 

 小説に比べ、エッセイは筆者の考えが多く出ると思います。幸田文の『木』のように緩やかに(それでいてずっしりと)進んでいくものもあれば、今回のエッセイのようにバンバン意見を言っているものもあります。

 意見というのは一人一人全然違うもので、賛成できる意見もあれば賛成できない意見もあります。

その中で、もしも賛成できない意見に会った時、その作者の小説を楽しんで読むことができるか。

 もちろんできる人はできると思うし、できない人もいると思います。

私は、読むときに自分の中でハードルを少し上げてしまうタイプかもしれません。気にしないようにして読もうと思っていても、「この人はこういう考え方なんだよな…」と考えてしまうと思います。

特に、自分の興味のある分野で意見の違いがあったらそれは印象に残りますよね。

 それを考えると、変にエッセイを読んで賛成できない意見に会ったとき、その作者の本をこれから読みたくなくなるかもしれません。食わず嫌いの完成です。

 

 別にエッセイをもう読まない、と言いたいわけではありません。そうならないように、エッセイはしっかり読んでいこうと思っています。

ですが、どういう内容のエッセイを読みたいのか、どの人のエッセイを読みたいのか、そう言ったことを考えて読んでいきたいな、と思いました。

軽く、「エッセイを読んでみたい!」という段階から抜け出して、もっとしっかり「エッセイを読むこと」について考えていきたいです。

 

少し違和感が…この違和感はなんだろう?

 エッセイを読むこと、について書きましたが、この人のエッセイに全然賛成できなかった、というわけではありません。

参考になる内容も多くありましたし、読んでいて楽しいところもありました。

 

 しかし、読んでいてしっくりこなかった部分が多かったのも確かです。

ここでは、最初にしっくりこなかった部分を一つだけ上げていこうと思います。

 

 この本のタイトルにもなっている「年寄りはだまっとれ」。これと同じような言葉が、本書には何回か出てきます。それが、「女は黙っとれ」

 

 例えば、「ジェンダーフリー」について話す可能性のある講演を取り消す、という事態が起こったとき。その係の課に電話をして、「その時のことを知っている人は明日くる」と言われました。

そこで、電話に出た若い職員に

「貴方、上野千鶴子教授の講演中止の話、知っている?」と尋ねてみた。「聞いたところによりますと、上野さんがジェンダーフリーという危険な言葉を使うのではないかと思ってやめたとか……」

私はこの男から教育し始めなければならないと思った。上司が言ったことを鸚鵡返ししているのだ。

だから、おそらく職場で上司がそのように言っていたのだろうと受け止めた。

「危険な言葉なんてありますか?講演を聞いてから判断するものです。

東京都がしていることの方がよっぽど危険よ。言論、表現の自由を保障している憲法に違反してますよ。

貴方、憲法読みました?役所に勤めているのなら憲法を読むこと。

私ね、軍国主義の時代に育ったの。"女はだまっとれ!"と侮辱されて一人前に扱ってもらえなかったの。

敗戦でやっと女の権利をちょっぴり勝ち取ったのに、また軍国主義に戻そうと誰かがしているのね。

〜後略〜」

 という風に言ったそうです。

 

 この部分。賛成できるところももちろんあれば、読んでいてしっくりこないところもありました。

 図書館戦争を愛読書としている身としては、検閲のようなことが起こっていた(2006年の出来事らしいので)、との記述には、もちろん反感を覚えました。言論、表現の自由は本当に大事なものです。

 

ですが、ここで「女は黙っとれ」を持ち出すのは、しっくりきませんでした。絶対に、終戦の頃よりも今は男女の平等が取りざたされているし、理解が進んでいます。女性差別と取れる発言をした場合、それは大きな波紋となる、ということは、森会長の発言でもわかると思います。

 もちろんまだまだ改善の余地はありますが、それでも昔より良くなっているのは疑いの余地がないと思うんです。少なくとも、「こうあるべき」という考えは広まっています。

 昔と今を比較することが悪いこととは思いませんが、それでも昔のことを言いすぎると、少しくどく感じることもあります。

この本を読んでいると、「女は、」「昔は、」そう言った内容が、私にとっては少しくどく感じられました。「そこじゃなくない?」と思うところも少しありました。

 

 ただ、じゃあどこが悪かったのか、どういう意見なら私はくどく感じないのか、それがまだよくわかっていません。

理由もなく、悪い感想を書くのはどうなのか

とも思いましたが、それでも感じたことなので書きました。

 

 私がこの東京都の職員だったら…と思ってしまうのも理由の一つなんだと思います。もしも私がこの電話を受け取った若い職員さんだったら…と思うと、すっきりしないというか。

ただ、的を得たことを言われた時に鬱陶しく感じることなどもあるので、私の今の感想はその派生なのかもしれません。

 

 そう考えると、本当に自分の違和感の原因がよくわからないな…と。

 

 

もちろん面白い本です。参考になるところもいっぱい

もちろん、面白いところも多くありました。特に彼女の体験談などは、やっぱり興味深かったです。

戦争の時の体験談や、当時住んでいた大阪での縁。

私は戦争を体験したわけではないので、戦争やそれにまつわることについて知る機会があるのなら、出来るだけ知りたいと思っています。ただ、それを受け止めるのに時間がかかりすぎる時もあれば、逃げる時もありますが。

 でも、長く生きている人だからこそわかること。考えられること。それはあると思います。

年齢を理由に何かをいうのは苦手ですが、

その時代に起こったことの経験などはその時代を生きた人にしか話せません。

 

 脳トレなどをするよりも、自分の経験談若い人たちに話すほうがいい、という意見は、厳しい意見だし人を選ぶけど、的を得ている部分もあるな、と思いました。

 

 自身がメディアに煙たがれながらも、自分の思うことをそのまま発信し、周りに広めている生き方に憧れる人も多いと思います。生き方や、考え方など、参考になるな、と思いました。

 

まとめ:性格がわかる本

 ということで、今回は米谷ふみ子さんの『年寄りはだまっとれ!?』について感想を書いてきました。

本の内容を多く書くのが難しいというか、感想を書くのがとても難しい本だと思います。色々な内容に話が広がっていて、主張をまとめるのがためらわれる内容でした。

でも、それこそが「誰になんと言われても、決して黙らない」筆者の性格をよく表していると思います。

 

 一人の生き方というか、性格を知ることができる本。それに、教科書に載るような歴史を生き抜いてきた人の回顧談。読んでいて、勉強になりました。

歴史に興味のある人、何かを発言したい人、そう言った人たちが読んだら楽しめると思います!

 

本に対して批判的な文章を書いてしまいました。批判的な文章を書くことについては、かなりこの頃迷っています。その本が好きな人に嫌な思いをしてもらいたくありません。でも、書いたことは残したいし、嘘を自分のブログに書きたくありません。どこまで書くか、すごい悩みます。どの本にも学びはあるし、なんなら反感を覚えたこと自体突き詰めれば生半可な発見よりも大きな発見になります。読んでくれた方が、嫌な気持ちにならないような記事だと嬉しいです。

 

 最後までお読みくださりありがとうございました。ちょっと今までとは毛色のかわった本ですが、面白かったです!