うぐいすの音

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全国大学国語教育学会:公開講座を見てきました!〜詩を創作・教育するには?〜

 こんにちは。やっぱり土日は平日よりも忙しくなりますね… できれば夜になる前にブログをあげたいのですが、ちょっと難しそうです。

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 今回は、全国国語教育学会のオンライン公開講座、「言葉のティンカリングとことばあそび」というワークショップについて書いていきます!

このワークショップは、30人ほどの参加者を対象に行われたもので、15日まで限定公開でYouTubeで配信されています。

 

15日までですので、興味を持った方はぜひ早めにご覧ください。

 

 

www.youtube.com

*限定公開のため、ここのリンクから飛ぶことをお勧めします。

 

 

 私自身もこの公開講座をYouTubeLiveで視聴していて、見ながら「私も参加したかった…」と嘆いていました。3時間の長丁場ですが、飛ばし飛ばしでもかなり面白いと思います。私も途中からの視聴でしたが、楽しんで見ることができました。

 

目次

 

 

この公開講座について;どんな講座?関連記事

 それではまず、この公開講座についての前書きを書いていきます。まず、「ティンカリング」とはどういう言葉なのでしょう。動画では、4分過ぎくらいのところで説明が入っています。

それによると、「ティンカリング」とは「技術やアートの分野で使われる、いじくるという意味の言葉」だそうです。

 参加者は、いろいろな学校の国語の教師、学生、さらには詩人の方までいらっしゃいました。

講師の方は Dr.Sue Dymoke(スー・ディモク先生)です。この方は、イギリス・ノッティンガム・トレンド大学に勤めていて、詩教育・創作活動について活動されている第一人者だそうです。

もう一人のファシリテーターの方は、中井悠加先生、という方でした。

通訳の方もいて、スー先生の発言もしっかりわかる動画となっていると思います。

同じく同時通訳を時々やる自分(ボランティアで、社内でのミーティングの通訳なので内輪向けですが)からしたら、見習いたいな、と思うような内容でした。

 

 この公開講座に参加した直後にブログの方にも一回言及した記事を出しているので、そちらも是非ご覧ください。また、詩に関して書いた記事もある(好きな詩をあげました)ので、興味があればそれも是非。

 

chirpspring.hatenablog.com

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先生も審判だけではなくプレイヤーに

 この公開講座では、一番最初にスー先生が「教員も詩を書くことが大切」と言っています。その理由として

子供が

「大人も言葉を見つけられない時もあれば、言葉で間違える時もある」

ということを知るため

ということが挙げられました。

 

 これに関しては、本当にその通りだと思います。

ちょっと話は逸れますが、

外周走が簡単だとかいう先生に対しては、「じゃあ自分でも走ってよ」と思いますし、

文章を書く時もそれと同じで、

大人がどういう風に書いているのか、短歌・俳句を作る時も、大人はどう作っているのかを知りたいです。

 

何もない状態から「書いて」と言われるよりも、一緒に先生に作ってもらったほうが相談しやすいし、

「この先生はこういうことを書くんだ」と、先生自体の性格というか、好みもわかります。

 今まで国語の指導をしてくれた先生(小学校含む)に、「先生も作品を作ってきました」というのは、少なくとも書道以外は記憶に残っていません。

 もしいらっしゃったら、本当に本当に申し訳ないです…!!!

 

 もちろん今までの国語の授業も素敵でしたし、感謝したいところは多くありますが、

「受験用の授業」からはみ出した授業なら、先生にも創作活動を一緒にやってもらえたら、授業自体が楽しくなるだろうな、

と思いました。

 

「教師は審判ではなくプレイヤーになる必要がある」

というのは、今まであまりなかった視点のため面白かったです。

 

 

フリーライティング;2分で連想ゲーム!

 そして、講座の一番最初にやることは「フリーライティング」

「旅(journey)」に関して、2分間使って頭に浮かんだことを書きます。「旅」というのは、先生側から与えられたお題となっています。

これ自体は、連想ゲームみたいな感じですね。

 

 そして、そのあとに、

「あまり予想していなかった言葉」や、「ちょっと異質(この言葉であっているのか…)な言葉」をピックアップしていきます。

 

 これと同じことを、同じく2分で「変わった・おかしい(strange)」について連想ゲーム&ピックアップをします。

書くのは単語でも文でもなんでも構わず、プライベートなことを書くこともあるので、共有できる、と思ったもののみをそのあとに数個共有していました。

 

 この過程の中で、自分が詩を作るのに使いやすそうな言葉を取り上げたり、教室でこの活動をするなら…(教師が対象でもあるので)というのを考えたりしていきます。

 

 2分というのは、かなり難しいな、と思いました。

連想ゲームで、何を思い浮かんだのかを言葉にするのが難しく、「絵で描いてもいいか」という質問もありましたが、確かにその方が描きやすい人はいいかもしれないと思います。

2分というのは短いと思うので、

その中で言葉の量を考えるのか、それともその言葉への想いや入れ込み度合を優先するのか、考えてみたいです。

 

 また、今回選んだ言葉(旅、など)は、本から適当に選んでいいとも言っていました。「連想の特訓」というか、

何かを思いつくまでの特訓としても、こうやって家にある単語で連想ゲームをするというのは面白いと思いますし、

俳句を作る時などもそうやって思いついた単語をメモする、というのを聞いたことがあるので通じるものがあると思います。

 

 まとめると、この「フリーライティング」の順番は

  1. お題を与えられる
  2. お題に関する連想ゲーム(フリーライティング)をノートに書く(2分)
  3. 書いた中で多数に見られてもいいものをシェアする
  4. 活動で考えたことなどを共有

と言った感じになっています。

 

 

マッピング;絵を描くのには、抵抗もあるかも…?

 その次に、「マッピング」という活動をしています。

これは、自分の過去の「旅」をマップにする、というものです。このマップというのは、絵で作るイメージマップのようなものでした。

動画を見ればわかると思いますが、スー先生自身が描いたものを例としてあげていたので、「どう書けばいいんだ?」という悩みが薄れると思います。こうしてもらえれば…と思う授業もいくつか思い浮かぶので、

やっぱり先生がその活動に参加するって大切なんですね(笑)

 

 このマップを書くのは、5分間(元の予定では6分間)の時間を取られていました。

「旅」についてのイメージマップは、遠い旅でも短い旅でも、国内でも海外でも、どこでも大丈夫でした。これは、他の人と共有することを念頭に考えられたことなので、プライベートなことを見せたくない、という場合には書くことを選んだ方がいいはずです。

 

 この活動は、

あるテーマについて新しく書くときに刺激になり、

書き手が自分の記憶や「言葉の銀行」に深く入り込むことで、

様々な経験の中から重要な瞬間やアイデアを引き出し、それらを結びつけるときにとても役立つ、

と言われていました。

 

 マップに書いた後は、2・3人でそのマップを紹介しあいます。自分でそのマップについて説明した後で、お互いのマップに質問をしたり、コメントをしたりします。

 与えられた時間は15分間で、一つのマップについて最大4〜5分を目安にしています。質問をもらって新たに思いついた言葉やアイデアをマップに書き加えるのも大切だそうです。

 

 この活動、私がやるとしたらちょっと難しいかもしれません…

大人ならあまり気にしないと思うんですが、子供の中では「絵が上手い、下手」というのは一種のステータスとなっている場合もあります。

 

だから、絵が下手な人(私含む)に関しては、人の前で絵を描くという機会があまり好きではなかったんですね。

6分間の短い時間というのが、ある程度助けになるとは思うんですが、私がこの授業を受けていたら、必要以上に「絵が上手くない…」と気にしてしまう気がします。

実際それでからかわれる人もいるので、そこまで当たりが強くはないとしても、日常的に取り入れていくなら、先生の絵もうまい、などの状況によって一種のプレッシャーのようなものになってしまうかもしれません。

もちろん、日常生活に取り入れることによって逆にからかいなんかなくなる、ということも考えられます。

 

 私自身は馬鹿にされたことはなかったですが、やっぱり必要以上に気にしたり、周りの上手い人に憧れたりはしました。

 中学生後半にもなってくると、「絵が下手とかで人を馬鹿にするの?」という常識もついていると思うので、小学校でやる前にはなんらかの注意があると嬉しいな、と思いました。

 

 この順番をまとめると、

  1. 自分の経験した「旅」をマップにする(6分間 実際は5分)
  2. 2・3人でマップを紹介し合う
  3. 紹介後、質問だったりコメントだったりをする(2番と3番で合計15分間)

という風になります。

 

 

詩の「下書き」を作っていこう

 その後、10分間で最初の下書きを作る、という作業に移ります。

今までの言葉の連想ゲームとマッピングなどから詩の下書きをしてもいいし、他のアイデアを使っても構いません。

10分間たつと、また10分間の時間が取られ、その中で書いた下書きについて話し合います。話し合うことは、

  • 自分の詩で気に入った点2つ(理由含む)
  • 相手の下書きに対して質問
  • 下書きに取り組む上での提案
  • タイトルの掘り下げ

などで、使えそうな修正点や新しいアイデアなどはメモします。

 

 これは、「下書き」のはずですが、見ていて面白いな、と思った詩だったり、綺麗!と思ったしだったり、色々とありました。

みなさん詩に興味がある方なのでしょうが、それでも私が参加してたらああいう風に書けたか…甚だ疑問です。普通に、参加されている皆さんのレベル高くないか?と思っていました(笑)

 ちなみに、これまでのマッピングや下書きに関しては、それぞれのグループを順々に巡っているため、すべての詩が見られるわけではないですし、途中から聞く詩などもありますが、それでも聞いていて楽しかったです。

かなり短い時間のため、その中で作るのは難しいだろうな、と思ったのですが、長さのあるものを書いている人も大きいらっしゃいました。

タイトルを考えるのって、やっぱり難しいんだな、ということも再確認。

 

 下書きなので、そこまでクオリティもいらないのか、と思うと、時間もまあまあ納得です。まとめると、

  • 詩の下書きを作成ー10分間
  • 詩の下書きの見せ合いー10分間

です。

中には、自分が考えていなかった「視点の転換」を他者から指摘されるという経験をなさった方もいて、確かに人の意見を聞くことの大切さは私も身にしみているし、役に立つよな、と納得です。

 

 

「モノの視点になって描く」…え、昔やってた!!

 それから、同じように詩を書く時間が取られていました。

それが、物の視点に立って詩を作る、ということです。例えば「バスの座席の上の空っぽの弁当箱」になって、弁当箱の視点に立って詩を書く、など。

 

 この活動、詩を書くのには10分間、詩を見せ合うのには15分間取られていました。

 

 これ、私小学校の時によくやっていたんです。普通に驚きました。

本を読むことが昔から好きだったので、本を書きたい!となった小学校低学年の頃の私が、「お父さんのアイパッド」だったり、「洗濯機」だったりになって、それらの気持ちになって短い小話を作っていく。

ちょうどその時に「本を製本しよう」といった感じのイベントに親と参加したので、書いたお話をプリントアウトして、それをイベントに持って行きました。

今でも家に赤と青が混ざったマーブルのような表紙の大判本として残っています。

 

 これも、ちょっと形を変えたら詩になるのかもしれませんね… そう考えると、とても面白かったです。

 それに、ゲームで、「私はなんでしょう」というゲームを小学校の時にやりませんでしたか?

扇風機になって、「私はなんでしょう。私は教室の中にいます、私は丸いです。私は風を送ります」という風に、3つくらいのヒントを出して、そこから周りの子が何の立場になっているのかを当てる、というゲーム。

このゲームも、もしかしたら発展させていたら詩を作るきっかけになったのかもと思うと、いたるところにきっかけがあふれていますね。

 

ワークショップ内では、信号視点の詩を書いた人がいましたが、それはすごい可愛いというか、面白い詩だな〜と思いました。

 

 

ファウンド・ポエトリー」絶対やっていて面白いです…

 最後に、ファウンド・ポエトリー」について。講座によると、

ファウンド・ポエトリーでは、迷惑メールや広告、新聞記事、道路標識、レシピなど、さまざまな素材をテキストとして使います。

テキストの中から重要だと思う単語やフレーズを探し出して、書き手が自分の詩を書く時に利用できる「言葉の銀行」を作るのです。 

 

ということでした。つまり、日常生活の中で印象に残った言葉などを取り上げて、それも詩の材料にする、ということですね。

加えて、一つの広告などの素材から何個も単語を出して詩を作成するのもとても面白いと思いました。

講座では、例としてひまわりの種のパッケージから単語を出して、それを利用して詩を作ったものなどが出されていました。ファウンドポエトリーをwebでやれるサービスもあるらしいので、興味を持った方は是非!

日本語でも英語でも使用可能です。動画に、詳しく使用方法なども書いてあります。

foundpoetry.net

 

 

最後に;15日まで&限定公開です!

 ということで、ここでは「言葉のティンカリングとことばあそび」の感想を書いてきました。

でも、ここで書いたのはほんの一部なので、

実際に教師の方々の意見を聞きたい場合は、是非講座をご覧ください!

使われているスライドの資料なども、YouTubeの動画の中から見ることができます。動画内では英語版のスライドが使われていますが、日本語のスライドも概要欄から見ることができます。

 授業ではこうしたほうがいいかもしれない、といった内容なども、いくつか動画内で語られています。また、参加者の方々からの質問などは、聞いていてとても面白かったです。

 

 英語でジョークっぽく返したことも、日本語に直すと笑いが薄れる気がするのはなんでなんでしょう…

通訳というクッションを挟むと笑いが薄れるのか空気がそうさせているのか、カルチャーの違いがそうさせるのか…

そこらへんも考えてみると面白そうですね。

 

 動画自体は限定公開となっていて、

リンクを知っている人でないと入ることができません!

なので、興味のある方は全国大学国語教育学会のTwitterなどで調べるか、このブログから動画に飛ぶか、という風になると思います。

15日までなので、興味のある方はぜひ早めにご覧ください。

 

 最後までお読みくださりありがとうございました。この公開講座、自分でも参加したかったな、と思いますが、教師でない(生徒の)私でも見ていて楽しむことができました。でも、次回は自分で参加してみたいです!