こんにちは。
この頃、「こうギャップターム過ごしてたらよかったかな〜」とか、「こうしてみたかった!」 などのギャップタームの案が今更出てきていて
もう一回と言わず2回ぐらいならまたギャップターム過ごしてみたいとか思っています…。
ISAKに行くのはもちろんとても楽しみですが、それでもギャップタームも効率的に使うととても楽しいと思います。
ギャップタームの4ヶ月以上ずっと図書館の本を借りて913.6(現代小説・ノベルス)の書架を読み尽くすとか、
本気でずーーーっと勉強するとか、なんか資格取るとか…。
今考えればかなり使い道はありましたが、悩む時間も必要だったから結果オーライ!(この言葉って死語なんでしょうか…?)
さて、今回は住野よるさんの小説、『か「」く「」し「」ご「」と「』を読みました。これからは『かくしごと』として表記していきます。
目次
- 『かくしごと 』どんな作品?あらすじ
- 読後すぐの感想:「変わらないじゃん」
- 本の表紙の大切さ;この本にイメージカラーをつけるなら?
- 題名にかくされた意味とは…①題目と章
- 題名に隠された意味とは…②ネタバレ注意です!!「かくしごと 」のもう一つの意味
- 終わりに;次のブクレポも楽しみにしてもらえると嬉しいです!
『かくしごと 』どんな作品?あらすじ
まずは、本について。『かくしごと』は住野よるさんの4作目の長編です。
「君の膵臓をたべたい」は、アニメは何回か見て内容は好きなのですが、本はとても好きというわけではありません。
文体があまり好みではなかったのですが、この前住野よるさんの「また同じ夢を見ていた」を読んで、
一冊読んだ本が好きでなくても作家さんの食わず嫌いはしてはいけないな、と改めて思いました。
この作品は、とてもデリケートな主人公たちの隠された心情を、事細かに綴った本となっています。
この「かくしごと」という本は、5人の高校生の心情を描いた本となっています。男子2人、女子3人の混合グループです。
それぞれが特殊な能力を持っており、それを気にしながらも恋愛や学業などの「青春」を楽しんでいきます。
キャッチコピーは、
きっと誰もが持っている、自分だけの「かくしごと」。
趣味が合うからとか、昔からの幼馴染だからとか、
単純なきっかけから5人は仲良くしていきます。
でも、5人には少し人とは変わった「かくしごと」があります。
他人の感情が、矢印やバー、感嘆符にトランプのマークなどでわかってしまうのです。
誰も、この能力は他の人が持っていないものだと認識していて、
内容は少しずつ違えど自分の「イツメン」もこの能力を持っているとは思っていません。
そのまま、
知っているのに知らないふりをしたり、
お節介を焼いたり、
周りに何か支えてもらうこともあれば支えてあげたり、
普通の高校生として、ただちょっと「かくしごと」がある高校生として、生活しています。
読後すぐの感想:「変わらないじゃん」
この本を読んですぐの感想は、
「なんだ、変わらないじゃん」
ということ。
私はまだ高校生ではありませんが、
中学校でもそれなりの人間関係を築いてきたつもりだし(もともと社交性があるわけではないので人並みですが)、
色々年限関係で困ったこともあります。
友達の恋愛を応援したり、自分の将来に悩んだり、
本に出てくる人たちより三年間幼いかもしれないけど、それでも同じようなことをやってきました。
その中で、「自分に人の心を読む能力があれば、」と何回思ったことか。
自分がそういう能力を持っている=他の人が私の心を読むこともあり得る、ということなので、
本気で欲しくなったことはありませんが、そうであればどんなにらくだろうと思ったことはなんどもあります。
でも、結局人の心を読めてもそれで問題が解決するわけではないんですよね。読めるだけで、干渉はできない。
私だけが読めるということがわかっていれば、「普通よりちょっと先回りできる聡い子、人付き合いのうまい子」、ぐらいの印象はつくと思いますが、それで後になって辛くなるのは私な気もします。
実際は本の中ではグループ全員にそういった能力がありますが、それが他のメンツにバレていないということは、結局あまり違いはないのかもしれません。
人の心が読めないで、人間関係に困っている。
そこから人の心が読めるようになったら、
次はその原因がわからなくて人間関係に困るのかもしれません。
人の感情の原因がわかるようになったら、
次はその人にどう動いてもらうかで悩み、
そしてその人が自分の思い通りに動かないように悩み…
結局、原因は様々なものだとしても人はどんどん悩んでいくものです。
自分とは違う個の存在である他人との関係なんて、特に若いうちは悩まない人の方が少ないと思います。
他人の心がわかるようになっても、
それは私たちを次のステージに立たせてくれるだけで、歯がゆいのは同じまま。
なら、不必要に自分が傷つかなくてもいいように人の心なんて見えない方がいいのかもな、と思いました。
自分にとってプラスの感情を向けられるなら、それはどちらかというと居心地のいいものなのかもしれません。でも、もしいつもしゃべっている人たちが、笑顔なのに嫌悪の感情を持っていることに突然気づく日が来たらー。
人間不信になりそうですし、結局は
「自分が知りたいときだけ、その人の感情を知ることができる」能力が一番ありがたいのかな、
と思います。欲しい情報はありがたいけど、それに付随して欲しくなかった情報が見えるのは、特に最初の頃はきついはずです。
まとめると、人の感情がわかっても大きくは変わらないだろう、という感情と、
この本の登場人物たちが三角関係とかにならなくって本当に良かった…という安堵が真っ先に思い浮かびました。
これ、三角関係とかだったら本当に修羅場だと思いますよ!
普通でもそうなのに、
この場合は人の気持ちがわかるんだから
傷ついて、傷つけあって、
人を傷つける自分にも自己嫌悪になって、、、。
誰かまた一人違う人が現れたりせずに
最終的に全員ハッピーエンド♡とかになったら「流石に無理がある!!」と突っ込むむほどには修羅場だと思います。
本当に三角関係にならなくてよかった…。
本の表紙の大切さ;この本にイメージカラーをつけるなら?
本を読み終わった後に考えたのは、表紙の絵がとても似合っているな、ということ。
淡い青色を基調とした、教室と登場人物との絵なのですが、この印象にぴったりです。(記事のはじめの方に載せてあります。)
登場人物たちは、様々なことを考えています。
ある人はキラキラした感情を持っているかと思えば、
ある人は暗くて冷たい感情を併せ持っている。
灰色の感情の人もいれば、暖色を想像させる感情の人もいる。
そして、それぞれが優しい文体で綴られています。時々もやっとすることもあるけれど、それは、「まだ高校生なのに、高校生だから、」といった年齢でカバーできるものです。
本当に残酷な、深刻な、ドロドロした感情はあまりありません。
だからこそ、それらが人をきづつけない優しい文体で綴られていると、
いろいろな感情の色が一緒くたになって、
その後文体の優しさにつられて淡い色になるというか…。
そういったイメージを受けました。
本は、たいていいろいろな感情が交差します。
多くの人が出てくるものでも、少人数のものでも。
少なくとも私が読んできた本はそういったものでした。
だからこそ、文体や使われている言葉、雰囲気、そういったものが本の印象に強く関わります。
この本は、
人を傷つけない文体と、
描いている「青春」という言葉のおかげ、
そしてもしかしたら、最初から知っている「薄い青、水色」という表紙絵のおかげで、
水色の淡いイメージがついたのでしょう。
私は割と、本を思い出すときに内容もそうですが、表紙をよく思い出します。
いろいろな人がそれぞれのやり方で本を思い出すでしょうし、表紙から本を思い浮かべる、という人も多いのではないでしょうか。
その中で、表紙絵の色、デザイン、そういったものはかなり重要になってきます。
本を選ぶときに見るのも表紙、
本を思い出すときに見るのも表紙。
表紙は、その本を表す名刺のようなものだと思っています。
もちろん表紙と絵の印象が合致しないときや、
表紙からの期待度と本を読んだ時の満足度の落差が大きいこと、
もしくはその逆であまり興味のない表紙でも本の内容がめちゃくちゃ面白かったこと、そういうこともあります。
でも、表紙はやっぱり読書に欠かせない一つの要素だと思いました。
題名にかくされた意味とは…①題目と章
そして、この本を読む上で忘れてはいけないことが、題名です。
題名は『か「」く「」し「」ご「」と「』。
読んでいくと、それぞれの章ごとにちょっと章の名前が変わっていて…。
私は正直、各章の題名を最初はあまり気にしていなかったのですが、
途中でふと目線を上げると本文の上に横書きの章名が載っていて「うわ、そういうこと⁈」となりました(笑)
こういう遊び心いいですね。私はとても好きです。
本の内容に出てくる遊び心も好きですが、
これは「作者」がいて初めて成り立つものなんだ、と認識させられるような遊び心もとても好きです。
そして、あとひとつ題名に連なる隠された言葉が。こちらは、ネタバレします!!嫌な人は、目を閉じてちょっとスクロールを!!
題名に隠された意味とは…②ネタバレ注意です!!「かくしごと 」のもう一つの意味
題名の「かくしごと」。これは、完璧に「隠し事」の意だと思っていました。それぞれが、人の心がわかるという隠し事を持って青春の真っ只中を進んでいる。
だから、「かくしごと」の題名なんだと思っていました。
それが、登場人物の一人、エル
(某漫画に出てくる探偵を思い出させますが、ニックネームです。登場人物の一人は、個性的なニックネームを周りにつけています。)
が未来の「京くん」に書いた手紙の中の一文です。
私たちはひとりひとり性格も好みも考え方もまるで違うように、ひとりひとりにそれぞれ別の役割があるんじゃないかって。
それぞれが、各仕事を与えられて、そうやって皆が支え合っているんじゃないかって 思い始めました。自分が周りのみんなに何をしてあげられているかはまだあんまりわからないけど、一緒にいてくれるってことは、少しでも何かできることがあるのではないかと信じてみようと思います。
各仕事。
これは、題名の隠されたもう一つの意味なのでしょう。
自己肯定感が低く自分を評価できていない人、
芯から明るい人、
自己プロデュースのうまい人、
自然と相手の意思を優先してきた人、
人付き合いが苦手で臆病な人、
その他のクラスメイトなど、いろいろな人が本には出てきます。
それぞれが、自分のいるコミュニティの中で与えられた役割があって、その各仕事をこなすことで、コミュニティは運営されていく。
その通りかもしれません。友達、ではなくコミュニティといったら、確かにその通りです。
ただ、私はこの考えがあまり好きではありません。
私がISAKに行ったのは
「予想できる未来にしたくないから」、
というのが大きな理由の一つです。
自分が今クラス内で負っている役割のようなもの、位置付け、印象、これは高校に行ってもあまり変わらないだろうと中学生の時に思ったからこそ、予想のできないISAKに行きました。
これは、私の父親にも通じることで、あの人も同じような考えからイギリスに行ったり、長野にきたり…。結局今は楽しいので不必要な愚痴はやめておきますが…。
これが、会社に入った後とか、何か運営されていく必要のあるコミュニティの内部のみでのことなら、納得できます。
時には出しゃばることも必要かもしれませんが、与えられた仕事をこなさないうちには何も始まりません。
でも、高校生が、友達との中で、
自分がこの友達と関わる時にやらなければいけないことってなんだろう。
そう思うのは少し不自然に思います。
自分が自分のままでいられるから、イツメンなんじゃないの?
そう思えるのは、私が今まで友達に恵まれてきたからなのかもしれませんが、
それでもエルの考え方で行くと、いつか自分の本当にやりたいことを見失いそうで、脆く見えます。
周りから求められることをやり続けるのも疲れます。
だから、求められていることも適度にやりながら、自分がやりたいことをやる。
もしかしたら登場人物たちは、他人の感情が見えるせいで振り回され続け、他人に気を取られているうちに自分のことにあまり目を向けないようになっていたのかもしれません。
役割があるならそれはそれで楽だけど、自分のしたいことをやって、相手のしたいことを許容して、
それでこそ安心できるというか、楽しい空間は作られる。
そう思ってしまいます。
ただ、私が一回も経験したことのない高校生活を彼らは過ごしていて、
何より私より数個年上です!
私がまだ経験していない諸々を彼らは経験しているかもしれないし、本に書かれている以上に考えは深いと思います。
だったら、それを批判はできません。
私は好きな考えではありませんが、もちろんこういう考えだっていっぱいあるでしょう。
どちらも経験してみないと良さは語れませんし、人によって感じ方は様々です。
本の内容は、この手紙が書かれた少し後に、「エピロオグ」で題名にそっくりな終わり方をして、余韻に浸ることができるようになっています。
ハッピーエンドですし、特有のキラキラに触れられたかのような、ちょっとくすぐったい感じもある読後感でした。
だからこそ、高校生になってから読んだら(年齢的には高校生ですが)気持ちがよくわかるようになるのかも。そして、30、40になった時に読んだら、高校生活を振り返って、くすぐったくなりながら「こんな青春したかった〜!」とかいうのかも。
そういう、本を読む未来が想像できるのって楽しいし、幸せなことだと思います。
終わりに;次のブクレポも楽しみにしてもらえると嬉しいです!
ということで、今回はブクレポを書いてきました!
住野よるさんの『か「」く「」し「」ご「」と「 』です。
ぜひ、興味を持った方は読んでみてください。
爽やかなのは爽やかなんですが、
ちょっと甘い感覚や、少し感じる未来への不安・期待。
そういったものが楽しめる本だったと思います。
ちなみに、今は同じく住野よるさんの『夜のバケモノ』を読書中です。これもまた雰囲気の少し違った本なので、読み終わったらブクレポを書いていきます!
ぜひそちらの方も投稿されたらお読みください!
最後までお読みくださりありがとうございました。やっぱり読書は楽しいですね。うまく、考えたことが皆様に伝わっていたら嬉しいです!