こんにちは。今日は七夕です!私の住む地域では残念ながら催涙雨が降っています。催涙雨は、「雨が降り水かさが増したことで会うことができなくて流す悲しい雨」という解釈だと思っていましたが、その他にも「あった後に別れが辛くて流す雨」という解釈もあるそうです。どちらにせよ、かささぎに頑張ってもらいたいですね!
追記:この記事を書き始めた時は雨だったのですが、書き終わった時には上がっていました。二人が天の川で楽しく会えていたらいいですね!!
今回は、ジャレド・ダイアモンドさん著の『銃・病原菌・鉄』の感想を書いていきます。
前回、『サピエンス全史』の感想をブログで書いてきました。この本は、友達や親に薦められたもので、とても面白く読めました。このブログにも、6回にわたり感想を書いてきたと思います。でも、この記事に関しては感想というよりも要約、まとめ、といった意味合いが強くなっていました。
そこで、今回はまとめの部分がない記事を作ろうと思い、ネタバレなしの感想を書いていきます!
ただ、要約の記事を作るのも、自分が本の内容を理解するのに役立つので、この記事の後で自分なりに要約記事を書いていきたいと思います。
目次
- 本の概要紹介、著者・訳者紹介
- 本書に一貫してある問いは、どこからくるものなのか。
- 著者の考える発展の際の原因は?人種の違いか他の要因か
- 本を読むときのコツ・どういった作品?
- 最後に…:感じた違和感一部紹介
本の概要紹介、著者・訳者紹介
それでは、まずこの本のあらすじ紹介と、著者紹介をしていきます。
著者はジャレド・ダイアモンド。
1937年生まれの人で、カリフォルニア大学ロサンゼルス校で地理学教授を勤めています。
『文明崩壊』『人間はどこまでチンパンジーか?』などの著書があります。
生理学、鳥類学、進化生物学、人類学など、様々な範囲の研究をしている方で、Wikipediaの研究分野欄には7つの分野が乗っていました。
訳者の方は倉骨彰さん。数理言語学博士で、主要訳書に『インターネットはからっぽの洞窟』『ハイテク過食症』などがあります。
この本は、1998年度のピュリッツァー賞を一般ノンフィクション部門で受賞、また、同年のコスモス国際賞を受賞しています。
1997年刊行で、文庫版にもなっています。
歴史の考察本としてかなり有名だと思いますし、名前を聞いたことのある人、手に取ったことのある人も多いのではないでしょうか。日本国内でもよく紹介されています。
上下巻合わせて4部あり、19章分+プロローグ+エピローグになっています。
ちなみに、副題は「1万3000年に渡る人類史の謎」となっています。
とてもデリケートな話題もありますが、書くのは全て私が本を読んで感じたことです。これは間違いなのでは、不適切なのでは、といった内容がありましたら、ご指摘くださると助かります!
本書に一貫してある問いは、どこからくるものなのか。
みなさんが、「世界史」と言われて想像するのはなんでしょうか。
よく思いつくのは、中世ヨーロッパの貴族の姿だったり、芸術だったり、もしくは人類の起源だったりするのではないでしょうか。
中学校の歴史で学ぶ世界史は、多くがヨーロッパを舞台としたもので、アフリカなど他の地域を中心に取り上げるのは中国・韓国の歴史か、人類の起源・オリエント文明の歴史くらいだったと思います。
少し話が飛びますが、住む地域で、人の肌の色は少しずつ変わってきますね。
例えば、私は日本人でアジア系の「黄色人種」に入るし、ヨーロッパの人の多くは白色人種。アフリカの方に住む人は多くが黒色人種です。
こうやって単純にまとめた他にも、アボリジニやアメリカ先住人、またその他の人種でも、肌の色は少しずつ変わってきます。
昔は、こうした肌の色の違いが原因で「人種差別」がまかり通っていました。
もうその概念は浸透していないと思いますが、それでもいまだに人種差別の考えを持つ人はいますし、それで攻撃的になる人もいます。とてもデリケートな話題です。
それほど多くの人種がいるのに、世界史といって思い出すのはヨーロッパがメイン。もっというと、白色人種の人を思い出します。
ナポレオンやカール大帝、モンテスキューにマリー・アントワネット。
産業革命が最初に起こったところでもあるヨーロッパ。やっぱり、世界史というとヨーロッパが先進的だ、というイメージが強いです。
でも、今一度考えてみましょう。
人類の起源はアフリカです。
正確にいうと、猿人などの初期の人類の祖先の化石はアフリカで集中して見つかっています。
そして、原人、旧人の段階でユーラシア大陸やその他の地域に広がり、新人まで来るともう現代人と同じグループになります。
私たちの祖先が元はアフリカで誕生し、進化していったというのはわりと認知されているはずです。教科書にも、そう書いてありました。
それでは、なぜ人類が最初に誕生したアフリカではなく、ヨーロッパが発展したのでしょう。
なぜ、アフリカの人たちがヨーロッパから技術やものなどを享受するのみで、その逆の関係にはならなかったのでしょうか。
何も、アフリカの人のみとは限りません。
なぜ、ヨーロッパ諸国や中国など、古来から権力を握ってきたというか、制服を繰り返してきた国々はユーラシア大陸に起源を持つ国なのでしょう。
南北アメリカ大陸の先住民、アフリカ大陸の人々、そしてオーストラリア大陸のアボリジニが、
ヨーロッパ系やアジア系の人々を殺戮したり、征服したり、絶滅させるようなことが
なぜ起こらなかったのでしょう。
この本では、
なぜ人類社会の歴史は、それぞれの大陸によってかくも異なる経路をたどって発展したのだろうか?
という問いについて話を進めています。
著者の考える発展の際の原因は?人種の違いか他の要因か
ヨーロッパ諸国が他の地域や国を征服し始めたのは、大航海時代の西暦1500年代でした。
その時にはもう、金属器や家畜、政治構造などで発達して、地球一周できるほどの航海術もヨーロッパにはありました。
でも1642年にヨーロッパ人がタスマニア島を探検した時、
島民たちは数万年前の旧石器時代後期のヨーロッパで使われていたものよりも
単純な石器を使っていました。
こういった発展の違いの理由を、探検家たち、当時のヨーロッパの人たちは、生物学的差異だと考え始めました。
持って生まれた能力が民族によって違うから、産業化された社会の人がその他の社会にとってかわるのも適者生存と考えられました。
遺伝学が進歩しても、ヨーロッパ人は他の民族よりも知的な遺伝子を持っていると考えられていたのです。
その民族の能力差を肯定していたため、肌の色の違いを取り上げた人種差別が認知されていました。
そういった人種の違いによる能力の差異、という考えを、根本から否定するのがこの本です。
人種の違いではなく、他の要因によって人類の進歩はスピードが違った。そして、三つのあることによってヨーロッパ諸国は他の国を征服できた。
その「三つのあること」というのが、本の題名ともなっている「銃・病原菌・鉄」です。
この三つが重要となった事例を挙げているのが、インカ帝国とのスペイン人との争いでした。
インカ帝国へのスペインの進行は、小さい時から『漫画 世界の歴史』で読んでいました。牢獄に連れて行かれたインカ帝国の王様が、「この部屋のこの線まで黄金を積み上げる」といって解放され、その後スペイン人は約束を破りインカ帝国を滅ぼします。
なぜ、当時その地域で一番栄えていたインカ帝国が、土地の利もないスペイン人に敗れてしまったのでしょうか。
本を読んでいけば、その原因も少しずつわかっていきます。
この部分は、とても面白かったです!昔読んで、記憶に残っていた歴史の出来事のため、納得することも多ければ初めて知ることも多くて、読んでいて楽しかったです!
本を読むときのコツ・どういった作品?
ということで、どんなことを書いているのかや、問いにつながることについて書いてきました。ネタバレはしてない…ですよね?
この本、読んでいて最初は入り込めませんでした。
まず、内容が一部サピエンス全史とリンクしていて、そこで少し違う描写があったりすると混乱してしまうことが理由の一つです。
そして、読む時に間を開けながら読んでしまっていたこと。
これも、少し前を読み直せばなんとかなるのでしょうが、分量が多いため読み直しよりも読み進めるのを優先してしまいました。
また、書いてある言葉の多くが親しみのないものだったことも理由の一つです。
例えば、ニューギニア人やヨルダン渓谷。名前は聞いたことがっても、地理的にどこにいたのか、どこにあるのか、あまりわからないまま読んでいました。
これも調べればいいだけなのでしょうが、そういった単語が多かったため、自分の知識がもう少しあれば、もっと楽しめたんだろうな、と思います。
その三つの理由により、あまり入り込めず、上巻はよくわからないまま読み進めてしまった、というのが現状です。下巻は、教訓を生かして一気読みしたので、あまりそういったことはありませんでした。
だから、読む人には
- 出来るだけ内容を覚えている間に読む
- 自分の持っている知識とすり合わせながら(混乱しそうだったら完璧に分けて)読む
- 知らない単語は調べる
の三つを大事にしてもらうと、内容がすっと入ってくると思います。
一言で感想をまとめると、
社会の授業で歴史と地理を一緒に学ぶ意味がわかる
作品です。
今までの授業で習ってきた事柄が、別の視点でどんどん結びついていくのは、とても爽快というか楽しいです。
学術書が好きな人でも楽しく読めるでしょうし、あまり読んだことがない人でも面白いかもしれません。
感覚だと、サピエンス全史の方が読みやすかったですが、サピエンス全史の内容とごっちゃにしたくないという人は先に読んだ方がいいかもです。
最後に…:感じた違和感一部紹介
日本のことについても時々出てくるんですが、違和感はありました。
なんか、多くある事柄のうちのいくつかを取り上げて、短絡的な結論(ミスリードのようなもの)を誘っているように読める部分があったと思います。
それに、著者はアルファベットを効率的だと賛美し、漢字を
効率のよいアルファベットや仮名文字でなく、書くのが大変な感じを優先して使うのも、漢字の社会的ステータスが高いからである。
日本は、日本語の話し言葉を表すには問題がある中国の文字の使用をいまだにやめようとしていない。
などと評しています。
私が日本で生まれ育って、漢字に全く抵抗がないというのも理由の一つだとは思うのですが、この意見に共感できないのはそれだけではない気もします。
確かにアルファベットは字数が漢字と比べて圧倒的に少なく、漢字は覚えるのが大変です。
それでも、表意文字には表意文字の特徴があると思いますし、表音文字と表意文字にはそれぞれメリット・デメリットがあるとも思います。
この部分は、読んでいて共感できませんでした。
GHQによるものや、それ以外にも、これまで漢字廃止論や漢字制限論などありましたが、識字率の高さなどを理由に、今でも日本語はローマ字表記にはなっていません。
名前、苗字の多様さも、この表意文字が一つの理由だと思っていますし、ローマ字で『雪国』とか読みたくないです…。
国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。が、
kokkyono nagaitonneruwo nukeruto yukigunideatta. になるんですよ。
同じ発音の言葉も日本では多いため、漢字によって読み取れることは本当に多いと思います。
こういった漢字を使い続ける意味については、私はまだ少しネットで検索した以外何も勉強していないため見当違いのことを言っているのかもしれません。
ちゃんと調べたいとも思いますし、調べていないうちから適当に批判することはおかしいのかも。でも、違和感があったのは間違い無いので書いておきました。
また、病原菌の影響の強さや怖さなどの取り上げ方から、少し違和感を感じたところもありましたが、それは本編の解説などで取り上げたいと思います!
最後までお読みくださりありがとうございました。ネタバレをしないように気をつけながら、感想や思ったこと、ある程度のあらすじや本での問いなどを書いてきたました。本の内容をまとめる記事は、今度また書いていきます。ぜひそちらもお読みください!