うぐいすの音

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『銃・病原菌・鉄』第3部の問いまとめ、感想 〜日本で起こった技術の退化など〜

 こんにちは。毎週書いている気がするんですが、休日は少し忙しいので毎週疲れます…。今日も、やらなきゃいけないことを含めてこれから頑張っていきます!

追記:時間の合間合間に書いてたら日付変わる直前になってしまいましたが…

   ちなみに、下の絵は一応「鉄」のつもりです!

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 さて、今回は、『銃・病原菌・鉄』の第3部の感想を書いていきます。ネタバレなしの感想、第1部の要約・感想、第2部の要約・感想を今まで書いてきたので、興味のある方は是非そちらもご覧ください!

 

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目次

 

 

本の概要紹介、あらすじ紹介

 

 今回は、ジャレド・ダイアモンドさん著の『銃・病原菌・鉄』第3部の感想、要約などを書いていきます。

要約は少しにして気になったことについて調べながら書いていくつもりです。

それでは、『

 

 

』第1部の感想から本の概要、著者紹介についてを引用してきます。

 

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著者はジャレド・ダイアモンドさん。

1937年生まれで、カリフォルニア大学ロサンゼルス校で地理学教授を務めています。様々な分野を研究しており、著書に『文明崩壊』などがあります。

 訳者は倉骨彰さん。数理言語学博士で、主要訳書に『インターネットは空っぽの洞窟』などがあります。

 

 

 本自体は、1997年発刊です。1998年のピュリッツァー賞一般ノンフィクション部門を受賞しており、同年のコスモス国際賞も受賞しています。

 

 歴史の考察本として有名で、文庫にもなっています。副題は『1万3000年に渡る人類史の謎』です。

上下巻合わせて4部構成で、19章+プロローグ+エピローグの構成です。ページ数は、上下巻どちらも300ページ超くらいです。

 

 

 本書では、「日本語版への序文」の中で、『逆転の人類史』という言葉を持ち出しています。その言葉通り、この本では世界史の中で注目されているヨーロッパに着目しているのではなく、それ以外の東アジアや太平洋領域から人類史を考察しています。

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第11章:病原菌の凄さ、改めて…

 

 次は、第3部のちょっとした要約です。どういった問いがあって、どういったデータが使われているのかなどを書いていきます。

 第3部では、「銃・病原菌・鉄の謎」ということで、上巻の第11章から下巻の第14章までをカバーしています。

 

 第11章では、「家畜がくれた死の贈り物」ということで、病原菌についての話でした。大まかに言えば、取り上げられている問いはこんな感じです。

 

  • なぜ、いつから、集団での感染症は発生するようになったのか
  • なぜ農業の勃興によって集団感染症が出現したのか
  • 旧大陸ユーラシア大陸など)からやってきた病原菌はどこまで影響したか
  • なぜ新大陸(征服される側)からヨーロッパに伝播した致死性の感染症は少ない(ない)のだろうか

 

これらの問いに加えて、家畜や農業の存在、そしてこの病原菌の利用例などが書かれていました。

農業により感染症が〜というのは、『サピエンス全史』で読んだことがあったのでそこまで驚きはしませんでした。

 

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でも、中には「2000人の集落が数週間で40人以下に減少」などという表記があったため、それには流石にびっくりしました。もちろん、感染症が免疫のない人にとっては本当に怖いものだということは知っています。

感染症の恐ろしさは、ここ2年ほどで私たちも身にしみたはずです。

しかも、その感染症が相手を滅ぼすことを目的に使われたら、それは猛威を振るうはずです。

感染症の影響が故意的なものだったか否かに関わらず、感染症の存在は侵略に大きく関わっただろうな、と思いました。

 

 もしも日本が鎖国していなくて、いろいろな地に外国人を招き入れていたら、江戸時代に開国直後に流行ったコロリ(コレラのこと)ももっと影響力のあるものだったかもしれません。

といっても、そもそも九州から始まって江戸まで影響している時もあるので、結局は「治ってよかったね」というしかないですが…。

箱根の関所など、物資や人の交流が厳しかったのもあまりコロリが流行らなかった理由なのかもしれないです。

 

 新大陸に話を戻すと、

全体で見たときにどれくらいの人が感染症で命を落としたのかがしっかり書いていなかったので、

どれくらいが感染症で死んで、どれくらいが武力的な戦争で死んで、どれくらいがそれ以外の死因だったのかなどのデータがあれば見てみたいと思いました。

ただ、それは都合の良すぎるデータなのかも…

 

ちょっと、関連した本などを読んでみれば運よく見つかるかもしれません。頭の片隅に置いておきます。

 

 

第12章:問いなど紹介

 

 第12章は「文字を作った人と借りた人」。ここでは、

  • 文字がなぜ作られたのか
  • なぜ文字が早くに近隣に広まった地域と、そうでない地域があるのか
  • 歴史上、文字を早い時期に手に入れた地域はなぜ曖昧性を減少させていないのか

といったことをテーマに話を進めていました。

 

 発展の間で、文字が使われるようになったのは他の発展したものに比べるとかなり後期だそうです。

その理由や、なんのために文字が必要だったのかなど。

また、文字が発展する中で、自分たちだけで文字を作り出すことの難しさも書いていました。

 

シュメール人がどうやって文字を作り出していったのかの歴史も書いてあります。

表意文字表音文字、いくつかの文字のケースがあって、それが組み合わさっていったり単純化されていったり、読んでいるだけで「解読した人すごいな…」と思うようなものでした。

 

植物や家畜がユーラシア大陸で伝播に有利に働いたのは、「東西に広がっているため」ということはこの前までの記事で確認してきました。

文字の伝播も、それと同じです。

シュメール人の模試は西ヨーロッパからインダス、中国の文字は南アジアから日本まで伝播しましたが、エジプト文明の文字は広がりませんでした。

 

 

第13章:地理的要因が多すぎ!本当にこれだけなの…?

 

 第13章「発明は必要の母である」では、『銃・病原菌・鉄』の銃や鉄に代表される、技術の発達について書いています。

  • どういった地域で、最も早く技術は発達するのか
  • 技術伝播と地理的要因の関わり

このうちの「どういった地域で最も早く技術は発展するのか」は、本書に詳しく書いてあるので是非読んでみてください。

 

 ここでは、「技術伝播と地理的要因の関わり」について書いていきます。

本では、これも東西南北の広がりによる違いだといっていました。

 

緯度が等しいということは気候も似ている場所が多い。

だから、南北に広がる地域よりも東西に広がる地域の方が物事の進み方が早くなる。

 

農作物も地理的要因、

家畜も地理的要因、

武器や技術も地理的要因、

文字や文化も地理的要因、、、

もう、それならユーラシア大陸(ヨーロッパや中国)が発展したのも文句はないですよ!!

 

 ただ、これが本当に正しいのか。ここら辺で私は不安になってきました。

書いてあることは全て筋が通っていますし、一つ一つの章に書いてあることは理解できるんです。

 

でも、そこまで環境に全てを任せるのは少し違和感があります。

環境ももちろん大きい要因だとは思うんですが、

地理的要因以外にも発展の違いが出てきた理由はないんでしょうか…。

 

 人種差別的考えに後戻りしたいわけでは当然ありません。

その考え方を否定して、地理的要因が原因であると提言したのがこの本なのですから。

 

でも、あまりにも全てが地理的要因なので、もっと他の要素で地理以外がかかわる進化の違いなどがないのかな、と思いました。

 

というか、多分あると思います。こういう歴史的なことって色々な説が台頭しているものだと思っているので。

本を読めばそれにたどり着けるのか…。知りたいことが本を読むと増えすぎてしまうので困っちゃいますね…。とりあえず、また似たような本を見つけたら読んでみたいです。

 

 

第14章と第3部でのまとめ

 

 それでは、第14章「平等な社会から集権的な社会へ」に。

ここでは、

  • 大規模な集団はなぜ集権化していくのか
  • 階級社会で、労働の産物が上流階級に渡ることを平民に我慢させる理由は何か
  • 愛国心の誕生と、その影響について
  • 社会の併合の原因は何か

などについて書いていました。

 

 戦争の脅威が、特に最後の方で書いてありました。

小さい集団が自ずから自治権を放棄して併合されることはなく、帝国などの外的要因によるもの、ということです。

 

 弥生時代を教科書で学ぶ時に、『「ムラ」から「クニ」へ』という単元があったと思います。その、小規模団体から大規模団体に移るまでの過程をとても詳しく説明している感じ…というのが適した説明なのでしょうか。

 この部分は、本書に色々な事例を持ち出しながら書いてあるので、是非そちらを読んでみてください!

 

 第3章では、タイトルの『銃・病原菌・鉄』の3つの要素について、よりくわしくふれてきました。

 

 病原菌の発達(というか発生?)はどういったことが原因だったのか。銃や鉄などの発達に、地域ごとのバラツキがあったのはなぜなのか。

そういった発達について、文字を含む文化や集団としての特性を踏まえた上で考えてきました。

最初は、第1部でインカ帝国とスペイン人との争いでこの三つが出てきて、そこで新たな発見があった、と思っていましたが、

この本の本題は3部に入ってから始まるのかもしれません。読み直していて、そう思いました。

 

 

最後に:日本の技術の放棄、歴史考察本を読むときには

 

 最後に、本に書いてあった「日本の技術の放棄」について少し触れていきます。

本では、

「人類史上には、強力な技術を自ら放棄し、その理由がよくわからない社会が存在する」

の言葉で始まる部分があります。

そこで紹介されているのが、「銃」という武器を自ら放棄した日本でした。

 戦国時代、銃はポルトガル人によって伝えられ、多くの戦に活用されてきました。よく紹介されるのは長篠の戦いでしょうか。(ちなみに、あの戦いは銃のみが効果的に使用されたわけではなく、そのほかの地形や布陣などの要因がとても多く関わっています。)

 本の言葉をそのままいくつか引用します。

 

サムライたちは、戦場で名乗りをあげ、一騎打ちを繰り広げることに誇りを持っていた。しかし、そういった伝統にのっとって戦う武士は、銃を撃つ足軽たちの格好の餌食になってしまった。

 

また、銃は、1600年以降に日本に伝来したほかのものと同様、異国で発明されたということで、所持や使用が軽蔑されるようになった。

 

やがて幕府が銃の注文を減らす段になると、実用になる銃は日本からほとんど姿を消してしまったのである。

 

 

うーん…

正直、日本の歴史を日本支店で習ってきた私からすると突っ込みたいところはいくつかあります。

 

まず、江戸時代は安泰だったことがいちばんの前提です。

江戸時代は戦乱の世が終わった後の太平の世の中で、長距離攻撃のための武器などは銃以外も制限されていました。

 

刀は、

短距離攻撃にしか向かないのと、

護身用になるということ、

そして武士としての身分証明になるということで、帯刀が許されていたのです。

 

ちなみに、銃は禁止されていたとはいえ藩に置いてあるところも多かったですし、長崎御範の肥前などは大砲も用意していました。

ただ、諸外国とのやりとりが禁じられたため技術のアップデートができず、旧式の銃のみで戦うことになってしまったため、幕末から明治維新にかけて旧式の銃は新式の銃にぼろ負けしました。

 

そして、銃が禁止されたため公には火薬の技術を継承することができません。そこで、娯楽用として火薬の技術が継承されたのが、今の花火です。硝石も国産体制があったはずです。

 

農村では、害獣駆除のためにも銃が使われていたと思います。ただ、一揆を防ぐためにも火縄銃の効能を上げるという考えはありませんでした。

 

こういったことは、ちゃんと出典があることではなく、

私が今まで本や漫画を読む中で集めてきた知識ですが、間違いがあったとしてもそこまで多くはないはずです

こういった知識の上で読むと、「別にその理由が主ではないんだけどな…」という感想がすごく出てきました。

 

当然、全部の知識を正しく書くなんて想像できないほどの重労働でしょうし、

諸外国から見ればこれも「技術の退化」に他ならないのかもしれません。

こうやって、

その土地の人のは少し疑問に思われながらも世界中に浸透している知識は多くあるんだと思います。

そういう知識があっておかしくない、ということを前提に本を読んでいきたいです。

 

 ということで、今回は第3部の内容を少しまとめて、感想を書いてきました。面白そうにかけているでしょうか。興味を持っていただけたら幸いです。

多分、あと一個か二個で終わるのでお付き合いいただけると嬉しいです!

 

 最後までお読みくださりありがとうございました。日本の銃の歴史など、とても興味深い内容がたくさんありました。楽しかったです!