こんにちは。
昨日、自分が前にいた中学校に行って学校司書の先生に色々とお話を聞いてきました。私が小学生の時にいた学校図書館はあまりいい環境とは言えない部分もあったので、長野県に来てからは小学校も中学校も私の知っているよりは充実していてとても嬉しかったです。
司書の先生にお話を聞ける機会なんて今のうちしかないと思っているので、とても貴重なお話でした。しかも、知り合いの方にも色々と図書館関係の話を教えてもらっているので、人脈って本当に大切だな〜と思いました。
目次
本のあらすじ、著者紹介
今回は、本つながりで『復興の書店』という本の感想を書いていきます。
まずは、本のあらすじと著者紹介から。
『復興の書店』は2012年に小学館から出版されました。
本は、2011年3月11日に起こった東日本大震災と、その影響を受けた書店たちについて。
東日本大震災で被災した書店は岩手、宮城、福島で391店。この3県の書店数の約9割に当たります。
ネットの普及などに連れて本の需要が薄くなってきた時代。
そこで、震災をきっかけに書店関係者がどう動いたのか。
そういったことを描いています。
著者は稲泉連さん。ノンフィクション作家の方で、1979年生まれです。
『僕が学校を辞めると言った日』で文芸春愁読者賞を受賞しています。
震災の中で改めて感じる、紙の本の大切さ
縁起でもないですが、もしもまた大きな津波を伴う大地震が起きたら。
ネットも重くて使えない状況で、震災の情報しか流していないテレビとともに、避難所でずっと過ごすような状況になったら。
何も手に取るものがない時に、皆さんは何をしますか?
「活字離れ」という言葉があるほど、今本を読む人は減ってきています。
だから、震災直後に被災した書店を開こうと頑張った人たちも、
「果たして需要はあるのか、本屋を開店させるよりももっと必要なものがあるのではないか」
と最初は思っていました。
だけど、被災地の人々は書店側が想定していたよりも本に飢えていました。
ただの情報ではなくて、地図や雑誌、震災情報誌、それだけではなくパズル誌や実用書、そのほかの本でも、いろいろな種類の本が必要とされていました。
本というのは趣味の一部で、何か大変なことがあったときに生活の中で最初に切られるのは趣味の部分だから、本屋を再開しても本は売れないだろうって。
でも、それが逆だったんです。
普通は食料や水だと思うじゃないですか。お客さんがお店に集まってくる様子を見て、自分の仕事ってこういうものだったんだ、と発見した思いでした。
これは、宮城県石巻市の書店・金港堂に勤める方の、震災後に営業が再開された時の心境です。
実際は、本は生活に絶対必要なわけじゃないんですよね。
それがなくても生きていけます。音楽や、嗜好品も同じです。不必要なものだけど、それでも生きる時に必要なもの。
矛盾した言葉しか使えない語彙力なのが悲しいですが、本はそういうものだと思っています。
社会生活を送る上で必要なもの、ということになるのでしょうか。
地震の被災者がメインのため、読んでいて悲しくなる場面ももちろんあります。津波の時の心境を語っているパートなどもありましたし、津波が来た時にどう動いたかを書いているところもありました。
水に浸かった本、流された店舗、瓦礫が侵入した店、流通が滞るおかげで全然届かない新刊、、、
読んでいて、辛い描写はもちろんあります。
私ですら辛くなったんだから、その本を毎日見て整えていた書店員さんが水に浸かった本を見た時の心境は、察することすらできません。
本って、水に浸かると膨らんで棚から出なくなるんですね。そんなことも初めて知りました。知らなくていい知識だったけど、知ることができてよかったです。
知っておかなければいけないことだとも思いました。
私は、今長野県に住んでいるため、津波が来ることはまずありません。でも、将来沿岸沿いに住むことがあるかもしれないし、災害は地震だけとは限りません。そうなった時に、自分の好きなものがどういう風になるのかを、少しでも知っておいたほうがいいはずです。
人はパンのみにて生きるにあらず
悲しくなるところもある上で、読んでいてとても嬉しくなる本でした。
私は、そこまで多くのジャンルや数を読んでいるわけではないですが、本を読んでいる方だとは思います。
だから、いくつかの本で「本屋さんの利益は下がってきている」「本の必要性は薄れている」と言った文章を見ると悲しくなるし、本が好きな人が少しでも増えるといいな、と思っています。
そんな状況でこの本をよむと、なんというか、嬉しくなりました。
いつもは軽視される時もあるかもしれないけど、本はやっぱり大切で、必要なものなんですね。
衣食住が欠けると生きていくことが難しくなります。絶対に必要なのは、食料や水であって本ではないかもしれません。
でも、
不安を和らげるため、
辛い時に楽しくなる時間を作るため、
一人で過ごす時間を作るため、
子供の笑顔を見るため、
色々な要素から本は必要でした。
本は生きるためには必要なくても、生活していく時にないと辛いもなんでしょう。
本書の中には、こんな言葉が出てきます。
人はパンのみにて生きるにあらず
この言葉どおりなはずです。
少なくとも本が好きな人が読んだら、嬉しくなる。そんな本だと思います。
本屋さんで働く人たち
自分たちの家だって被害にあって辛い状況のはずなのに、本屋を開くのはとても大変なことだと思います。
教育はとても大切という信念のもと、教科書だけは何がなんでも4月までに間に合わせなければいけないと必死で教科書を揃える姿。
本を配送するための流通が滞っているから、自分で本を取りに行く姿。
阪神大震災のことを思い出して、すぐに店を開店させたジュンク堂。
本屋さんに働いている人は、本が好きで、本のことを大事に思っているんだな、とかんじました。
もちろん、全ての書店員さんが本を好きでいなければいけない、ということではありません。
本屋さんを始めたくても始められなかった人たちもいるでしょうし、諦めざるを得なかった人もいるはずです。
この本に書かれているのは一部の本屋であって、
全部の本屋ではないということはわかっていなければいけないけど、
それでも本を好きな人たちがこんなにいる、と感じられるのはとれもうれしいです。
まとめ:読後の感想
この本を読んで、より本が好きになりました。
「本なんて〜」「別に読みたくもないし、、」そんな言葉を聞くこともあります。
でも、それは自分のいる世界の話のことで、世界を広げれば本が好きな人もいっぱいいるし、本を必要としている人もいっぱいいるはずです。
本に関わる仕事がしたいというわけではありません。
だけど、本に関わっていたい、と思いました。
本を読むことを仕事にしてしまうと、ただただ楽しく本を読む間に、何らかの意義を無意識につけてしまいそうです。
だから、本を読むことを仕事にしたくはないです。
でも、本に関わること。ISAKで何らかのプロジェクトをやるのでも、バイトでも、何でも本に関わっていきたいです。
より本が好きになって、より本が大切になる。そんな話でした。
電子書籍が普及してきている今日この頃。私も、i文庫とかで本を読むことが少しずつ出てきています。
だけど、久しぶりに紙の本を買って、読みたいなと思います。
書店があるってとても幸運なことだと申し、本がある環境に小さい時においてくれた親にも改めて感謝です!
最後までお読みくださりありがとうございました。読んでいてとても楽しい本でしたし、ところどころ感動もので涙腺が…。本は無くならないと思うし、なくなって欲しくもないです。この方の本、他にも読んでみたいと思いました。