うぐいすの音

17歳の女子が運営しているブログ。本のレビューなどしていきます。

太宰治『桜桃』感想 少しずつ感想を書いていきます。うまく書けなくてすみません…。

 こんにちは。この頃は、色々な予定が詰まってきていて、日常からの旅立ち(大げさ?)を感じさせます。いろんな人に会って、感謝の意を伝えたいですね!

 

 今日は、太宰治新潮文庫短編集『ヴィヨンの妻』より、『桜桃』の感想を書いていきます。

 

 

短編集の紹介、著者の紹介等は今までの記事からのコピペとなります。

 

 

 

目次

 

 

 

短編集紹介、著者紹介

 

 それでは、まずは短編集紹介、著者紹介など。以前までの記事からコピペします。

 

 

 

 

短編集は、新潮文庫の『ヴィヨンの妻』です。全部で8編が収録されています。

いずれも太宰の晩年に書かれた作品で、「死の予感」が読み取れるものも多くあります。

  1. 親友交歓
  2. トカトントン
  3. ヴィヨンの妻
  4. おさん
  5. 家庭の幸福
  6. 桜桃

このうち、7作目の「おさん」は以前ここで紹介したことがあったので、7作の感想を書いていこうと思います。

 

chirpspring.hatenablog.com

 

 著者紹介も。

 

著者は、太宰治です。太宰はもう有名ですね。

教科書題材でも『走れメロス』は定番ですし、『人間失格』という作品も題名のパワーがすごいので印象に残っている人も多いのではないでしょうか。

 青森県出身の作家で、戦前から戦後ぐらいにかけて活動しています。自殺未遂や薬物中毒などかなり破天荒というか、クセの強い人生を送ってきています。

 

この前、太宰治読了のまとめ記事も作ったので、興味のある方は是非そちらものぞいてみてください。

 

chirpspring.hatenablog.com

 

 

 

『桜桃』あらすじ

 

 このお話に、あらすじをつける必要はあるのでしょうか。そう思いたくなるようなお話です。

 

わずか10ページの中に語られた、夫の「私」目線のズタズタな家族の現状。

これは、あらすじをつける意味があるのでしょうか。読んでもらえればわかります。

あらすじというのは、その文章の内容を全ていうのだと長くなりすぎるから、その内容を短くまとめて書くものです。

(「短く」という意味では、私の今まで書いてきたあらすじも、太宰の本を別の言葉で少し簡略化してまとめてきただけなので、そぐわないのかもしれませんが…。)

 

 主人公は「私」。彼の妻と、彼の子供達との関係について。

家にいると鎖でがんじがらめになっているように、あまり何かを言うことができない「私」。夫婦の悩みの種となっている長男。そして妻の用事と、「私」の快楽。

 「私」はやらなければいけないことを妻に言われるも、そこで口論のようになりまた外へと出て行きます。

 

そして居酒屋に行き、出された桜桃を見ながら、

子供達は桜桃など、見たこともないかもしれない。食べさせたら、喜ぶだろう。

と思いつつ、極めて不味そうに食べては種を吐きます。

 

その間に虚勢のように思うことは、

子供よりも親が大事。

 

 

 強いてあらすじをいうとしたら、こんな感じになるのでしょうか。タイトルの『桜桃』が出てくるのは、本文の中でも最後から8行目です。

 

 

 

『桜桃』感想

 

それでは、感想を書いて行きます。

まず言っておきたいのが、この話が太宰の最後の短編小説です。

彼は昭和23年の6月に愛人と心中しましたが、『桜桃』は23年の5月に発表されています。死ぬ直前に発表された、ということです。

 

太宰の命日は、今でも「桜桃忌」という名前がついています。

 

この話も、そうした「死の予感」たっぷりと言った形の本でした。

感想を書くのが、とても難しいです。

 

まずは、文章に対する感想ではなくこの作品に対する感想を。

この作品は、かなり好きな作品です。

前のブログで、作家としての太宰を主人公としてみるのではなく、あくまで作中に出てくる「私」を見て本を読みたい、と言いました。

でも、この作品ではそれも難しい

全部本当のことなんでしょうか。

出てくる子供達の年齢、長男がいわゆる「白痴、唖」だということ。諸々を取っても、太宰に見えてきます。

『家庭の幸福』よりも「もうどうにもならない」と言った感情が顕著な気がします。

 

 なんか、文章を読んで受ける印象が「諦め」に見えてくるんですよね。もうどうしようもない、どうにもできない。

子供の存在(特に長男の存在)も太宰(勢いで太宰と書いてしまいましたが、本来は「私」ですね)にとってはかなりのプレッシャーだったのかも。

子供のためにこうしなきゃいけない、ああしなきゃいけない。

そう言った「子供のため」を、「子供よりも、その親の方が弱い」「常に子供達のご機嫌ばかりうかがっている」と描いています。

 

 

 

 

 あーーーー!!!!

感想が書けない!!誤解しないでください、この短編、大好きなんです!大好きなんです。短編集『ヴィヨンの妻』も、また色々な作品があって、それぞれ面白かったですが、強いて一番を決めるならこの作品なんです。

本当に、読んでいて色々と思うところが出てきます。だけど、いろいろなことを持ってしまうからこそうまく言葉にまとめられません。すっごい歯がゆい気持ちです

 

 

 とりあえず、頑張って感想を書いて行きます。

まず、私が読んでいて気がついたのは、冒頭で

子供より親が大事、と思いたい。

と言っていること。

 

「と思いたい」って言っているということは、本当の正解はそうでないとわかっているんです。

実際は「子供より親が大事」ではないけど、「子供より親が大事」と思っていたい。

いつもいつも子供のことで神経をすり減らして、それがいろいろな面で足かせになったり重荷になったりしてきている。その存在に振り回されるのは親。

「子供より親が大事、と思いたい」んです。

 

 この短編の最後の文は、

そうして心の中で虚勢みたいに呟く言葉は、子供よりも親が大事。

です。

 

ここで、私は

最初の文では「と思いたい」と言っているけど最後の文では断定だから~

みたいなことは思っていません。

多分、これは、「私」が物語の途中より家庭から逃げているから、その背景があった上で自分の意見として断定しているんだと思っています。

だから、別に最初と最後で感情の動きがあったというわけではないと思うんです。

 

 子供よりも親が大事、自分が大事、自分をもっと労りたい。

話の中身が濃くて、一言で「私」がどう思っているのかなんて絶対にまとめられません。

 

 「私」は文字通りいろいろなことを考えているのでしょう。

 

母も精一杯の努力で生きているのだろうが、父もまた、一生懸命であった。もともと、あまりたくさん書ける小説家ではないのである。極端な小心者なのである。

 

私は議論をして、勝った試しがない。必ず負けるのである。

 

生きるということは、たいへんな事だ。あちこちから鎖がからまっていて、少しでも動くと、血が噴き出す。

 

生きるって大変なんでしょう。誰か他人と生活を共にするのも、大変な事なんでしょう。

もう、私は「私」を批判できません。

『家庭の幸福』の時は、主人公の「私」の言い訳だと書きましたが、

ここまで弱気な言葉が節々から読み取れると、別に同情を目的に描いた作品でもなさそうなのに、流石に「私」を批判したくなくなります。

 

哀れだし、助けたくもなるし、擁護したい。

でも、結局「私」がどうしようもない男だというのも、また間違いではないんです。

どうしようもない男に、様々な問題がのしかかり、どうしようもない男がさらにどうしようもなくなります。

 

 

 

 

もう、仕事どころではない。自殺のことばかり考えている。

 

こう言った文章を読むと、これが日記に見えて仕方がありません。

本当は、全て太宰の身に起こった事なのではないか。太宰が日記として書いたのではないか。

 

読んでいて悲しくなります。こんなに、作者の存在を意識する小説はなかなかないと思います。作者の存在に揺さぶられてはダメだと思っていても、揺さぶられちゃいますね

 

 

太宰の自殺の原因の一つとして、長男の存在が挙げられています。ダウン症を患っていた長男が、太宰たちの重荷となり、それが心中の手助けをしたのでは…と。

 

本の中で、一番印象に残ったのは、この長男の存在についての文章です。2文ほど、この長男について書かれた激しい文章があります。

「!」は、太宰の文章にあまり出てきません。でも、所々に使われていて、それがとても効果的です。

他の話でもそうでしたが、「!」が使われている部分を読むと、ここで作者は感情を爆発させたいんだな、と言った思いを持ちます。

長男に関しての部分も、『桜桃』の物語の中で唯一(多分…)エクストラメーションマーク「!」が使われています。読んでいて、本当に「私」も苦しかったんだろうな…と。

 

 

 

最後:うまく書けず、すみませんでした!

と言うことで、一応ここで感想を終わります…。

全然まとまった文章を書けなかった〜!!でも面白かったんです!

自分の文章力と語彙力を恨みます…。

割とくらいので、あまり好みではない人もいるかもしれません。でも、興味を持った人がいたら是非読んでもらいたいです。

 

うーん…、もっと精進しなきゃですね。久しぶりにブクレポでここまで悩みました。

この記事を上げるかどうかも少し悩みましたが、それでもせっかく書いたので、上げておきます!

 

太宰治の『桜桃』、とても面白かったですが、私が感想を書くにはまだ少し早かったのかもしれません。これから、また時々読んでいって自分の中で感想もまとめてみたいです。

ちなみに、『桜桃』とはもものことではなくサクランボのことです!私は調べるまで知らなかったので…一応書いておきます!

 

 最後までお読みくださりありがとうございました。精進していきます!これで興味を持たれた方がいるかはかなり不安ですが、もしも持たれたら!ぜひ!