うぐいすの音

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東北紀行1日目 :岩手花巻、賢治の里巡り ~1日賢治堪能コース

こんにちは。

今日は、以前家族で行った東北旅行の感想を書いていきます!

 

今年の夏、私の家族は3泊4日で東北に旅行に行ってきました。

全行程はこんな感じ。

1日目:岩手県花巻市宮沢賢治生誕の地巡り)

2日目:岩手県遠野市柳田國男遠野物語』の舞台)→青森県八甲田山資料館(新田次郎八甲田山死の彷徨』で有名)

3日目:青森県金木町(太宰治生誕の地)→青森県北津軽郡中泊町(太宰『津軽』の舞台)→青森県五所川原市(太宰ゆかりの地)→青森県木造駅(遮光器土偶「しゃこちゃん」がモチーフ)

4日目:青森県弘前市弘前の市立博物館→旧弘前市立図書館→太宰治の高校時代の下宿先)

 

有名な観光地などもいきたい気持ちはあったのですが、今回は各々の好みを優先させ、結果的に文学旅に。

そんな東北旅の感想を、長くなるのでそれぞれに分けて記録していきます。

 

まずは1日目。宮沢賢治を巡る旅から。

 

 

新花巻駅到着!

賢治の里と言われる岩手県花巻市

賢治はここで、生誕から中学の寮に入るまでの間、そして高校卒業後は東京と花巻を時々行き来しながら、37歳で没するまでの生涯を過ごしました。

 

そんな賢治の故郷に行こうとした直接のきっかけは、家族の賢治好き。私の家族、私以外はかなり賢治が好きで、その中でも多分弟が特に好きなのかな?とは言いつつ、「花巻市のルートは弟に作ってもらおうか〜」などと弟を隠れ蓑にしながら、実際のところは両親どちらもかなりの賢治好きです。

私もその中で遅れを取らないために『グスコーブドリの伝記』をはじめとする何編かの賢治作品を読んでから行きました。

 

ちなみに、このグスコーブドリの伝記、私の中の賢治像が変わるほどに自己犠牲の色が強い作品でした。今までの私の中の賢治は、「青い照明」の印象が強くありました。小六の際に学校で音読した『やまなし』の書き出し「小さな谷川の底を写した二枚の青い幻燈です」の端麗な表現に心を惹かれ、そうした表現の綺麗さに特に心を惹かれていたのですが、『グスコーブドリ』は表現に気なんて配れなかったんです。

でも、個人の感想ではありますが、私はこの自己犠牲を「美しい」とはあまり思えなかったので、その理由を探って行きたいところ。

 

 

早朝に長野県を出発し、新幹線で新花巻駅へ。

レンタカーを借りる前に少し駅内を回っていると、大谷翔平の写真が大きく飾られている展示コーナーが。花巻市の高校出身なんですね…。野球に疎いので見つけた時はびっくりしましたが、100年の間に賢治と大谷翔平を輩出している花巻市、観光資源には事欠かなさそうです(笑)

 

 

その後レンタカーを無事に借りて、早速花巻市内を散策。

 

羅須地人協会で一息

一番最初に羅須地人協会を訪問しました。

羅須地人協会とは、賢治が岩手県花巻農学校の教員を退職した後に1年ちょっと一人で暮らした建物です。農業に関する知識を農民に伝えるための私塾として使われていました。

 

この建物、現在は岩手県立花巻農業高等学校(旧:花巻農学校)の敷地内に賢治像とともに建てられています。玄関に入る前から黒板に書かれた「下ノ畑にニオリマス」を発見し、「おお〜!」と感嘆の声を上げながら建物内を見学。賢治が、長くはない間とはいえ過ごした建物です。移築復元されたため場所は違いますが、穏やかに流れる時間の中で賢治の影を探せるところです。

 

 

 

建物自体は1階しか見学できず、部屋の数も2つのみのためあまり広くはありません。ですが、特に黒板や幾つもの椅子が用意されている教室の役割を果たしていた部屋には解説用の展示物がいくつも並べてありました。

 

 

じっくり見れば30分くらいでしょうか。写真も撮る方なら、陽光の差し込む建築がとても美しいのでいくらでもいられると思います。

私は残念ながら後の予定が詰まっていたことや蜂がかなり飛んでいたことから早々に退散。蜂の巣は、農業高校の教員の方にお願いして駆除していただきました。もうちょっと写真撮りたかった…。

 

街中の賢治ゆかりの地:イギリス海岸、はくちょうの停車場

次に行ったのはイギリス海岸と「はくちょうの停車場」。

イギリス海岸とは、賢治が北上川西岸に名付けた名前。当時は水位が今よりも低く、常に泥岩層が見えていました。これをイギリスのドーバー海峡の白亜の海岸を連想させると言って「イギリス海岸」と賢治が命名。まんま「イギリス海岸」という作品も存在します。

 

www.aozora.gr.jp

 

そして、『銀河鉄道の夜』に登場する「白鳥の停車場」。作品内では「プリオシン海岸」への入り口に位置します。それを意識したのか、イギリス海岸のすぐそばに停車場がありました。ちなみに最初はここの存在を知らず、イギリス海岸に行くために道を検索していた時に発見しました。実際に使われているバスの停車場「イギリス海岸」のすぐそばに簡易待合所のような形で造られており、夏の入道雲と相まって賢治作品に入り込んだような錯覚を覚えるほど。

 

 

 

 

この白鳥の停車場を見た後にイギリス海岸に行ったのですが、あまり川には近づけない上に現在は特に泥岩層も見られないので、言ってしまえば普通の川です。それでも、だだっ広く広がる草原が対岸に見えると、「ああ、これが賢治が見ていた景色なんだな」と感慨深くなったり。

 

 

ちなみに、この泥岩層、現在はダム建設などで水位が上がったため滅多に見られないんですが、賢治の命日である9月21日には毎年花巻市が各ダム会社と交渉して水位を下げる努力をしているんだとか。直近では6月にも、好天が続いたため水位が下がって泥岩層出現!とのニュースがありました。

 

 

www.city.hanamaki.iwate.jp

 

近くにある小舟渡八幡宮にも少し顔を出して、お参りした後に何枚か写真を。

 

 

羅須地人協会跡地と賢治自耕の地

そのあと向かったのは羅須地人協会が移築される前に建っていた場所。

今は高村光太郎の書による「雨ニモマケズ」詩碑が建っています。こちら、1936年に造られたようなのですが、その後賢治の草稿と食い違っていることが発覚し10年後に高村光太郎自身が修正を碑に書き入れています。立派な詩碑なのに所々漢字を書き入れて修正しているので、どこかそのミスマッチ感が微笑ましく思えたり。賢治の遺骨の一部がこの碑の下に埋葬されているそうです。

 

詩碑の前には木々に囲まれた静かな広場があり、その下には見下ろすような形で畑と北上川、そして遠くに山が広がっています。羅須地人協会の黒板にあった「下の畑」はこの畑。眺望もよく自然が広がる中で時が止まっているように感じられました。

 

暑い中だったので決死の覚悟で、15分ほど歩き今も残る「賢治 自耕の地」へ。

この場所は一時荒れ果てていたのを、賢治ファンたちが集まって当時の畑を再現しようとしたものだそうです。日差しを遮るものは畑につくまで何もないので、暑い最中に行く方々は本当に気をつけてください。砂利道で細い場所もありますが、車でも行けます。

 

 

 

畑自体は色とりどりで、白菜、トマト、ヒヤシンス、チューリップをはじめとする当時は珍しかった野菜が植っています。これらも全部賢治が実際に育てていたもの。花壇も作られていて、春から夏にかけては色彩豊かな光景を楽しめるんじゃないかな。

すぐ近くには北上川が流れていて、その雄大さには一瞬驚きました。ベンチが用意されているので少し風を感じるのも気持ちいいと思います。この段階ですでに1時近かったため、お昼ご飯のために後ろ髪を引かれながらも退散。

 

 

賢治の世界に触れる

お昼ご飯を無事済ませたあとは宮沢賢治記念館、宮沢賢治童話村、宮沢賢治イーハトーブ館・ポランの広場の三部作。

 

宮沢賢治記念館

午前中の予定が押しに押したため(原因は多分白鳥の停車場ではしゃぎすぎたこと?)残り3時間未満でこの三つの建物を回らなければいけないという超強行軍。急がなければ急がなければと思いつつ宮沢賢治記念館の資料の数に圧倒され、かなりの時間滞在しました。こちら、賢治が好きな方はぜひ行ってください。テーマごとに色々な展示物があり、賢治の生涯、思想、影響など様々なことを学べます。私たちは1時間と少しいた程度でしたが、全てじっくり見ようと思えば2-3時間はいられるんじゃないでしょうか…。

 

www.kanko-hanamaki.ne.jp

 

私は疲れもあり早々に見終わったのですが、いつもは博物館系はすぐに巡る弟がじーっくりと舐めるように展示を見ていたため、4時半に閉館する宮沢賢治童話村に着いたのが3時45分。やばいです。ちなみに3個目に設定していた宮沢賢治イーハトーブ館・ポランの広場は5時閉館。

 

宮沢賢治童話村

駆け足で童話村を見よう…としたもののここも展示は素晴らしくて。まず玄関が「銀河ステーション」ですよ?この時点で悪い予感はしました。結局4時半にイーハトーブ館につく予定(一応最終入場時間が4時半なんです)だったのが、出たのは4時40分前とかだったと思います。でも1時間以内に収めた、頑張った!

 

 

賢治記念館は対象年齢は少なくとも中学生以上だと思いますが(ただ展示を見るだけなら幼くても楽しめるでしょうが、それなりにしっかりとした内容です)、この童話村は全年齢楽しめるはず。賢治の世界を再現した四つの部屋から始まり、色々なお話のミニチュア模型や、テーマごと(動物、鳥、鉱物、星…)に賢治の作品に出てくるものをさらえる部屋など。

 

 

イメージ通りのミニチュアもあれば、「あ、この色にしたんだ!」と少し違った解釈を楽しめるミニチュアも。賢治の世界観を表した部屋は全て綺麗で、特に最初の星空の中にいるような部屋は圧倒されます。もう少しあそこにいて写真を撮りたかった…!!!

下の星の写真はテーマごとに賢治の作品に出てくる星をまとめた部屋にて。

 



宮沢賢治イーハトーブ

超絶駆け足で入った宮沢賢治イーハトーブ館(入れました!)はこれまたすごい内容で。

賢治の『春と修羅』に特に焦点を当てた、初版本や草稿、研究論文などがずらっとみやすく展示されています。時間の都合上1階の展示コーナーしか見られませんでしたが、流し見するだけでも新しい発見がいくつもある場所でした。

いくつかパンフレットなども置いてあるので時間がなくてもパンフレットを持って帰れば家で復習ができます!!

 

グッズについて!

そして、よく見る賢治関連のグッズに関してはこのイーハトーブ館が一番オシャレかも。賢治に関する書籍もずらっと並んでいて、ここにいれば賢治の特徴が網羅できるんじゃないかと思うほど。文庫本から新書、全集まで揃っています。グッズはクリアファイルやマスキングテープ、フレークシール、しおりなどの文房具屋さんで売っているようなものが多くありました。マスキングテープは色々なところで今売られているShinji Katoの宮沢賢治幻燈館から。このシリーズかなり好きなので色々な文房具店で探しているのですが、イーハトーブ館ほど品揃えがいいところは見たことがありません。

 

ちなみに宮沢賢治資料館は正統派で、雨ニモマケズの巻物だったりちょっとした小物だったり、どちらかというと堅いグッズ。賢治資料館のそばにある山猫軒という喫茶兼売店の建物にはTシャツやしおり、コップなどのもう少しバラエティ豊かなグッズが揃っています。

宮沢賢治童話村は2店舗売店があり、時間の都合上1箇所しか覗かなかったのですがそこは山猫軒のようなどちらかというと正統派なグッズ揃え。それだけではなく、地元のテーマに沿ったグッズなどもあったかと思います。多分もう一つの店舗はお菓子などの消え物を扱ってたんじゃないかな。

 

 

振り返り

 

今回は時間がなかったのであまりしっかりとは巡れませんでしたが、最後の三つの建物は大体1時間くらいは短くても見ておいた方がいいと思います。宮沢賢治記念館に関しては、もし賢治が好きなら2時間はいられるかもしれません。

 

私はあまり賢治に詳しいわけでもなく、一般程度の知識・読書歴しかありません。それでもその世界の美しさ、感性、そんなものに少し触れられた気がします。あと、ちょうど今CanDoで賢治関連のグッズが売り出されていて、住んでいる地域にCanDoがないため花巻で賢治グッズを購入しました!

他の売店で買ったグッズ達の方がそりゃあしっかりしているとは思いますが、違うデザインのものが手に入っただけでも嬉しい!

 

この日は夕食は岩手名物の冷麺やホルモンを食べて終了。

宿に帰ってぐっすり寝ました。

花巻、とても素敵なところでした!

 

ということで、最後までお読みくださりありがとうございました。東北旅1日目の感想はこんな感じ。めちゃくちゃ楽しかった…!次はいつか、賢治についてもうちょっと詳しくなった後に行ってみたいです。また違う発見がいっぱいあると思うので。