うぐいすの音

17歳の女子が運営しているブログ。本のレビューなどしていきます。

軽井沢ブックフェスティバル2023 レポート2日目!!

 こんにちは、うぐいすです!こんな頻度(1日おき)でブログを更新したのはもう一年前以上のことではないでしょうか…。自分で自分にびっくりしています。

 

 

ブックフェスについて

今日は、軽井沢ブックフェスティバル2023の2日目が終わった感想を書いていきます!昨日はしっかり書けなかったのですが、軽井沢ブックフェスティバルというイベントが、9/23と9/24の二日間にわたって軽井沢にあるライジングフィールドという自然あふれる場所で開催されていました。主催者はひのなおみさんという「森の作文教室」を軽井沢で実施されている編集者さん。その他にもさまざまな方が集まって、このブックフェスティバルを運営しました。私と私の父親も実行委員として参加していたのですが、私はほとんど何もせず…。結局は当日まであまり実行委員らしきことをせずに過ごしてしまいました(本当にすみません!)。ですが、それでも連絡の進み方や役割分担の仕方など「大人がプロジェクトを行うとどうなるのか」を間近で見ることができ、面白かったです。

そして、当日は会場のお手伝いやカメラマンなどをして過ごしました。ほぼほぼ普通の参加者のような形ではありましたが、実行委員として参加することができて本当によかったです!

 

いらっしゃったゲストの方も本当に豪華で、さまざまな道の第一人者と言われるような方々がいらっしゃっていました。

昨日(1日目)は2つのセッションがあり、「このテーマでおすすめの本は?」を軸にした本の紹介がメインのものと、一人出版社(一人、もしくは少人数で出版社を経営している方達)の方を複数名お呼びして対談をしてもらうというもの。この感想は昨日の記事に書いているので、ぜひご確認ください!他にも焚き火×朗読×ライアー(楽器)の時間などもあり、本当に贅沢な時間でした。

 

1日目の感想記事はこちらから→

 

chirpspring.hatenablog.com

 

 

振り返ってみれば、1日目は、自分が本が好きだということを確認する日だったかのように感じます。まずさまざまな本の紹介を聞きながらどんどん積読を増やしていき、その後本ができるところから人の手に届くまでの過程をぎゅっと濃縮した一人出版社の方の話を聞き、その後自然の中で人に読み聞かせしてもらいながら本を味わう。なんともはや贅沢な時間で、本が好きな人たちがここに集まっているということを実感できる日でした。

 

二日目(今日)は、そこから少し進んで、本との付き合い方を考えた日になったと思います。合計3つのセッションがあり、それとは別に3つサブセッションがあったのですが、どれも本当に面白かったです。

 

セッションの感想

 

まず、朝は座禅のセッションから始まりました。

正直、座禅は何回か授業でやったことがありますが、必要性を感じてきたかといえば「うーん…」と言葉を濁すような印象を受けています。ちょっとドキドキしていったのですが、ライジングフィールドという森に囲まれた草っぱらで芝生に足をつけながら静かな時間を過ごすというのは、ちょっとした新体験でした。部屋の中でしたメディテーションとは全く違う気持ちよさもありましたし、単純に自然の音が元々好きなので、心地よい時間でした。

この頃テストに追われていたこともあり、そういえばストレッチ全然してなかった…!!とストレッチをしたい気分にも。朝一だったからこその、心の切り替えというか、その日を始めるスイッチになったような気がします。

 

そして、その次のサブセッションは中学生が主催した「未来の本」を考えるというものその中学生も同じく実行委員で、二日間を通してかなり仲良くさせてもらったのですが、セッション自体もとても面白かったです。

まず、最初に参加者の「幼少期に読んだ心に残った本」をシェアする時間がありました。つくづく思うのですが、人の好きなものの話を聞いている時間に不快になることって、ほとんどないと思うんです。自分がそれを好きなら尚更、嬉しい気持ちや楽しい気持ちになると思います。

本好き同士が集まった場所ですから、当然誰かが発表するたびにあちこちから納得の声や同意の声が上がります。その空間がとても居心地が良くて、改めて自分が本が好きなことを実感しました。

時々、「本なんてなんで読むの?」「本が好きなんて真面目だね」のような、本があまり好きではない人たちからの声を聞いたこと、もしくは言われたことがあります。その度に、本を好きでなくてもいいから、本を貶さないで欲しいとずっと思ってました。本を尊重して欲しいと。そこにいる人たちは全員、あまり本を読まない人でも、本を軽視したり、貶めたりする人がいないんだなと思うと、なんだか無性に嬉しくなりました。

 

そのサブセッションでは、自己紹介の後「未来の本」をテーマに(時間が押していたため元々は3つだったところを)2つの質問に対して考える時間を取りました。本当はそれをシェアして話し合って…したかったのですが、そもそもの開始時刻がかなり遅くその次のセッションまであと10分と言ったような状態だったので、付箋に書いてそれを貼るだけ。

それでも、設問がとても面白く、しかも時間切れの緊張感もあったため、ぽんぽんとさまざまなアイデアが飛び出してきていて面白かったです。

質問はそれぞれ「目で楽しむ本は、どんな本?(本の定義を一回ぶち壊して考える)」だったり、「本が今全部なくなったとしたら、1000年後の本はどんな本?」などと本の限界突破というか、本という概念を改めて考え直すもの。今紙の本がどんどんデジタルに押されてきている時代、将来はどうなっていくんだろうという疑問のもとのワークショップでした。

このワークショップ本当に面白く、二つ目の質問だけでも「みんなが自分のことを書いた本」「心の声を語り合うプライベートツール」「水素とCO2でできた紙の本」などとさまざまな答えが上っていました。今度同じようなセッションを、もう少し時間をもってできるといいねという締めで終了。なんでそう考えたのか、気になる回答がたくさんあったので次回はぜひ時間が十分にある中でやりたい…!!

 

そして、時間は第三セッションに。

個人的に一番楽しかったのは第三セッションでした。ここでは、本を届ける人たちが登壇して対談を。ブックコーディネーターの内沼晋太郎さん(バリューブックスの方です)、本屋経営やNPO「読書の時間」理事長など多岐にわたる仕事をなさっている田口幹人さん、シェア型書店「ブックマンション」主催者の中西功さん、、図書館プロデューサーの岡本真さんの四人が登壇なさり、ジャーナリストの浜田敬子さんが司会。

 

本当に贅沢の言葉に尽きるセッションで、さまざまな形で私たちに本を届けてくれる人たちが過去、現在、未来の本のあり方について語るんですから、学ぶことがたくさんありました。

印象に残った話のうちの一つに、潰れる本屋の話がありました。

今までの20年は、チェーンの本屋が広がっていったことで、小さい町の本屋が潰れていった。

今は、ネットの普及によりチェーン店が潰れている。

これからの20年は、教科書がデジタルになることで、まだ残っていたけれども学校という大きな取引先を失った町の本屋が潰れていく。

本屋がなくなっている、本がどんどん手に届かなくなっていく。そんな話は色々なところで耳にしますが、ここまで単純明快にその理由を語られると、納得を通り越して感心してしまいました。

しかも、公共機関である図書館が地元書店を優遇するわけにもいかないですし、既存の書店を残そうと公共施設が本屋から本を買えば買うほど、本屋はできるだけ安く本を売らなければいけなくなる(公共施設は「安い=正義」の考えです。やっぱり税金ですし…)ため赤字になる可能性が。

聞けば聞くほどこれからってどうなるの…?みたいな暗い話から始まりましたが、そこからどんどんバリューブックスの内沼さんをはじめとして本屋を経営している方や関わっている方の話が始まっていきました。

 

ここで感想を全部書くと長くなってしまうので、詳しい感想はまた後の方で書いていきます。

 

 

お昼を挟んで第四セッション。「軽井沢 本の學校」が、3つの作品を通して本当の触れ方について語ってくださいました。聞けば聞くほど読んでみたいと思いつつ、本は表現の場だということを強く感じました。その作家さんの感じたこと、思っていること、興味のあること。それが、徹底的に言葉で表されているのが本なのだと。

その人がどういう言葉で世界を見ているのかを垣間見れるのが、本なんだなと。

最後は本の具体性と普遍性についてゲストのスケザネさん(書評か)が少し語り、そこで第四セッションは終了。

 

少し合間を挟んで第五セッションへ。

第五セッションは、装丁に関する話でした。装丁やデザインを生業にしている人たちが、どう言ったことを考えながら今本を作っているのか。

もともと、私は本は紙で読みたい派です。それは、電子書籍だと触覚フィードバックが得られなくなり内容の理解度が下がるという理由からのみではなく、本を表紙やその紙の質感なども含めて一つのものだと思っているからです。

もちろん電子書籍は便利ですし、私も使います。使っている人が多いのも当たり前のことだと思います。

でも、やっぱり本の裏には本を届けたい人がいて、その中には紙を選んで、デザインを決めて、箔を押して、もしかした手作業の作業もあって、箱を作って。そんな背景を想像すると、そうした質感を含めた、触覚を含めた状態の本を受け取りたいな、と思うのです。

 

(ただ、第四セッションで出た話の中に「電子書籍を貶める健常者は呑気なものだ」と語った重度障害者である作家さん、市川沙央さんの「障害者は読書から切り離されている、健常者のみが本を楽しめる一種の「マチズモ」」という意見がありました。こうした「本は紙で読みたい派」という言葉も、私が健常者だからこそ言える言葉なのでしょうが、そこに関してはまた今度深く考えるとして話を進めます。)

 

そんな思いがもともとあったため、今回は初めて装丁家の方や本をデザインした方のお話を聞けて面白かったです。どんな思いでやっているか、どれだけ力を入れているか、そしてどれだけ頑張っても別に入ってくるお金の量が大きく変わるわけではないというちょっと世知辛い小話も…。

 

今まで以上に、本の質感が味わえることを意識しながら、感謝しながら本に触れていきたいなと思いました。

 

 

それが最後のセッションとなり、その後は出店を見ながら本を買ったり参加者の方と話したり。大満足で終わった1日でした。

 

終えてみての感想

このブックフェスティバル、最初はちょっと不安でした。私もあまり関われていませんでしたし、そもそも参加者もそこまで多くなく。こんな豪華なゲストなのに、なんで数十人しか人がいないんだ?と首を傾げたくなるような状況での開催でした。

ですが、終えてみて思ったのは、このフェスティバルは人を選ぶな、ということ。

万人が楽しめるイベントでは全くなく、特にセッションに関してはある程度本が好きで、そっちに知識がある人なら楽しめる内容だったように思います。正直私がわかるところは少なく、本来の価値の何割ほど私は受け取れたのか、あまり高い割合のようには思えません。

 

ですが、それでも楽しくて楽しくて、本が好きだということを何回も痛感するほど、本当に学びも喜びも楽しみも多い二日間でした。

 

特に第三セッション。

昨日のブログでも書きましたが、私は小二の時の夢が「本のホテルを作る」こと。昨日絶対に実現させたいと思った夢が「本の博物館を作る」こと(詳しくは昨日の記事で!)。なんなら去年の夏頃は「本を勧めあえるコミュニティ作り」に興味がありましたし、思い返せば本が自分の人生に占める割合って本当に大きいんだな、と感じます。

 

その根底にある思いが、「本を届けられる世界にしたい」ということ。

先程もちらっと書きましたが、「本を貶さない人たちの世界」への憧れがもともと小さい時からありました。そこから考えたのが、本が身近にあれば本を貶さなくなるんじゃないかな、という単純なもの。そして長野に東京から引っ越し、手に入れられる資料の量に愕然とした後、「本が身近にある世界」への憧れがより強くなりました。

 

例えば、今授業でカミュについてやっているのですが、カミュサルトル論争について書いた『革命か反抗か』や、サルトルの思想について書いた「実存主義ヒューマニズムである」が収録された『実存主義とは何か』が、近隣の行動圏内(と言っても電車で小一時間、交通費は往復千円以上)にある図書館全てに蔵書がないんです。近くにある本屋さん数軒に行ったのですが、そこにも関連書籍すらなく。

本屋に行くのも図書館に行くのも、基本は車がないといけませんし、自分だけで行こうとすると時間もお金もかかります。そこまでニッチな本でもないですし、東京に住んでいた時は近くの図書館、もしくは本屋に行けばなんでも手に入ったのに加え、自分の読みたい範疇では都立図書館や大型書店で手に入らない本なんてほとんどなかったのにな…という、引っ越し当初からあったくすぶりをまた強く感じています。

今読みたい本が、今欲しいんです。できれば2000円かけてAmazonで買いたくないんです。それを一回許しちゃったら、際限なく買ってしまいそうな気がするから。でも、ここまで来たらもうオンラインで買うしかないのか、という気もしています。

そんな環境にいれば、どうしても「本が身近にあること」への意識が強くなります。

 

私がしたいことは、本や知識を届けることなんだと思います。

こんな本があるんだよ、こんな本屋さんがあるんだよ、こんな面白いことが世界にはいっぱいあって、人生を賭けてもそれは網羅できないんだよ。

言葉を介して本や知識を届け、その中で人と人との繋がりができていく。

それが私の今の時点でのやりたいこと。

 

そんな私にとって、まさに本を届ける仕事をしている人たちの話を聞けたのはとても大きかったです。

出版業界とはまた違う、個人や小さい集まりで本を扱う「出版界隈」の存在。「本が嫌い」に注目して作ったシステムで、自分の興味の向こう側に必ずある本を探し出すワークショップ。

心惹かれるさまざまな取り組みの中で、私が実現できるかもと思ったのが、棚貸し書店。お店の中にある棚を「棚主」が自由にデザインできて、本が置けるスペースです。シェア型本屋とも呼ばれます。このセッションでは2名の棚貸し本屋さんがいらっしゃったのですが、その中の一人が棚作りは「推し活」だということをおっしゃっていました。

 

本を進めることって、結局は推し活と同じだと思うんです。自分が好きなものを人に勧める。自分が好きなものの好きなところを人に伝える。サブセッションで自分が好きな本をみんなが紹介したのも、推し活って言えると思います。

つまり、その推し活は、受け手が嬉しく、楽しくなるものじゃないでしょうか。人が好きな本について目を輝かせて話しているときの、聞き手も感じる高揚感。あの高揚感が少しでも味わえるのが、棚貸し本屋な気がします。

 

リアルで棚を作って本屋を作るのは、今の私には少し難しいかもしれません。

でも、ステップを踏んで、いつか何かが作れればいいな。そう思っています。

まずは、軽井沢の森の中で。ゆくゆくは、もう少し大きいところで。

 

どれだけニーズがあるかわかりませんし、今の自分がちょっと舞い上がっていることも自覚しています。ブックフェスティバルの興奮のままに全てを軽く頭の中で考えていることもわかっています。

でも、本が好きで、本を通して人を知ることも好きで、何より自分が他の人の作る本棚を見たいんです。それがバーっと並んでいるところを見たいんです。

 

感情的だからこそ楽観的になれる今、夢を語れるだけ語って、それを最初は勢いで、その後は着実に、しっかりと、進めていきたいです。

 

なんというか、二日間、あっという間でした。

この頃全く本が読めていなくて、「本が好きです」というたびに「でもこの頃は全然読んでない」「本当に自分は本が好きなのか」という考えがちらっと頭をよぎるようになっていて。

でも、ここまで今回のイベントを楽しめるということは、やっぱり私は本が好きで、本から受け取る世界や知識が好きで、本を通して人と繋がることが好きなんだな、って思いました。

参加できてよかったですし、来年は高確率でこのイベントに参加できない(大学もどこかわかりませんし…)ことが残念でなりません。

ここで生まれたアイデア、縁、繋がり、好奇心を大切にして過ごしていきたいな、と思います。受験を前にしてどんどん忙しくはなっていますが、どんどんやりたいことが吹き出して、言葉にしないと治らなくて、手が震えてしまう、そんな瞬間を味わえました。本当に、参加できてよかったです。(語彙力がないのが悲しくなります。)

 

最後までお読みくださりありがとうございました。長い、乱雑な文章にはなってしまいましたが、ブックフェスティバルの感想でした。興味を持たれた方は、ぜひ来年のブックフェスティバルに参加してみてください!とても楽しくなると思います!