うぐいすの音

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垣根京介『午前3時のルースター』読了! 感想書きます

  こんにちは。そろそろ、連続投稿が厳しくなってきたような…。ちょっと大変です。でも、色々楽しく過ごせていて嬉しい!

 

 今日は、本の感想を書いていきます。太宰治の感想が続いていましたが、今回は他の本です。

垣根京介さんの、『午前3時のルースター』という本。

 

 

目次

 

 

本のあらすじ紹介、著者紹介

 

 まずは、本のあらすじ紹介と著者紹介へ!

この本の著者の垣根京介さんは、長崎県出身の小説家です。

『午前3時のルースター』でデビューし、『君たちに朝はない』『ワイルド・ソウル』などが主な著作としてあります。

 

 

それでは、『午前3時のルースター』のあらすじ説明を!

語り手は、旅行代理店勤務の長瀬です。

ある日、取引先の社長から、個人的なツアーを依頼されます。それは、社長の孫をベトナムに連れて行って欲しいというもの。

 

 その旅行には目的があって、社長の娘の夫、つまり孫の父親を探すことが目的でした。その父親は、会社の仕事の途中でベトナムに出張に行き、そのまま行方不明になってしまっていたのです。

それを、どうしても諦めきれないと孫が言い張るものだから、祖父もこの旅行をセッティングしました。

 

 その孫と会ってみると、重い話をされました。

 

自分の父親は死んだと思われている。

母親は、最初から会社の存続のためにいいお嫁さんになることを目的として育てられた。

その母親に、再び縁談の話が来ていて、母親も別に嫌がってはいない。

このままだと、家に父親が帰ってくる場所が一つもなくなる。

 

でも、実際に父親は帰ってきていないし、死んだ可能性も正直あるのでは…。

そう思っても、この少年は二年前のテレビ番組で父親らしき人物をたまたまみて、父はまだ生きていると確信したのです。

確かに、その父親は外見だけだと「似ている」程度ですが、同じ癖を持っていて、違うとも言い切れないものでした。

 

 早速長瀬は、孫の話を確かめるために友人を介してそのテレビ番組の制作担当と会うことになります。

 テレビ番組の制作担当の人と会うと、奇妙な話が。このテレビ番組撮影中に、父親と考えられる人物がいた市場を撮影したことで、ナイフで命の危険すら出てくるような危険な目にあったのです。

 

 この話を聞いて、制作担当を紹介してくれた友人の源内も、一緒にベトナムに行くと言い出しました。そこで、長瀬と源内、そして孫の慎一郎とベトナムに行くと、ホテルもキャンセルされ誰かが付け回してきて、様々な邪魔が待ち受けていました。

タクシー運転手と、現地の売春婦を通訳として雇い、彼らは五人で待ち受ける妨害をかわし、父親を探そうとします。

 

 なぜ慎一郎たちは狙われなければいけないのでしょうか。父親は生きているのでしょうか。生きているならば、何を隠しているのでしょうか。

 

 そういったあらすじです。

 

 

 

感想:時代の違いと、国の違いが楽しめる本!

 この本の感想を書いていきます。

なんというか、合う人と合わない人がいるだろうな〜という感じ。

 

 私は、とても楽しく読むことができました。読んでいてストーリーが斬新というわけではなくても、定番のドキドキ感とスリル感が味わえる話だったと思います。

登場人物自体もかなり濃くキャラ付け設定がされていて、所々「車・バイク・時計」らへんで豆知識というか、オタクなところが出てきています。そこらへんも読んでいて、私自身は知識がないので分からなかったものの、楽しかったです。

 

 ただ、合わない人はいると思います。

要因として、まず設定が新しくないこと。私はあまり読まないのですが、アクションミステリ系を読む人なら、途中からもう結末に予想がついてくると思います。私も、なんとなくの予想はつきました。

 そして、ラノベのように登場人物にキャラがとてもついていること。慎太郎くんとか、ちょっと大人すぎだと思います。高校合格お祝いの旅行なので、私よりも年下です。

ああいう特殊な家庭環境で育つとそうなるのか、と思うこともありますが、それにしても少し大人すぎる気がします。もう少し気楽に生きていいんだよ、と言いたい…。本の中でも、仲間を見つける段階で物事がうまく生き過ぎているような気はします。本の中なら都合がうまくつきすぎることだってありますよね。

 

 

 そういったことが気になる人だと、あまり目新しさや面白さは感じないのかも。だけど、私はとても楽しめました!

 

 まず、こういった形のミステリをあまり読んでいなかったので、少し昔の旅行はこんな感じなのかな、といった雰囲気も味わえましたし、

最後まで「あれ、どうなるの?こうなる…んだよね?もしかして違う?」と右往左往していたので、作家さんにとっていい読者だったと思います(笑)

 

 また、車や時計についての知識が出てくると書きました。

それは、出てくる長瀬さんや源内さん、そして慎太郎くんもかなり車などに造詣が深いのに加え、偶然見つけたタクシーの運転手さんが自分で車を改造しているほどの車通なことが影響しています。

車について調べたことはほとんどなく、車の車種だったりバイクの種類だったり言われても、全く分からないのが正直なところです。

でもそれが嫌なわけではないんです。

もともと、舞台がベトナムという私にとっては未開な地。異国情緒漂う舞台で、全く知らない車の話で盛り上がっているところを読むと、舞台も相まって本当に「非日常」といった気分になります。

 

それに、車やバイク、時計で国や年齢を問わず共通の話ができるのが、すごいなと思いました。

この時代は、多分スマホがなくて普通に電話するときも固定電話だったんですよね。この頃そういった話題が家族でも出たんですが、google mapなしで旅をするって、私にはもう想像できないんです。物心ついた時から電子機器があるので。

だから、逆にそういった機器を使わずに旅行するのも、暇なときにやってみると絶対に楽しいだろうな〜と思います。なんというか、逆に贅沢ですよね(笑)

そういった、時代の違いみたいなものもかなり楽しかったです!

 

 物語のスピード感も、私にはちょうど良かったです。

読みたいところはじっくりと、でもスピードを出すところはスピード感を出して。そういったスピード感がしっかりとしていると、読んでいて全然疲れません。この本も、もちろん全然疲れなかったです!

 

 出てくる登場人物たちも、みんな愛されるキャラというか、親しみを忘れないので良かったです。おじいさん、もうちょっとなんとかならんのか…とは思いましたが、全てに納得のいく辻褄がつくなんて現実でもそうそうありませんよね。

長瀬さんも、なんとなく自分の性格について考えるところがあって、自分はどうなのか、と考えるきっかけにもなりました。

 

 

 

まとめ:もっといろいろな作品を読んでみたい!

 

 ということで、読んできたのは垣根京介の『午前3時のルースター』。

この人の作品を調べて見ると、デビュー作の今作よりも『ワイルド・ライフ』という本が面白いそうです。今度図書館で見つけたら借りてみます!

 

 「デビュー作だから〜」とかいうつもりはないんですが、スピード感はあって登場人物もキャラ立っていたのに、なんかバーっと物事がいい感じに過ぎ去っていった感じでした。展開が早かったんでしょうか…?

もうちょっとパンチが効いていると、ストライクだった気はします。

それでも、こういった形の本の入門としてはとても面白い!

現に私も物足りなくなって次に読むべき本を探しましたし、ちょっとミステリ怖いかも…という人には、入門としてオススメです!

 『午前3時』というタイトルは、これから訪れる未来がある、ということを指し占めているんでしょうか。タイトルの意味もしっかり考えてみたいです。

 

 最後までお読みくださりありがとうございました。というか、気がついたらこのブログ300記事超えてました!びっくり!あと少しで継続日数が100日になるので、そのときにまとめ記事みたいなものを書いていこうかな、と思っています。