うぐいすの音

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『銃・病原菌・鉄』第4部の問いのまとめ・全体の感想

 こんにちは。今日は日曜日です。明日からの一週間は、いろいろ頑張っていきたいです!

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 今回は、前回までの続きということで『銃・病原菌・鉄』の感想を書いていきます。

ネタバレなしの感想

 

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第1部、第2部、第3部、それぞれの感想も書いているので、そちらも是非読んでみてください!

 

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目次

 

 

本の紹介、著者紹介など

 

 それでは、第1部の感想から本の概要、著者紹介の部分を抜粋してきます!

 

ーーーーー

著者はジャレド・ダイアモンドさん。

1937年生まれで、カリフォルニア大学ロサンゼルス校で地理学教授を務めています。様々な分野を研究しており、著書に『文明崩壊』などがあります。

 訳者は倉骨彰さん。数理言語学博士で、主要訳書に『インターネットは空っぽの洞窟』などがあります。

 

 

 本自体は、1997年発刊です。1998年のピュリッツァー賞一般ノンフィクション部門を受賞しており、同年のコスモス国際賞も受賞しています。

 

 歴史の考察本として有名で、文庫にもなっています。副題は『1万3000年に渡る人類史の謎』です。

上下巻合わせて4部構成で、19章+プロローグ+エピローグの構成です。ページ数は、上下巻どちらも300ページ超くらいです。

 

 

 本書では、「日本語版への序文」の中で、『逆転の人類史』という言葉を持ち出しています。その言葉通り、この本では世界史の中で注目されているヨーロッパに着目しているのではなく、それ以外の東アジアや太平洋領域から人類史を考察しています。

ーーーーー

 

 

 今回紹介するのは、第4部の内容です。この本は4部構成のため、最後の部となります。章ごとの問いをまとめて、感じたことなどを載せていくつもりです。

 

 第4部は、『世界に横たわる謎』。第15章から第19章までです。

 

第15章:オーストラリア大陸からのおさらい

 

 第15章は「オーストラリアとニューギニアのミステリー」

 

ここでは、

などの問いに対して答えています。

 

 ニューギニアでは、現生種の栽培化、定住による部族社会としての発展が見られていました。また、文化的な芸術品なども作っていたのです。

 

でも、ニューギニアやオーストラリアはヨーロッパ人にとっては「後進国」で、植民地の対象でした。

それは、金属器や文字、国家などの政治システムを構築しようとせず、

石器を使い続けるなど技術が発展していなかったからです。

 

 これまでの章で、

(農業を行うと)人口が増える

 ↓

人口増加により集落が大きくなる

 ↓

人口増加と余剰作物により国家などの政治システムができる

 ↓

集団が大きくなったことにより文字、技術が発展する

 

といった流れを学んできました。

 

 技術、政治が発展していないということは、人口が国家を作るほどに大きくはなかったということです。

 

それでは、この民族たちは狩猟採集社会だったのでしょうか。

それとも、農耕民だったのでしょうか。

農耕民だとしたら、なぜ人口は増えておらず、技術が他国から流入することもなかったのでしょうか。

 

 こういったことについて、第15章では書いています。

今まで学んできたことをおさらいするため、そして新たな問いに導くために、この章があるような感じがしました。

 

 

第16章:知っているからこそ思う事も色々

 第16章では、「中国はいかにして中国になったのか」という、ちょっと日本にも関係のありそうな話題が。

中国がどれほど早く発展していたのかは、日本で獣を追って暮らしていた時に三国志のあの世界だったことからも簡単にわかると思います。

 

 中国は、第2部で見てきたように動物の家畜化や植物の栽培化が最も早くに始まった地域の一つです。自分で文字も発明していましたし、交流も幅広くありました。

 

紙の作り方、火薬の作り方、、色々なことが中国で発明されています。

感染症でも、元をたどれば中国由来のものと言われる病気がいくつかあります。

 

 また、現在人口の多い国では、アメリカに代表されるように様々な人種が共存しています。

中国は、近年になって政治的に作り出されたのではない、

<政治、文化、言語>などの要素において一般的にはまとまっている国とされています。(と、本には書いてあります)

 

  • 中国はどのようにして中国になったのか
  • 近隣の国にどういった影響を及ぼしたのか
  • どういった言語分布があり、どうやって統一されていったのか
  • 中国はどうやって一つの国になったのか
  • 東アジアの文化と中国の文化の関係

こういった問いについて書いているのが、第16章です。

 

 この章では、地理的なこともあり日本にも関わることがあったり、なんとなく知っていることが書かれたりしているので、読んでいて面白かったです。

 

 中国がすごい国だ、ということはもちろん知っています。

でも、中国がどのようにして集権国家になったかなどを書いている文章はあまり読んだことがなかったので、少し違った視点を持てたと思います。

書いてあることは全て知っていても、その繋がりをどのようにしてみるかは本の書き方などによっても変わってきます。だから、この本だけで満足しないでもっと色々読んでみたいな、と思いました。

 

 ただ、ネタバレなしの感想を書いた時にもいっていますが、一部納得できない記述がありました。

それが、

日本は、日本語の話し言葉を表すには問題がある中国発祥の文字の使用をいまだに止めようとはしていない

という文章と、そこに関連する部分です。

 

えーと、中国発祥の文字を使うことのどこに問題があるのでしょう?

全部平仮名の文章にした方がいいということでしょうか。

それとも、ひらがなも漢字から来たものなので「アルファベットにした方がいい」ということを語っているのでしょうか。

 この部分は、ちょっとよくわからなかったので明日にでもまた記事にしようと思います。漢字を否定することの意味や、その歴史についていくつか調べました。なので、調べたことををまとめた記事を書いてアップしようと思っています。

ぜひ、興味を持った方はそちらもよんでみてください!

 

 

第17章:複雑な歴史を簡略化した考察が書いてありました

 

 第17章では、「太平洋に広がっていった人々」として太平洋周辺の複雑な歴史についてまとめています。

などについて書いています。

 

まず、フィリピンなどの東南アジアから、オーストラリア大陸にかけての人々の共通点を書いています。

そして、その共通点から中国の方からきた民族の行動を推定し、どういった転換があったのかを考えています。

ここで、言語の多様性のなさや、皮膚の色についても考証しています。

 

 また出土した遺跡からこの地に住む人々がどういった面での技術を発展させ、どういった形での交易をしていたのかも考えていました。

実際に著者のジャレド・ダイアモンドさんもこの地に行ったことがあるため、「この文化は今ではない」などの現状から、その原因を考えています。

読んでいて初めて知ることの連続でもありましたし、少し知らない単語が多くて難しい気もしましたが、面白かったです。

 

 特に、住む場所の高度によって侵略できるか否かが変わるというときに、攻めにくい、気候の違い、などの単純な理由のほかにも色々な理由があると知り、それには驚きました。

読んでいると普通のことのように染み込むんですが、後から見返すと「あれ、この知識って普通に初じゃない?」みたいな現象が起こりっぱなしです…!

 

 

第18章、第19章:これまでのまとめと注釈などが書いてます

 

 第18章は「旧世界と新世界の遭遇」

その名前の通り、ヨーロッパ人がアメリカ大陸を征服したことについて書いています。

この章に一貫する問いは、

なぜ南北アメリカ大陸などの新大陸の人々が旧大陸の人々を征服することにならなかったのか

に尽きると思います。

今まで、大陸の東西南北での長さの違いだったり、

「銃・病原菌・鉄」だったり、

政治システムや文化だったりについて学んできましたが、それらの総まとめといっていいと思います。

 

 結局、なぜユーラシア大陸の民族は南北アメリカ大陸に比べて進化が早かったのか。

3つほどの理由によって、それを答えていました。

それらの理由につながる事例なども面白かったのですが、結局はどこに住んでいるのかの差と一言でまとめられる気もします。

もちろん、まだ2回しか読んでいないのでもっと読み込んだらもう少し頭のいい感想になりそうですが、地理的要因の差は十分に読んでいてわかったはず…

 

 そして、19章では「アフリカはいかにして黒人の世界になったか」

南北アメリカ大陸に比べてヨーロッパに近いため、文化の交流などはあって良さそうです。それでも、なぜ、南北アメリカ大陸とほとんど変わらないような扱いだったのか。

その理由について書いています。

ここは、特にまとめて書くような感じではなく、番外的な感じで書いているので是非読んでみてください!

 

 

まとめ:感想や、反省など

 

 ということで、一応ここまでが全ての問いのまとめです。

 

『サピエンス全史』を読んだ後も思いましたが、こういった歴史の考察本は初めて知る知識が圧倒的に多くなります。

だからこそ、そういった知識を他の本でも得ることがすごく大事になってきます。

どれだけ公平に文章を書こうと思っても、絶対に少しの偏りは出てくるはずです。

 

 偏った意見が悪いというわけではなく、色々な視点から物事を見るのが自分の意見を作るための一番の近道なので、

この『銃・病原菌・鉄』に関しては「地理的要因の大切さ以外の本を読むこと」が大切になってくると思います。

一冊本を読むだけでなく、こういった勉強につながる本だと、本を読んだ後も大事になってくると感じます。

 色々探していきたいです!

 

 本には、歴史を学ぶ時に取らなければいけない態度だったり、学者がどういったことをどんな風に研究しているのかがエピローグなどを通じて書いてあります。

そういった部分も、読んでいて楽しかったです。

 

ちなみに、第2部らへんから、書く内容が変わってきました。

これは、要約を書くのは色々どうなのかということで、結局それぞれの章での問いをまとめた感じになりました。

本自体を読んでいるときに、自分の読んでいることの内容がわからなくなってきたらこれを読む、といった感じが一番いいこの記事の使い方なのでは…?と思ってきています。

 昨日の第3部のまとめでは、自分なりに考えたことなどもまとめて意識して書いたので、途中から目的を変えたにしてはまあまあな出来だと思います。

記事のクオリテイを機にするのが一番理想ですが、そうともいっていられない日もあるので、とりあえずは「続けることの大切さ(ただいま連続投稿奮闘中です)」を優先させた結果、この最初と最後で書き方を変えたシリーズとなりました。

 

 読んでいて、「あれ?」と思った部分も多くあったかもしれませんが、とりあえずはこの記事を書くことで色々と考えることもできたので、成長につながったと思います!

という前向きな言葉で締めます!

 

 

 最後までお読みくださりありがとうございました。終始、一貫しないところもあったので、あまりできのいいシリーズとは言えないのかも。だけど、一部一部は私の中でも学んで大事だと思ったことを書いています。今度書く「漢字が問題あるのか」という記事も、割と自分の中では親に話を聞いたり、調べたので是非読んでいただきたいです!

『銃・病原菌・鉄』第3部の問いまとめ、感想 〜日本で起こった技術の退化など〜

 こんにちは。毎週書いている気がするんですが、休日は少し忙しいので毎週疲れます…。今日も、やらなきゃいけないことを含めてこれから頑張っていきます!

追記:時間の合間合間に書いてたら日付変わる直前になってしまいましたが…

   ちなみに、下の絵は一応「鉄」のつもりです!

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 さて、今回は、『銃・病原菌・鉄』の第3部の感想を書いていきます。ネタバレなしの感想、第1部の要約・感想、第2部の要約・感想を今まで書いてきたので、興味のある方は是非そちらもご覧ください!

 

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目次

 

 

本の概要紹介、あらすじ紹介

 

 今回は、ジャレド・ダイアモンドさん著の『銃・病原菌・鉄』第3部の感想、要約などを書いていきます。

要約は少しにして気になったことについて調べながら書いていくつもりです。

それでは、『

 

 

』第1部の感想から本の概要、著者紹介についてを引用してきます。

 

ーーーーー

著者はジャレド・ダイアモンドさん。

1937年生まれで、カリフォルニア大学ロサンゼルス校で地理学教授を務めています。様々な分野を研究しており、著書に『文明崩壊』などがあります。

 訳者は倉骨彰さん。数理言語学博士で、主要訳書に『インターネットは空っぽの洞窟』などがあります。

 

 

 本自体は、1997年発刊です。1998年のピュリッツァー賞一般ノンフィクション部門を受賞しており、同年のコスモス国際賞も受賞しています。

 

 歴史の考察本として有名で、文庫にもなっています。副題は『1万3000年に渡る人類史の謎』です。

上下巻合わせて4部構成で、19章+プロローグ+エピローグの構成です。ページ数は、上下巻どちらも300ページ超くらいです。

 

 

 本書では、「日本語版への序文」の中で、『逆転の人類史』という言葉を持ち出しています。その言葉通り、この本では世界史の中で注目されているヨーロッパに着目しているのではなく、それ以外の東アジアや太平洋領域から人類史を考察しています。

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第11章:病原菌の凄さ、改めて…

 

 次は、第3部のちょっとした要約です。どういった問いがあって、どういったデータが使われているのかなどを書いていきます。

 第3部では、「銃・病原菌・鉄の謎」ということで、上巻の第11章から下巻の第14章までをカバーしています。

 

 第11章では、「家畜がくれた死の贈り物」ということで、病原菌についての話でした。大まかに言えば、取り上げられている問いはこんな感じです。

 

  • なぜ、いつから、集団での感染症は発生するようになったのか
  • なぜ農業の勃興によって集団感染症が出現したのか
  • 旧大陸ユーラシア大陸など)からやってきた病原菌はどこまで影響したか
  • なぜ新大陸(征服される側)からヨーロッパに伝播した致死性の感染症は少ない(ない)のだろうか

 

これらの問いに加えて、家畜や農業の存在、そしてこの病原菌の利用例などが書かれていました。

農業により感染症が〜というのは、『サピエンス全史』で読んだことがあったのでそこまで驚きはしませんでした。

 

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でも、中には「2000人の集落が数週間で40人以下に減少」などという表記があったため、それには流石にびっくりしました。もちろん、感染症が免疫のない人にとっては本当に怖いものだということは知っています。

感染症の恐ろしさは、ここ2年ほどで私たちも身にしみたはずです。

しかも、その感染症が相手を滅ぼすことを目的に使われたら、それは猛威を振るうはずです。

感染症の影響が故意的なものだったか否かに関わらず、感染症の存在は侵略に大きく関わっただろうな、と思いました。

 

 もしも日本が鎖国していなくて、いろいろな地に外国人を招き入れていたら、江戸時代に開国直後に流行ったコロリ(コレラのこと)ももっと影響力のあるものだったかもしれません。

といっても、そもそも九州から始まって江戸まで影響している時もあるので、結局は「治ってよかったね」というしかないですが…。

箱根の関所など、物資や人の交流が厳しかったのもあまりコロリが流行らなかった理由なのかもしれないです。

 

 新大陸に話を戻すと、

全体で見たときにどれくらいの人が感染症で命を落としたのかがしっかり書いていなかったので、

どれくらいが感染症で死んで、どれくらいが武力的な戦争で死んで、どれくらいがそれ以外の死因だったのかなどのデータがあれば見てみたいと思いました。

ただ、それは都合の良すぎるデータなのかも…

 

ちょっと、関連した本などを読んでみれば運よく見つかるかもしれません。頭の片隅に置いておきます。

 

 

第12章:問いなど紹介

 

 第12章は「文字を作った人と借りた人」。ここでは、

  • 文字がなぜ作られたのか
  • なぜ文字が早くに近隣に広まった地域と、そうでない地域があるのか
  • 歴史上、文字を早い時期に手に入れた地域はなぜ曖昧性を減少させていないのか

といったことをテーマに話を進めていました。

 

 発展の間で、文字が使われるようになったのは他の発展したものに比べるとかなり後期だそうです。

その理由や、なんのために文字が必要だったのかなど。

また、文字が発展する中で、自分たちだけで文字を作り出すことの難しさも書いていました。

 

シュメール人がどうやって文字を作り出していったのかの歴史も書いてあります。

表意文字表音文字、いくつかの文字のケースがあって、それが組み合わさっていったり単純化されていったり、読んでいるだけで「解読した人すごいな…」と思うようなものでした。

 

植物や家畜がユーラシア大陸で伝播に有利に働いたのは、「東西に広がっているため」ということはこの前までの記事で確認してきました。

文字の伝播も、それと同じです。

シュメール人の模試は西ヨーロッパからインダス、中国の文字は南アジアから日本まで伝播しましたが、エジプト文明の文字は広がりませんでした。

 

 

第13章:地理的要因が多すぎ!本当にこれだけなの…?

 

 第13章「発明は必要の母である」では、『銃・病原菌・鉄』の銃や鉄に代表される、技術の発達について書いています。

  • どういった地域で、最も早く技術は発達するのか
  • 技術伝播と地理的要因の関わり

このうちの「どういった地域で最も早く技術は発展するのか」は、本書に詳しく書いてあるので是非読んでみてください。

 

 ここでは、「技術伝播と地理的要因の関わり」について書いていきます。

本では、これも東西南北の広がりによる違いだといっていました。

 

緯度が等しいということは気候も似ている場所が多い。

だから、南北に広がる地域よりも東西に広がる地域の方が物事の進み方が早くなる。

 

農作物も地理的要因、

家畜も地理的要因、

武器や技術も地理的要因、

文字や文化も地理的要因、、、

もう、それならユーラシア大陸(ヨーロッパや中国)が発展したのも文句はないですよ!!

 

 ただ、これが本当に正しいのか。ここら辺で私は不安になってきました。

書いてあることは全て筋が通っていますし、一つ一つの章に書いてあることは理解できるんです。

 

でも、そこまで環境に全てを任せるのは少し違和感があります。

環境ももちろん大きい要因だとは思うんですが、

地理的要因以外にも発展の違いが出てきた理由はないんでしょうか…。

 

 人種差別的考えに後戻りしたいわけでは当然ありません。

その考え方を否定して、地理的要因が原因であると提言したのがこの本なのですから。

 

でも、あまりにも全てが地理的要因なので、もっと他の要素で地理以外がかかわる進化の違いなどがないのかな、と思いました。

 

というか、多分あると思います。こういう歴史的なことって色々な説が台頭しているものだと思っているので。

本を読めばそれにたどり着けるのか…。知りたいことが本を読むと増えすぎてしまうので困っちゃいますね…。とりあえず、また似たような本を見つけたら読んでみたいです。

 

 

第14章と第3部でのまとめ

 

 それでは、第14章「平等な社会から集権的な社会へ」に。

ここでは、

  • 大規模な集団はなぜ集権化していくのか
  • 階級社会で、労働の産物が上流階級に渡ることを平民に我慢させる理由は何か
  • 愛国心の誕生と、その影響について
  • 社会の併合の原因は何か

などについて書いていました。

 

 戦争の脅威が、特に最後の方で書いてありました。

小さい集団が自ずから自治権を放棄して併合されることはなく、帝国などの外的要因によるもの、ということです。

 

 弥生時代を教科書で学ぶ時に、『「ムラ」から「クニ」へ』という単元があったと思います。その、小規模団体から大規模団体に移るまでの過程をとても詳しく説明している感じ…というのが適した説明なのでしょうか。

 この部分は、本書に色々な事例を持ち出しながら書いてあるので、是非そちらを読んでみてください!

 

 第3章では、タイトルの『銃・病原菌・鉄』の3つの要素について、よりくわしくふれてきました。

 

 病原菌の発達(というか発生?)はどういったことが原因だったのか。銃や鉄などの発達に、地域ごとのバラツキがあったのはなぜなのか。

そういった発達について、文字を含む文化や集団としての特性を踏まえた上で考えてきました。

最初は、第1部でインカ帝国とスペイン人との争いでこの三つが出てきて、そこで新たな発見があった、と思っていましたが、

この本の本題は3部に入ってから始まるのかもしれません。読み直していて、そう思いました。

 

 

最後に:日本の技術の放棄、歴史考察本を読むときには

 

 最後に、本に書いてあった「日本の技術の放棄」について少し触れていきます。

本では、

「人類史上には、強力な技術を自ら放棄し、その理由がよくわからない社会が存在する」

の言葉で始まる部分があります。

そこで紹介されているのが、「銃」という武器を自ら放棄した日本でした。

 戦国時代、銃はポルトガル人によって伝えられ、多くの戦に活用されてきました。よく紹介されるのは長篠の戦いでしょうか。(ちなみに、あの戦いは銃のみが効果的に使用されたわけではなく、そのほかの地形や布陣などの要因がとても多く関わっています。)

 本の言葉をそのままいくつか引用します。

 

サムライたちは、戦場で名乗りをあげ、一騎打ちを繰り広げることに誇りを持っていた。しかし、そういった伝統にのっとって戦う武士は、銃を撃つ足軽たちの格好の餌食になってしまった。

 

また、銃は、1600年以降に日本に伝来したほかのものと同様、異国で発明されたということで、所持や使用が軽蔑されるようになった。

 

やがて幕府が銃の注文を減らす段になると、実用になる銃は日本からほとんど姿を消してしまったのである。

 

 

うーん…

正直、日本の歴史を日本支店で習ってきた私からすると突っ込みたいところはいくつかあります。

 

まず、江戸時代は安泰だったことがいちばんの前提です。

江戸時代は戦乱の世が終わった後の太平の世の中で、長距離攻撃のための武器などは銃以外も制限されていました。

 

刀は、

短距離攻撃にしか向かないのと、

護身用になるということ、

そして武士としての身分証明になるということで、帯刀が許されていたのです。

 

ちなみに、銃は禁止されていたとはいえ藩に置いてあるところも多かったですし、長崎御範の肥前などは大砲も用意していました。

ただ、諸外国とのやりとりが禁じられたため技術のアップデートができず、旧式の銃のみで戦うことになってしまったため、幕末から明治維新にかけて旧式の銃は新式の銃にぼろ負けしました。

 

そして、銃が禁止されたため公には火薬の技術を継承することができません。そこで、娯楽用として火薬の技術が継承されたのが、今の花火です。硝石も国産体制があったはずです。

 

農村では、害獣駆除のためにも銃が使われていたと思います。ただ、一揆を防ぐためにも火縄銃の効能を上げるという考えはありませんでした。

 

こういったことは、ちゃんと出典があることではなく、

私が今まで本や漫画を読む中で集めてきた知識ですが、間違いがあったとしてもそこまで多くはないはずです

こういった知識の上で読むと、「別にその理由が主ではないんだけどな…」という感想がすごく出てきました。

 

当然、全部の知識を正しく書くなんて想像できないほどの重労働でしょうし、

諸外国から見ればこれも「技術の退化」に他ならないのかもしれません。

こうやって、

その土地の人のは少し疑問に思われながらも世界中に浸透している知識は多くあるんだと思います。

そういう知識があっておかしくない、ということを前提に本を読んでいきたいです。

 

 ということで、今回は第3部の内容を少しまとめて、感想を書いてきました。面白そうにかけているでしょうか。興味を持っていただけたら幸いです。

多分、あと一個か二個で終わるのでお付き合いいただけると嬉しいです!

 

 最後までお読みくださりありがとうございました。日本の銃の歴史など、とても興味深い内容がたくさんありました。楽しかったです!

『銃・病原菌・鉄』第2部の内容 〜地理的要因と人類の発展〜

 こんにちは。1日1日を普通に過ごしているだけだと、あと少しで入寮まで一ヶ月なのにもったいない気がしてきました…。もう金曜日ですが、来週はもう少し精力的に動いていきたいと思います!

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 今回は、ジャレド・ダイアモンドさん著の『銃・病原菌・鉄』の第2部の感想を書いていきます!

ネタバレなしの感想は、 こちらに書いてあります。

 

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また、この記事は第1部の要約・感想に引き続いて書くものなので、興味のある方は第1部の要約・感想記事もご覧ください!

 

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目次

 

 

 

 本の概要と、著者の紹介

 

 本の概要紹介と、あらすじ紹介をしていきます。(この部分は第1部の感想からのコピペです)

ーーーー

著者はジャレド・ダイアモンドさん。

1937年生まれで、カリフォルニア大学ロサンゼルス校で地理学教授を務めています。様々な分野を研究しており、著書に『文明崩壊』などがあります。

 訳者は倉骨彰さん。数理言語学博士で、主要訳書に『インターネットは空っぽの洞窟』などがあります。

 

 

 

 

 本自体は、1997年発刊です。1998年のピュリッツァー賞一般ノンフィクション部門を受賞しており、同年のコスモス国際賞も受賞しています。

 

 歴史の考察本として有名で、文庫にもなっています。副題は『1万3000年に渡る人類史の謎』です。

上下巻合わせて4部構成で、19章+プロローグ+エピローグの構成です。ページ数は、上下巻どちらも300ページ超くらいです。

 

 

 本書では、「日本語版への序文」の中で、『逆転の人類史』という言葉を持ち出しています。その言葉通り、この本では世界史の中で注目されているヨーロッパに着目しているのではなく、それ以外の東アジアや太平洋領域から人類史を考察しています。

ーーーー

 

第一部までの内容振替

 それでは、少し前回までのおさらいを。

 まず、この本の問いは、

なぜ人類社会の歴史は、それぞれの大陸によって角も異なる経路をたどって発展したのだろうか?

というものです。この部分については、ネタバレなしの方の記事で解説しています。

 

 そして、第1部では

  • 1万3千年前は、どの大陸も進化に大きな差はなかった
  • 同じ祖先を持っていても、文明が進化するグループもあれば退化するグループもある
  • 銃・病原菌・鉄が、勢力拡大に結びついた

といったことを中心に書いています。

タイトルの意味もわかったし、興味のある事例が出ていたため面白く読めました。この部分が、専門性があるわけでもなく読みやすかったかな、と思います。

 

 これから紹介する第2部は「食糧生産にまつわる謎」という題名です。第4章から第10章までが含まれます。それぞれの章について少しずつ要約していきます。

 

 

食物栽培と家畜飼育の重要性

 まずは第4章「食糧生産と征服戦争」です。

この章では、これから第2部で書いていくのがどういった内容のことなのかの大筋を説明しています。

簡単にまとめました。

 

人類が重機や製鉄の技術を発展させ、疫病に対する免疫を発達させていく上で、食糧生産は間接的に前提条件だった。

つまり、食糧生産開始の地理的な時間差が各大陸の発展のスピードに関わってくる

摂取できるカロリーが多ければ多いほど、人口は増える。食用にできる数少ない動植物を選んで育てれば、狩猟採集民よりも軍事的に人数面において優位に立てる。

大型動物を家畜化できれば、糞を肥料にできるし農地の耕作も進む。大型でなくても、動物タンパク質の摂取に家畜化は繋がる。

肉や乳、肥料を提供する上、農地工作にも役立つため、より多くの人口を養える。

食糧生産により余剰食糧が生まれ、人口も増えるほか王族や官僚が生まれる。

大規模な農耕社会になると王国が形成され、職業軍人、職人を含む様々な職が誕生する。

 

 こういった経緯から、食料源としての家畜や作物は間接的にせよ直接的にせよ、重要となってきます。

さらに、燃料としてや衣類としてなど他にも多くの使い道があります。馬やラクダを家畜化した人々が、移動の時も戦闘の時も有利な立場になったのは、歴史的にも様々な事例があるでしょう。

 

 ということで、第4章では植物栽培と家畜飼育の重要性を説き、次章以降でその詳しい説明をすると述べています。詳しい事例や、具体例などは本書に詳しく書いてあるのでぜひ読んでみてください!

 

 

持てるものと始めたものの関係

 

 第5章「持てるものと持たざるものの歴史」では、食料の生産がどこで始まったのか。 

 「いつ頃の時代の動植物が出土したのか」を調べるのは、並大抵のことではありません。本書では、時代によってどういう機械が使われてきたのかの移り変わりも含め、調べ方を解説していました。この部分は、正直少しむずかしかったかな…(汗)

 

 食糧生産を独自に始めたとわかっている場所が、確実なもので5地域しかないというのはかなり驚きでした。

検証されている最古の年代順に、

  1. 西アジアメソポタミアの肥沃三日月地帯)
  2. 中国
  3. 中央アメリ
  4. アンデスおよびアマゾン川流域
  5. アメリカ合衆国東部

です。他にも4つ上がっていましたが、それらは本当に独自に発展したのか定かではないようです。

ということで、最古はメソポタミアの紀元前8500年でした。

 

 これらの地域で発展したものが、ヨーロッパやエジプト、インダス川流域などに広がり、発展していったのです。

それでは、なぜメソポタミアで始まったのでしょうか。

そして、なぜ紀元前8500年だったのでしょうか。

 

 

 ここから第6章に入ります。

第6章では、「農耕を始めた人と始めなかった人」について書いています。

 農耕開始は紀元前8500年ごろのメソポタミアと考えられていて、それではなぜそこで、その時期に、農耕が始まったのか。

  

 食料生産生活は、別に狩猟採集と二者択一的に選ばれたのではなく、様々な生活様式の中から食料獲得のために選ばれたものだと、本には事例も合わせて書いてあります。

それでは、狩猟採集生活から食糧生産生活へと移行させた要因は一体何だったのでしょうか。

  本には4つの要因が書かれていました。今回は、その中でも一番わかりやすかった二つを書いていきます。

 まず一つ目の要因は、単純に入手可能な自然資源(特に動物)が減少してきたことです。大型哺乳類やその他の動物も含め、いくつもの種が絶滅してきました。

 そして、二つ目の要因として栽培可能な野生種が増えたこと。肥沃三日月地帯(メソポタミアの場所)では、気候の変化により野生の穀類の自制範囲が大幅に拡大しました。

それらの野生種が収穫され、徐々に種子が栽培化されるようになってから大麦や小麦が農作物として栽培化されるようになったそうです。

 

 後の二つの要因は、10章にもかなり繋がるなと思いましたし、知らないことも多かったため、自分でももっと調べてみたいです!

 

 

 

動植物の選抜栽培

 

 第7章では、「毒のないアーモンドの作り方」として、野生種がどうやって栽培種となったのかを書いています。

 

 農耕を始めた狩猟採集民は、野生種の中からも大きさや苦さ、果肉部分の多さなど、自分たちで判断できるところに注目して、それらを選抜していました。

例えば、野生のアーモンドは非常に苦いですが、今食べられているアーモンドは苦くありません。

 

 何世代も選抜栽培が繰り返されたり、突然変異によってより栽培されやすくなった個体ができたりしたおかげで、食用植物が増えていったのです

突然変異だったり、発芽抑制メカニズムだったりを当時の人が意識していたわけはなく、自然とやったものでしたが、それがいまの栽培種につながっています。

 

 元々の野生種は、自分の子孫が生き残ることを目標に実を自ら撒き散らしたり、発芽のタイミングをずらします。しかし、突然変異した「子孫を残しにくい、植物にとっては役立たずな種」が人間にとっては好都合なもので、栽培されるようになりました。「人為的な自然淘汰と本には書かれています。

 

 

 第8章「リンゴのせいか、インディアンのせいか」

ここでは、農業に適した地形の場所でも自発的に農業が始まらなかった理由、について述べています。肥沃三日月地帯を含め、農業に適している場所では農業が始まってきました。しかし、今は農業が盛んでも、特に初期から農業が始まっていないというところはいくつもあります。

 ある地域では栽培化されたのに、他の地域では栽培化に失敗した植物の例は、枚挙にいとまがありません。なぜ、そんな植物が生まれたのでしょう。

 

 本では、主にメソポタミアの肥沃三日月地帯を例に挙げて説明しています。

メソポタミア地中海性気候であり、穀類やマメ類はこの気候に適応しました。世界の主要植物の半分は穀類・マメ類です。幹也はにエネルギーを使わず種子を成長させます。そして、地中海性気候にもある乾期を過ごせるようになることで、長時間の人間による貯蔵にも対応できるようになります。

 

 また、肥沃三日月地帯には、農作物として育成できるような野生種が豊富に分布していました。しかも、大量の採取を可能にする形で群生していたため、農耕のメリットが先住民には明らかだったでしょう。

 

 他にも、自殖性植物が多かったことが理由の一つです。

突然変異の個体が現れても、それが他家受粉するとその特性が薄くなるか、失われます。自家受粉する植物が多いと、一回特別変異個体が現れたらその個体の特性をどんどん残せるため、栽培化が簡単に進みました。

 

 メソポタミアでは家畜化可能な哺乳類も多く、炭水化物やタンパク質、繊維、家畜(衣類、労力)などの要素が揃ったことにより、農耕民になるまでの意向がスムーズになったのです。

 

近世以降、新しい主要食物となるような植物は一つも栽培化されていません。これは、古代人が野生植物をほとんど全て試し、全て栽培化したことを指しています。

これらのメソポタミアなどで栽培化できた植物が、他の地域には自生していなかったりした場合、どこかから伝搬されてくるまで農耕はできません。

家畜化に優れた動物も、メソポタミアは特に多かったそうです。

 

 

 

 第9章「なぜシマウマは家畜にならなかったのか」

ここでは、第8章の内容を植物をそのまま動物に置き換えて論じていました。色々具体例も出ていましたが、簡単にまとめます。

 家畜についても、飼育される動物と家畜化される動物は異なります。

飼育は「人間に飼われながらも繁殖はしていない」動物で、

家畜は「人間が役に立つように飼育しながら、食餌や後輩をコントロールして選抜的に繁殖させた」動物のことです。

つまり、植物でやっていた選抜栽培と同じで、選抜されて改良されたのが家畜です。体の大きさだったり、感覚器官だったり、体毛だったり、いろいろな点で野生種と家畜化された動物は異なります。

 

 ですが、20世紀までに家畜化された動物は14種しかありません。そのうちの13種が、世界で一番面積の広いユーラシア大陸に分布していました。

もちろんユーラシア大陸全土に13種が生息していたわけではないですが、おなじみの肥沃三日月地帯では13種中7種が生息していました。

 

 家畜化されなかった動物には、気性の荒さや成長速度の問題、繁殖上の問題、性格の問題など、いろいろな理由があります。

これらの具体例は、読んでいてとても面白かったですし、「え、そうなんだ!」といった驚きもいくつか合ったので、ぜひ本書で掘り下げて読んでもらいたいです!昔家畜化しようと頑張った人の話をよんでいると、気の毒でもあるけど少し想像すると面白いところもあったり、読んでいて楽しめました。

 

 

南北東西の違い

 さて、第二部の最後の章である、第10章!!

第10章「大陸が広がる方向と住民の運命」では、大陸の東西南北の広がりが、農作物や家畜の伝搬に与えた影響について考察しています。

 

 これまでの章で、肥沃三日月地帯の優秀さ(人間にとって)は見てきたと思います。それでは、それらの栽培種の広がりについて見てみましょう。

ユーラシア大陸、特に西ユーラシア大陸の各地では、肥沃三日月地帯を起源とする農作物の収穫が行われています。

遺伝子を見ると、それが肥沃三日月地帯の物なのか、それともそこからまた栽培化されたものなのかがわかりますが、栽培化はされていません。

対して、アメリカ大陸やアフリカ大陸では、各地の野生種の栽培化が多くありました。

 

 こういった栽培種などの広がりの仕方の理由については、

ユーラシア大陸が同緯度帯で東西方向に広がっているから

だと書いてありました。

 ユーラシア大陸は、似たような気候や生態系を共有するところが広くあります。

日本やイギリスをつなぐ同緯度帯に限らずとも、インドと中国と東南アジアなど、横に広いため、日照時間や気候などで共通する場所が多くあります。

 

 それに対し

南北に広がる場所では、寒冷地や熱帯の違いに植物、もしくは動物が負け、

栽培化されたものが他の地域に広がることが多くはありませんでした。

これは、疫病(病原菌)の問題や気候的要因によるものです。

 局地的に見れば、同じ緯度だとしても地理的要因によって農作物、動物の伝搬が滞った場所も多くあります。

 

こうした相違は、アメリカ大陸やアフリカ大陸が南北に長い陸地であるのに対し、ユーラシア大陸が東西に長い大陸であることの繁栄とも言える。そして人類の歴史の運命は、この違いを軸に展開していったのである。

 

まとめ

 ということで、なんとなく第2部の概要を書いてきました。

ぜひ、気になった箇所等があったら本書を読んでみてください!特に動物の家畜化に対する色々な問題などは、読んでいてとても面白かったです。こんなケースもあるんだ…と驚きました。

さらに、地理的要因が多くの発展(というか、根本的な発展の要因)に関わってくることをここまでまざまざと見せつけられると、肥沃三日月地帯本当にすごいな…という気持ちになってきます。

ヨーロッパの発展も、ヨーロッパの人のいる環境がすごかったんだな、と思いました。でも、本当に環境だけだとはあまり思わないので、環境以外のちゃんとした要因も調べていきたいです!

 次からは、本のタイトルにもっと関わる部分になったり、革新的なところにつながるので、できるだけ自分で調べたことと合わせて本の感想を書いていきたいです。

 

 最後までお読みくださりありがとうございました。物足りない、なんかよくわからない、そう思った方は、ぜひ本書の方を読んでみてください!

『銃・病原菌・鉄』第1部の内容まとめ 〜タイトルの意味とは〜

  こんにちは。今日は、自分のやっている勉強で、しっかり理解した上で設定した課題を達成できたので嬉しいです!もっとレベルアップしたいですし、どんどん勉強していきたいな〜と思いました。うまくできた時は勉強が好きになるし、できなかった時は勉強が苦手になります。今は前者なので、この勢いをどんどん使っていきたい!

 

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 今回は、ジャレド・ダイアモンドさん著の『銃・病原菌・鉄』の感想を書いていきます。

 

 

 

 

 

前回の記事で、『銃・病原菌・鉄』のネタバレなしの感想を書いてきました。

今回は、内容の要約や、それに付随する細かい部分への感想が主となります。内容をあまり知りたくない、という方は、ぜひ前回の記事の方をお読みください!

 

この記事は上巻の方から追って内容要約をして、自分の中での理解を深めるのが目的です。

 

chirpspring.hatenablog.com

 

 

1. 本の概要、著者紹介

 まず、著者紹介、訳者紹介、そして本の概要紹介から。

著者はジャレド・ダイアモンドさん。

1937年生まれで、カリフォルニア大学ロサンゼルス校で地理学教授を務めています。様々な分野を研究しており、著書に『文明崩壊』などがあります。

 訳者は倉骨彰さん。数理言語学博士で、主要訳書に『インターネットは空っぽの洞窟』などがあります。

 

 

 本自体は、1997年発刊です。1998年のピュリッツァー賞一般ノンフィクション部門を受賞しており、同年のコスモス国際賞も受賞しています。

 

 歴史の考察本として有名で、文庫にもなっています。副題は『1万3000年に渡る人類史の謎』です。

上下巻合わせて4部構成で、19章+プロローグ+エピローグの構成です。ページ数は、上下巻どちらも300ページ超くらいです。

 

 

 本書では、「日本語版への序文」の中で、『逆転の人類史』という言葉を持ち出しています。その言葉通り、この本では世界史の中で注目されているヨーロッパに着目しているのではなく、それ以外の東アジアや太平洋領域から人類史を考察しています。

 

 

 

第1章:1万3千年前はどの大陸が進化していたのか

 

 第一部は、「勝者と敗者をめぐる謎」

3つの章に渡って、

最初は大きな違いのなかった人類に、なぜ異なる形の社会が形成されたのかという、本書の問いを詳しく書いています。

 

 最初の章では、

だいたい紀元前1万1000年ごろの世界に行けたとしたら、

当時の人類の生活を見て1万3000年後(現在)発展している大陸がどこか、

予想がついただろうか

ということを軸に考察しています。

 

 初期人類は、他の大陸に先立ち500万年以上アフリカ大陸に存在していました。現生人類が10万年前にアメリカで誕生し、その後各地に広まったとしたらそれだけでアフリカ大陸は一歩周りをリードしているように見えます。

 

 でも、アメリカ大陸に住み着いた人たちは1000年足らずで大陸を席巻し、マオリ族の祖先も数百年で様々な斜頸携帯に分化しました。つまり、アメリカの住民は1000年でアフリカの住民を追い越したとする結論もあります。

 

 また、ユーラシア大陸は世界最大の大陸で、アフリカ大陸につぎ、長く人類が住んでいる場でもあります。局地的には、ユーラシア大陸の住民は他の大陸とりも先に工芸品や複雑な道具を使っていたため、リードしていたという考え方もあるかもしれません。

 

 最後に、オーストラリア・ニューギニア。最も小さい大陸で、孤立していて、砂漠で覆われた地域も多いです。ですが、船を作り出したのが一番早かったのはオーストラリア・ニューギニアの住民で、ヨーロッパのクロマニヨン人と同じくらい早く壁画も描いています。

 

 結論を述べると、

どこの大陸もそれぞれに発展しているところなどはありましたが、

それが他の大陸を大きく上回るということはありませんでした。

 

つまり、世界各地に進出した人類に大きな違いはなかったのです。

 

 

第2章:同じ祖先からの進化と退化

 

 第二章では、まず1835年のマオリ族とモリオリ族の戦いについて触れています。

 

 この二つのグループは、もともと同じ祖先を持っていました

1000年ほど前に同じポリネシア人から枝分かれしたグループで、

マオリ族(農耕民)は技術と政治機構をより複雑化させたのに比べ、

モリオリ族(狩猟採集民)はその二つを単純化させる方向にすすんだのです。

 戦いは、マオリ族の圧勝でした。

武器も統率力もマオリ族の方が優っていたため、モリオリ族は数世紀続いた独立を突然終わらせられ、ほとんどが殺されました。

 

 ここでは、広さ、隔絶度、資源などの島の環境が多く考察されており、その結果からマオリ族とモリオリ族がなぜそこまで差がついたのか、を説明していました。詳しい部分は本編をお読みください。

 このマオリ族とモリオリ族の先頭は、たとえ短期間であっても環境に応じて全く異なる社会が形成されることを示しています。

「遺伝子の違い=能力の違い」という人種差別的考えが、とりあえず小さい規模では否定される、といった実際の事例です。

 

 

第3章:スペイン人とインカ帝国、『銃・病原菌・鉄』の意味とは

 

 第3章では、「スペイン人とインカ帝国の激突」について描いています。

1532年、スペインの軍人ピサロが168人を率いてインカ帝国に訪れ、皇帝アタワルパを捉えました。

どうやって少ない軍勢でアタワルパに近づき、とらえたのか。

なぜアタワルパが捕らえられた後、ピサロ達に反抗して勝利するものはいなかったのか。

 

この激突の詳細は、本に詳しく描いてあります。

この戦闘自体は、私はよく「漫画 世界の歴史」で読んでいたので興味がありました。

だからかもしれませんが、どうやってスペイン人が当時その地域で一番栄えていたインカ帝国を、少人数で滅ぼせたのか。とても面白かったです。

政治体系や、攻め入るタイミング。色々な要素が噛み合うことで、圧倒的な数の差を覆すのはすごいと思うし、単純にピサロめっちゃ賢くない?と思いました。

 

 その中で、筆者が一番注目したのが『銃・病原菌・鉄』です。

銃を持っていなかったこと、

ヨーロッパではやった病原菌に対抗する免疫がなかったこと、

そしてそのほかの鉄製の武器がなかったこと。

 

 銃は、簡単に想像がつくと思います。この戦いでは銃が多く使われたわけではなかったですが、他の地域との戦いでは銃が使われました。それに、ただ一発撃つだけでも、知らない武器や知らない破裂音にびっくりする人は多かったはずです。

 

 鉄製武器にしても、インカ帝国側が持っていたのは木製の棍棒、青銅製の棍棒でした。それに対し、鉄でできた甲冑や剣を持ち、さらには馬に乗りながらトランペットを吹いて敵を攻撃するのがヨーロッパです。

これも、想像はつきやすいのではないでしょうか。

 

 そして、病原菌

アタワルパの父親ワイナ・カパックは、天然痘によって亡くなっています。

パナマとコロンビアに移住してきたスペイン人が天然痘を持ち込み、それがインカ帝国で大流行したことで当時の帝王ワイナ・カパックすら崩御

その後継問題で、アタワルパとその異母兄弟の間で内戦が起こりました。

アタワルパとピサロが出会ったのは、アタワルパが内戦に勝利した後で、敵方の拠点にいた仲間と合流する途中でした。

当時内戦で国は混乱していて、しかも運よくピサロはアタワルパに会えた。

 この内戦、もっと言えば天然痘の流行がなければ、ピサロは一丸となったインカ帝国を相手にすることとなっていました。

 ただ、ヨーロッパの人も、もちろんアフリカの疫病(マラリアなど)に妨げられました。 アフリカ、インド、東南アジアなどの熱帯地域には媚びる疫病は、ヨーロッパ人には免疫のなかったものです。

 

 本書では、

 

断っておくが、私は、疫病がヨーロッパ勢の勢力拡大を常に容易にしたと言っているわけではない。

 

と書いています。

疫病が、当時の征服された植民地においてどれくらいの人を死なせたのかのデータは載っていませんでしたし、調べてもいません。

 ですから、病原菌自体の影響力はとても大きくはなかったのかもしれませんが、初めて知る知識だったので「なるほどな」と思いました。

このインカ帝国襲撃に限らず、故意に疫病を患った患者の毛布を敵国に送ったり、そう言ったえげつない疫病の使い方というのはあったそうです。

 日本でも江戸時代の開国時期にコレラが蔓延し、「コロリ」として恐れられました。それは別に滅亡には結びつきませんでしたし、他諸国としても急な征服は狙っていなかった…と思うので、このテーマには結びつかないかもしれません。

それでも、病原菌の怖さというのは私たちも現在進行形で身にしみているところだと思います。

 

 

まとめ:第1部を終えてみて

 

 ということで、これまでが第1部の要約です。

少し書きすぎたのかもしれない…。まだ塩梅がしっかりわかっていません。

とりあえず、今回は第一部のみで終わらせて、次からまた第2部の感想を書いていきます。多分、それぞれの部ごとに一つ記事を書いていくと思います。

 

 最初に出てきた人類には差がなく、地理的要因で全てが変わった。

人種で能力に差があると思ったことはなかったですが、マオリ族とモリオリ族など完璧に住む場所によって色々なものが変わったところを見ると、地理的要因が本当に強いんだなと改めて感じました。とても面白かったです。

 

そして、その地理的要因によって銃・病原菌・鉄の発展や分布に違いが出てきて、国と国との大きな差になってきます。

 もう少し調べれば、また少し変わった感想になるのかもしれないと思うところもありましたが、入門書と考えるととてもわかりやすいと思います。

書いている範囲、取り上げている部分もとても広いため、一部一部は少し短絡化させないとやりにくいのかもしれません。

 

 第一部は、やはり導入のためとてもわかりやすいし、読みやすいなと自分でまとめていて感じました!

 

 最後までお読みくださりありがとうございました。今度、第2部の要約から書いていきます。楽しんで読んでいただければ幸いです。

『銃・病原菌・鉄』ネタバレなしの感想

 こんにちは。今日は七夕です!私の住む地域では残念ながら催涙雨が降っています。催涙雨は、「雨が降り水かさが増したことで会うことができなくて流す悲しい雨」という解釈だと思っていましたが、その他にも「あった後に別れが辛くて流す雨」という解釈もあるそうです。どちらにせよ、かささぎに頑張ってもらいたいですね!

追記:この記事を書き始めた時は雨だったのですが、書き終わった時には上がっていました。二人が天の川で楽しく会えていたらいいですね!!

 

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 今回は、ジャレド・ダイアモンドさん著の『銃・病原菌・鉄』の感想を書いていきます。

前回、『サピエンス全史』の感想をブログで書いてきました。この本は、友達や親に薦められたもので、とても面白く読めました。このブログにも、6回にわたり感想を書いてきたと思います。でも、この記事に関しては感想というよりも要約、まとめ、といった意味合いが強くなっていました。

 

chirpspring.hatenablog.com

 

そこで、今回はまとめの部分がない記事を作ろうと思い、ネタバレなしの感想を書いていきます!

ただ、要約の記事を作るのも、自分が本の内容を理解するのに役立つので、この記事の後で自分なりに要約記事を書いていきたいと思います。

 

 

目次

 

 

本の概要紹介、著者・訳者紹介

 

 それでは、まずこの本のあらすじ紹介と、著者紹介をしていきます。

 

著者はジャレド・ダイアモンド

1937年生まれの人で、カリフォルニア大学ロサンゼルス校で地理学教授を勤めています。

『文明崩壊』『人間はどこまでチンパンジーか?』などの著書があります。

生理学、鳥類学、進化生物学、人類学など、様々な範囲の研究をしている方で、Wikipediaの研究分野欄には7つの分野が乗っていました。

 

 訳者の方は倉骨彰さん。数理言語学博士で、主要訳書に『インターネットはからっぽの洞窟』『ハイテク過食症』などがあります。

 

 この本は、1998年度のピュリッツァー賞を一般ノンフィクション部門で受賞、また、同年のコスモス国際賞を受賞しています。

1997年刊行で、文庫版にもなっています。

歴史の考察本としてかなり有名だと思いますし、名前を聞いたことのある人、手に取ったことのある人も多いのではないでしょうか。日本国内でもよく紹介されています。

上下巻合わせて4部あり、19章分+プロローグ+エピローグになっています。

ちなみに、副題は「1万3000年に渡る人類史の謎」となっています。

 

 

 

 

 とてもデリケートな話題もありますが、書くのは全て私が本を読んで感じたことです。これは間違いなのでは、不適切なのでは、といった内容がありましたら、ご指摘くださると助かります!

 

 

本書に一貫してある問いは、どこからくるものなのか。

 

 みなさんが、「世界史」と言われて想像するのはなんでしょうか。

よく思いつくのは、中世ヨーロッパの貴族の姿だったり、芸術だったり、もしくは人類の起源だったりするのではないでしょうか。

 中学校の歴史で学ぶ世界史は、多くがヨーロッパを舞台としたもので、アフリカなど他の地域を中心に取り上げるのは中国・韓国の歴史か、人類の起源・オリエント文明の歴史くらいだったと思います。

 

 少し話が飛びますが、住む地域で、人の肌の色は少しずつ変わってきますね。

例えば、私は日本人でアジア系の「黄色人種」に入るし、ヨーロッパの人の多くは白色人種。アフリカの方に住む人は多くが黒色人種です。

こうやって単純にまとめた他にも、アボリジニアメリカ先住人、またその他の人種でも、肌の色は少しずつ変わってきます。

 

 昔は、こうした肌の色の違いが原因で「人種差別」がまかり通っていました。

もうその概念は浸透していないと思いますが、それでもいまだに人種差別の考えを持つ人はいますし、それで攻撃的になる人もいます。とてもデリケートな話題です。

 

 それほど多くの人種がいるのに、世界史といって思い出すのはヨーロッパがメイン。もっというと、白色人種の人を思い出します。

ナポレオンやカール大帝モンテスキューマリー・アントワネット

 

 産業革命が最初に起こったところでもあるヨーロッパ。やっぱり、世界史というとヨーロッパが先進的だ、というイメージが強いです。

 

 でも、今一度考えてみましょう。

人類の起源はアフリカです。

正確にいうと、猿人などの初期の人類の祖先の化石はアフリカで集中して見つかっています。

そして、原人、旧人の段階でユーラシア大陸やその他の地域に広がり、新人まで来るともう現代人と同じグループになります。

 

 私たちの祖先が元はアフリカで誕生し、進化していったというのはわりと認知されているはずです。教科書にも、そう書いてありました。

 

 それでは、なぜ人類が最初に誕生したアフリカではなく、ヨーロッパが発展したのでしょう。

なぜ、アフリカの人たちがヨーロッパから技術やものなどを享受するのみで、その逆の関係にはならなかったのでしょうか。

 

 何も、アフリカの人のみとは限りません。

なぜ、ヨーロッパ諸国や中国など、古来から権力を握ってきたというか、制服を繰り返してきた国々はユーラシア大陸に起源を持つ国なのでしょう。

 

南北アメリカ大陸の先住民、アフリカ大陸の人々、そしてオーストラリア大陸アボリジニが、

ヨーロッパ系やアジア系の人々を殺戮したり、征服したり、絶滅させるようなことが

なぜ起こらなかったのでしょう。

 

 この本では、

 

なぜ人類社会の歴史は、それぞれの大陸によってかくも異なる経路をたどって発展したのだろうか?

 

という問いについて話を進めています。

 

 

著者の考える発展の際の原因は?人種の違いか他の要因か

 

 ヨーロッパ諸国が他の地域や国を征服し始めたのは、大航海時代の西暦1500年代でした。

その時にはもう、金属器や家畜、政治構造などで発達して、地球一周できるほどの航海術もヨーロッパにはありました。

 

 でも1642年にヨーロッパ人がタスマニア島を探検した時、

島民たちは数万年前の旧石器時代後期のヨーロッパで使われていたものよりも

単純な石器を使っていました。

 

 こういった発展の違いの理由を、探検家たち、当時のヨーロッパの人たちは、生物学的差異だと考え始めました。

持って生まれた能力が民族によって違うから、産業化された社会の人がその他の社会にとってかわるのも適者生存と考えられました。

 遺伝学が進歩しても、ヨーロッパ人は他の民族よりも知的な遺伝子を持っていると考えられていたのです。

 その民族の能力差を肯定していたため、肌の色の違いを取り上げた人種差別が認知されていました。

 

 そういった人種の違いによる能力の差異、という考えを、根本から否定するのがこの本です。

 

人種の違いではなく、他の要因によって人類の進歩はスピードが違った。そして、三つのあることによってヨーロッパ諸国は他の国を征服できた。

その「三つのあること」というのが、本の題名ともなっている「銃・病原菌・鉄」です。

 

 この三つが重要となった事例を挙げているのが、インカ帝国とのスペイン人との争いでした。

インカ帝国へのスペインの進行は、小さい時から『漫画 世界の歴史』で読んでいました。牢獄に連れて行かれたインカ帝国の王様が、「この部屋のこの線まで黄金を積み上げる」といって解放され、その後スペイン人は約束を破りインカ帝国を滅ぼします。

 なぜ、当時その地域で一番栄えていたインカ帝国が、土地の利もないスペイン人に敗れてしまったのでしょうか。

本を読んでいけば、その原因も少しずつわかっていきます。

 

 この部分は、とても面白かったです!昔読んで、記憶に残っていた歴史の出来事のため、納得することも多ければ初めて知ることも多くて、読んでいて楽しかったです!

 

 

本を読むときのコツ・どういった作品?

 

 ということで、どんなことを書いているのかや、問いにつながることについて書いてきました。ネタバレはしてない…ですよね?

 

 この本、読んでいて最初は入り込めませんでした。

まず、内容が一部サピエンス全史とリンクしていて、そこで少し違う描写があったりすると混乱してしまうことが理由の一つです。

 

そして、読む時に間を開けながら読んでしまっていたこと

これも、少し前を読み直せばなんとかなるのでしょうが、分量が多いため読み直しよりも読み進めるのを優先してしまいました。

 

また、書いてある言葉の多くが親しみのないものだったことも理由の一つです。

例えば、ニューギニア人やヨルダン渓谷。名前は聞いたことがっても、地理的にどこにいたのか、どこにあるのか、あまりわからないまま読んでいました。

これも調べればいいだけなのでしょうが、そういった単語が多かったため、自分の知識がもう少しあれば、もっと楽しめたんだろうな、と思います。

 

 その三つの理由により、あまり入り込めず、上巻はよくわからないまま読み進めてしまった、というのが現状です。下巻は、教訓を生かして一気読みしたので、あまりそういったことはありませんでした。

 だから、読む人には

  • 出来るだけ内容を覚えている間に読む
  • 自分の持っている知識とすり合わせながら(混乱しそうだったら完璧に分けて)読む
  • 知らない単語は調べる

の三つを大事にしてもらうと、内容がすっと入ってくると思います。

 

 

一言で感想をまとめると、

社会の授業で歴史と地理を一緒に学ぶ意味がわかる

作品です。

 

 今までの授業で習ってきた事柄が、別の視点でどんどん結びついていくのは、とても爽快というか楽しいです。

 

 学術書が好きな人でも楽しく読めるでしょうし、あまり読んだことがない人でも面白いかもしれません。

感覚だと、サピエンス全史の方が読みやすかったですが、サピエンス全史の内容とごっちゃにしたくないという人は先に読んだ方がいいかもです。

 

 

最後に…:感じた違和感一部紹介

 

 日本のことについても時々出てくるんですが、違和感はありました。

なんか、多くある事柄のうちのいくつかを取り上げて、短絡的な結論(ミスリードのようなもの)を誘っているように読める部分があったと思います。

 

 

 それに、著者はアルファベットを効率的だと賛美し、漢字を

 

効率のよいアルファベットや仮名文字でなく、書くのが大変な感じを優先して使うのも、漢字の社会的ステータスが高いからである。

 

日本は、日本語の話し言葉を表すには問題がある中国の文字の使用をいまだにやめようとしていない。

 

などと評しています。

 

 私が日本で生まれ育って、漢字に全く抵抗がないというのも理由の一つだとは思うのですが、この意見に共感できないのはそれだけではない気もします。

確かにアルファベットは字数が漢字と比べて圧倒的に少なく、漢字は覚えるのが大変です。

それでも、表意文字には表意文字の特徴があると思いますし、表音文字表意文字にはそれぞれメリット・デメリットがあるとも思います。

 

 この部分は、読んでいて共感できませんでした。

GHQによるものや、それ以外にも、これまで漢字廃止論や漢字制限論などありましたが識字率の高さなどを理由に、今でも日本語はローマ字表記にはなっていません。

 

 名前、苗字の多様さも、この表意文字が一つの理由だと思っていますし、ローマ字で『雪国』とか読みたくないです…。

国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。が、

kokkyono nagaitonneruwo nukeruto yukigunideatta. になるんですよ。

 

同じ発音の言葉も日本では多いため、漢字によって読み取れることは本当に多いと思います。

 

こういった漢字を使い続ける意味については、私はまだ少しネットで検索した以外何も勉強していないため見当違いのことを言っているのかもしれません。

ちゃんと調べたいとも思いますし、調べていないうちから適当に批判することはおかしいのかも。でも、違和感があったのは間違い無いので書いておきました。

 

 また、病原菌の影響の強さや怖さなどの取り上げ方から、少し違和感を感じたところもありましたが、それは本編の解説などで取り上げたいと思います!

 

 最後までお読みくださりありがとうございました。ネタバレをしないように気をつけながら、感想や思ったこと、ある程度のあらすじや本での問いなどを書いてきたました。本の内容をまとめる記事は、今度また書いていきます。ぜひそちらもお読みください!

やりたいことまとめる記事:私がこれからやりたいこと

 こんにちは。今日は、3月までいた中学校に伺う予定だったのですが、会う先生の都合によりキャンセルとなりました…。もうISAK入学まで一ヶ月半を切ったので、会える人には会って、恩返しというか感謝を伝えられるといいな、と思います!

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 今日は、この頃やりたいことが多すぎて困っているのでそういったもののまとめを書いていきます!なんかブログを日記がわりというか、メモがわりにしている気が…

 

目次

 

 

1. 学校図書館格差について考える&司書の先生に話を聞きに行く

 

 まず一個目!

中学校の司書の先生に話を聞きに行く!!

 

 以前「衝撃の学校図書館格差」という本を読んでから、学校図書館に興味を持つようになりました。

地域での格差、国公私立での違い、図書館の重要性、色々どういう違いがあるのかを知るようになり、両親もそういったことに興味が少しはある家庭なので、前よりも情報を集めるようになったと思います。

 

chirpspring.hatenablog.com

 

 図書館格差によって、学力もそうだし、勉強に対する興味の持ち方もそうだし、あとは勉強には関係ない心やすらぐ場所としても、さまざまな違いが出てきます。

できることなら全ての学校に学校司書(専任)を配置して、授業との連携をしっかり摂れるようにして、本を読むことを「普通」という認識にしたいです。

 

 自分は、小学校1年生の時からずっと図書室にこもりっきりというか、周りの子と外で遊ぶより本を読むほうが好きでした。でも、それは同級生のみでなく先生からも推奨されなかった(一部の先生です)し、そもそも学校図書室もどんどん開館時間が短くなっていきました。

 

 本を読む姿が少数派でも、それが「変わっている」と思われないような環境を作りたいです。

そうするため、自分に何ができるのか。正直何もわかりません!!

ネットで調べられる情報には限りがあります。高校生(未満)が、自分の学校以外のところで図書室改善に何かできることなんて、本にも書いていません。

 

 図書館格差の根底にあるもんだは、圧倒的な資金不足と人手不足なんだということは、小学校から見てきた学校図書館で知っています。

そこまでの大金をポンと出せるようなものでも無いし、学校司書を増やすといっても、良い待遇で専任の学校司書を雇えるのは一部の私立、国立校のみです。

 自分ができることがあるのか、調べれば調べるほど無い気もしてきます。

だからこそ、学校司書に話を聞くのが一番です!私の前いた中学校が学校司書の資格を持っている方なのか、それとも司書補の方なのかもわかりませんが、行動を起こさないことにはなんともなりません。

 本当は今日、学校に伺った時に司書の方にも話を聞いてみようと思ったのですが、予定がおじゃんになったため延期になりました。学校が近かったら、もしくは梅雨の時期でなかったらいきやすいんですが、これは田舎ならではの弱みかもしれません…。と責任転嫁してますが、実際は自分が外に出るのが面倒くさいだけっていうのもありますね…。

 

 ということで、

まずは司書の先生に話を聞く&必要が出てきたら司書教諭の先生に話を聞きます。

そのあと、伝手でもなんでも使って、もっと情報を手に入れて、自分のできることを探したいです。

 

 

2. 本の情報共有サービス…を作ってみたいんですが…

 

 それでは二個目!

この頃考えているのですが、Yahoo知恵袋的な感覚で、本のおススメをネット上で教えてもらえるようなサイト、サービスがあったらいいのにな〜と思っています。

 

 例えば、私がどんな本を読もうか迷った時に、自分の好きな本や読書歴などを簡単に書いて「こういったジャンルの本が読みたい」といったら、その質問を見た人が「この本はどうですか?」と色々提案してくれるサイトです。

 twitterなど、もしくは知人との間で、「おすすめある〜?」と聞いて進めてもらうことはあると思います。それを一つにまとめてみたいです。

 

 そういうサイトは、もうあってもおかしくはありません。

というか、アプリでAIがオススメしてくれるアプリならもうあります。AIの方がデータもいっぱいあるでしょうが、人と人との間でそういったやりとりができると楽しそうです。

 ただ、それはもう今のSNSなどを通じてやりとりをしている人も多いと思うので、どれだけ需要があるかわかりません。

 

 その上で、そういったサービスを用意するなら、最初に本のソムリエのような人が数人必要となります。

ブクレポを書いていて定評がある人や、本を誰かに進めた時にこの人の推薦なら、と思ってくれるような人。しかも、ボランティアとなります。

 

もし本当にこのアイデアを実現するとしたら、多分高校卒業までにやるのも難しいと思っています。これは、『教室に並んだ背表紙』という本を読んだ時に突然思いついたことなので、全然形にもなっていないし調べたことが多くもありません。

だから、

本当にやるなら今まで以上に情報収拾をして、

必要な事柄を考えて、

需要と供給を作った上でボランティアとしてでもなんらかのメリットがあるようなシステムを考えなければいけません。

 

chirpspring.hatenablog.com

 

 やるまでも難しいと思うし、サービスができたあとも難しいはず。

これに関しては、夢物語なきもするし、優先順位がそこまで高いわけでもないです。

 

 でも、やれたらすごい楽しいはず。

もしもそれで、質問した人と回答する人との間でなんらかのやりとりがはずんだりしたら、そんなに嬉しいことはありません。

誰もが質問できて、誰もが回答できる、そんな質問サイトを作ってみたいです。

 

 まずは、ソムリエとなりそうな人を探して、その中でもこのアイデアに賛同して、しかも時間を使ってくれる人を探すこと。

そして、質問サイトを作るにはどうすればいいのかを探して、そのサービスを広めるためのマーケティング(?)戦略を考える。

大きく動くのは時間ができた時にして、今は地道に本をいっぱい読んでおこうと思います。私は誰かに本を勧められるほど読んでいませんが、本を読まない人にも使ってもらえるようなサイトにしたいので、まずは読むことから始めます。その上で、読書家の人と繋がっていきたいです。

 

 

 

3. 周りとも協力して活動の幅を広げていく

 

 三個目!

これは、本当に昨日話に出たことです。

私のボランティア活動の中で、同年代の人も今年度から入ってきてくれたのですが、そのうちの一人と昨日色々何ができるか話しました。

その中で、相手はフードロスの問題に興味があることがわかりました。こちらも、いろいろな学校の図書室を知りたいし、あちらも何か自分で考えるなら話しながらの方が整理もしやすいです。だから、それぞれ話しながらやれることを考えて協力できたらいいね〜といった話になりました。

 

 だから、自分でもフードロスについて考えてみたいし、集められる情報があったら集めたいと思いました!

関係者の方と話してみたいと相手も思っているので、それに関しても手伝えることがあったら手伝ってみたいです。

 フードロスもそうだし、ジェンダー平等関係の話や日韓問題の話など、その人とも色々喋れそうです。加えて、他にもそういったことを話せそうな人が増えてきているので、嬉しい限りです。

 

 

4. 最後に:優先順位つけて頑張っていきます!

 

 ということで、今回は完璧にメモがわりに、今からやりたいことを書いてきました。夢はどんどん出てくるんですけど、それを実行するのは全然簡単ではありません。

何ができるのか、しっかり考えた上で優先順位もつけて実行に移していきたいです。

一番簡単なのは、司書の先生にお話を聞きに行くことです。残された期間、そして学校に入ってからでも、精一杯頑張っていきます。

 

 

 他にも、今やっている勉強やボランティア活動など、毎日楽しいです!忙しくするのも自分だし、時間を作るのも自分です。楽しみながら、頑張っていきたいです!

 

 最後までお読みくださりありがとうございました。何も知らないうちは、情報収拾が一番肝心なので、まずはそこから動いていきます!

初野晴さん『水の時計』読了:感想、異色な作品…

 こんにちは。今日は月曜日ですね。また一週間始まります。色々なことに変化が出てきて、しかももうギャップタームの終わりまで1ヶ月半もないです。本当に頑張っていきたいです!

 

 

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目次

 

 

本のあらすじ、著者紹介

 

今回は、読了本の感想を書いていきます。

取り上げる本は初野晴さんの『水の時計』です。

 

 

この『水の時計』は、第22回の横溝正史ミステリ大賞受賞作です。

同時に、初野晴さんのデビュー作ともなっています。

 

 初野晴さんの本は、少し前に1冊読んで読書レポートを書いています。こちらの作品は、謎解き要素も多く、タイムトラベルと魔女狩りという重い要素が結びついて、読んでいてとても面白かったです。

 

chirpspring.hatenablog.com

 

 こちらの作品はミステリ大賞を受賞していますが、読んでいてあまりミステリ要素は強くない気がしました。でも、少し不思議な形の話+重い話題(社会性のあるもの)という感じがこの人らしいというか、強みなのかなと思いました。まだ二作しか読んでいないので、他のシリーズ等も読んでいきたいです!

 

 あらすじを書いていきます。

主人公は、暴走族の幹部をやっていた高村昴

下手を打って傷害事件を明るみにしてしまい、周りの仲間が全員逮捕されている中、老執事のような男に仕事をもらい、警察にも融通を利かせてもらうようになります。その仕事の報酬は一千万円。

 その一千万円の代わりに、脳死状態の少女・葉月の臓器を必要とする人に運ぶ仕事を依頼されました。

葉月は、不可思議なことに月光の当たる時にのみ言葉を発することができるのです。

人工呼吸器に、声帯の変化を拾える意思伝達装置をつけ、会話を可能としてるのです。

でも、実際に脳死判定基準をクリアしていて、脳が死んでいる状態なのに変わりはありません。その本人が臓器提供を希望していて、法的にドナーになれないこと以外には、医師もいて問題もありません。

 公にできないため、最短距離で最短時間で臓器を届けられるのは、暴走族として今まで警察の目をかいくぐっていた昴のみでした。

 

 

本の感想:初読で思ったこと

 

 本の下敷きになっているのは、有名な童話、オスカー・ワイルドの『幸福の王子』です。

体の一部分を分け与えるのは葉月で、その体を運ぶツバメは昴。

臓器提供という話題を通じて、自己犠牲の精神とそれだけには止まらない青少年の苦悩というか、復讐の精神を描いているようにも思えました。

 

 短編小説のような形で、それぞれの話の中で臓器提供が一個ずつ成し遂げられていきます。時には臓器を断る人もいますし、

何より世知辛いというか世間の現実がまざまざと書かれているため、重くつらい感覚がずっとのしかかっているような感じです。

 

 それでも、話が詰まることはなく、水のようにさらさらと内容が流れていくというか、時間の進みはしっかりとは書かれていなくても、物語の中の時間が流れているのを実感できるようなスピードで読めました。

(うまく書けない…。)

 

タイトルが『水の時計』なのにも意味があります。脳死状態の場合、普通その人の時計は止まります。葉月の場合のみ、月の出る時にだけ止まった時計が動き出すことから、葉月が持っているのは「水の時計」と言われています。

その「水」に対応するかのように、物語がさらさらととめどなく流れて、でもその中に希望に向かって動いている葉月と昴がいる。そんな感覚でした。

 話を読み進めていく中で、葉月と昴の関係性もなんとなくわかっていきます。

そして、「非行少年」を気にかける刑事の存在感も増していくし、色々な要素が複雑に絡み合っている本でした。

 

 

脳死と臓器提供について考えるきっかけを

 

 一番印象に残ったのは、昴の元先生の対応です。

心臓が弱い先生で、受験生の担任を受け持った時は「なぜ障害者が担任に」と非難轟々でした。でも、そのクラスにいた昴は特に気にしない様子でとどまっていた。だから、印象に残っている生徒でした。

 

 その昴が突然現れて、心臓移植が最後の可能性だという診断をもらった先生に対し「心臓移植をしてくれないか」と話を持ちかけます。

びっくりして話を保留している間に、警官が来て、元教え子のはずの高村昴を知らないか、と聞かれる。そこで、昴が傷害事件の容疑者になっていることも知り、昴を自分で探すようになりました。

 その間に、先生の家庭にも色々起こって、最終的に先生は心臓移植をしないことにします。昴の「先生で最後なんだ」という言葉は聞き逃したまま。

 

 これを聞き逃していなかったら、違法の臓器移植は明るみに出ていたのでしょうか…。

 

 葉月は、「与える自由と与えない自由」を守ってもらっている上で、臓器移植される側の「もらう自由ともらわない自由」も尊重し、その見極めを同年代の昴にお願いしていました。

 臓器提供というなかなかにヘビーな話題ですが、この4つの自由は絶対に守られるべきものだと思います。

 

全ての人が臓器をもらって幸せになりました、後には抜け殻になった幸福の王子様が残りました。

そんなあらすじよりは、

色々な意見が出るであろう本書の方が好きですし、臓器提供に対して懐疑的な意見の人が出てきて安心しました。

 

私は、まだ臓器提供に関しての造詣が全くないため、自分がどう思うかは書けません。でも色々な本を読んでそこらへんのことも学んでいきたいですし、そのためには様々な意見に触れることも必要です。少し前にもこういった臓器提供が出てくる本を読みましたが、徐々に考える機会を増やしていけたらな、と思います。

 

 

最後に:異色な作品

 なんというか、感想をまとめるのが難しい作品でした。

テーマはすごく面白いし、かなり異色な作品だと思います。こうくるか、といった感じもあります。ただ、伏線が色々あったと思うのですが、1回読むだけだと所々置いてけぼりにされるというかよくわからなくなりました、2回、3回と読んでいけばしっかりわかるはずです。

 ミステリーというよりはファンタジーのような、そういった感覚です。『幸福の王子』を読み直したくなりました!

合う人と合わない人にかなり差が出てくるかな、と思います。

 

 これもなかなか思いテーマで、私としては以前読んだ『トワイライト・ミュージアム』の方が好みでしたが、それでも読んで良かったです。この本は、色々な人の感想を聞いてみたいですね。

ぜひ読んでみてください!

 

 最後までお読みくださりありがとうございました。今まで読んだことのなかった形の本でした。ハルチカシリーズというシリーズも書いているらしく、それは周りの友達も何人か読んでいたので、その作品に挑戦してみたいです!